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研究成果紹介

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    • デジタル/AI
    2026.01.19
    • デジタル/AI
    モノの「かたち」の最適化

    アピールポイント 「最適化」はAIの基盤技術であり、その理論と応用の拡張は社会的に重要 無数のデータで構成される情報をどのように最適化?→「形状最適化」 モノの「かたち」を最適化することにより、興味深い材料・現象を実現   研究者のねらい 最適化理論の基礎的な研究と、それを応用した工学材料の設計に関する研究を行っている。特に、モノの「かたち」を自在に制御することで、興味深い物性や現象を実現する材料・構造を追求している。通常、物体の形状を表現するデータの空間は非常に高次元、あるいは無限次元となるため、既存の理論は必ずしも十分でない。本研究室は変分理論に基づく最適化アルゴリズムの検討とその実証を行い、それらを先端的工学応用につなげるための研究を行っている。   研究内容 【形状/トポロジー最適化】 最適化:与えられた制約の下で目的関数を最大/最小化する変数を探す問題 形状/トポロジー最適化   強調したい文字 【メタマテリアルの設計】 メタマテリアル・・・直感に反する」現象を引き起こす材料/構造 負のポアソン比   【軽くて強い弾性材料】 最適化された「かたち」 1,軽い (体積が小さい) 2,外力に対してなるべく「変形しない」ような「かたち」を最適化により実現 【結び目を解く】   関連情報 【論文】Daichi Akamatsu, Kei Matsushima, Takayuki Yamada, Optimal design of cavity-free mechanical metamaterials exhibiting negative thermal expansion International Journal of Mechanical Sciences 283 (1), 2024   研究者 松島慶(MATSUSHIMA KEI) 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 助教

    • 介護/福祉
    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    2025.10.23
    • 介護/福祉
    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    脳生体ダイナミクスを捉える摂食嚥下機能リモート評価訓練システムの開発

    この研究成果は2025年10月23日に、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)主催で開催されました新技術説明会に出展しました。   新技術の概要嚥下は反射・随意運動と認知機能が複雑に関連して診断と訓練が行える施設が限られる。末梢交感神経を血管のかたさ(末梢血管剛性)で評価する独自のシーズ技術により、水蒸気のネブライザーでも喉頭感覚の評価と嚥下訓練が可能となり、水飲み動作と認知機能課題を組み合わせることによって嚥下障害の推定を可能とした。また、起立台と組み合わせて30度挙上という低負荷試験でも自律神経活動が評価でき、訓練に応用できることも確認した。   従来技術・競合技術との比較不顕性誤嚥と嚥下機能の評価は侵襲的で特殊な機器を使う嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査が一般的。嚥下音だけのウエアラブル検査装置は不顕性誤嚥の評価が困難であり、咳テストは認知機能や自律神経は評価できない。   新技術の特徴 認知・運動・嚥下機能を自律神経活動の変化から非侵襲的に評価(見える化)できる 家庭や施設など専門家不在の状況でも、摂食・嚥下機能と認知機能を調べて訓練できる可能性がある ネブライザー(吸入器)と起立台(ヘッドアップチルト)の侵襲性を低減して対象者を拡大できる可能性がある   摂食嚥下障害の社会的位置づけ 70歳以上高齢者の4人に1人が嚥下困難を自覚 脳卒中患者の4~8割に嚥下障害あり 440万人の認知症の半数に摂食障害と嚥下障害 令和4年の誤嚥性肺炎の死亡5.6万人 肺炎の医療費:2327億円/年 嚥下障害は重症化して肺炎に至るまで気づきにくく、栄養状態を悪化させて虚弱状態(フレイル)を招き、筋力低下による転倒、認知症、うつ病などのリスクを増大させる 令和3年の介護保険要介護・支援677万人 脳を起点とした感覚と摂食・嚥下機能 不顕性誤嚥と誤嚥性肺炎従来技術とその問題点 末梢交感神経活動の非侵襲的評価法 末梢血管剛性で嚥下を見える化 自律神経活動の評価法従来技術とその問題点 自律神経活動の一般的な評価方法にヘッドアップチルト試験がある。 頭側を60~70度挙上させると血液が下肢に移動して血圧が下がる。脳血流を維持するために交感神経が働いて脈拍が上がり、末梢血管が収縮して血圧を維持しようとする。この現象を利用して交感神経活動を評価するが、通常は心拍変動で評価する。 脳卒中患者では起立性低血圧による失神や脳梗塞再発リスクが高いため、検査困難なことが多い。 脳卒中患者では起立性低血圧による失神や脳梗塞再発リスクが高いため、検査困難なことが多い。 挙上角度が30度であれば、起立性低血圧のリスクは低く、ほぼ大部分の患者に行うことができるが、心拍の変動がほとんど抽出できないことから自律神経活動の評価は難しい。 末梢血管剛性による自律神経活動の評価 30度ヘッドアップチルト:患者と健常者の比較 患者16名(脳疾患等)に対して30°ヘッドアップチルト試験を行い、 健常者21名と比較   脳疾患などの患者に対して末梢血管剛性を用いると30°挙上の低負荷ヘッドアップチルト試験で自律神経(末梢交感神経)活動の評価ができる 30度ヘッドアップチルト:嚥下障害との関連性 蒸留水の吸入で喉頭感覚の見える化 蒸留水吸入で喉頭感覚の見える化と訓練 研究の全体像 新技術の特徴・従来技術との比較 従来技術の問題点であった嚥下に関連する感覚認識の客観的な評価が、末梢血管剛性を用いることで可能となった。 従来は不顕性誤嚥を嚥下内視鏡検査や刺激物の吸入で咳を誘発して喉頭感覚を調べる方法に限られていたが、末梢血管剛性によって低侵襲の蒸留水の吸入で評価・訓練できる。 末梢血管剛性によって、低負荷の30度ヘッドアップチルトで交感神経活動が評価・訓練できる。 本技術の適用により、慢性的なストレス社会で増加する心筋梗塞、うつ病などの原因となり、糖尿病やパーキンソン病にも併発しやすい自律神経失調症状を、誰でも気軽にチェック出来るようになることが期待される。   想定される用途 外来や入院で摂食・嚥下障害に対して評価と訓練をする時に使用。 入院してリハビリを行って何とか飲み込めるようになった嚥下機能を自宅や施設で維持したい。 嚥下機能や認知機能が気になって、自宅や施設で調べて、少し訓練もしたい時。   実用化に向けた課題 現在、ヘッドアップチルト試験あるいは嚥下機能検査で末梢血管剛性データを同時取得が可能なところまで開発済み。しかし、摂食嚥下機能・脳活動と末梢交感神経活動との関連性を明らかにする点と末梢血管剛性の計測装置の簡素化が未解決である。 今後、嚥下障害患者の脳病変・高次脳機能データを取得し、末梢血管剛性との関連性解析を行う。 実用化に向けて、末梢血管剛性の簡素化に向けた技術を確立する必要もあり。   社会実装への道筋 企業への期待 未解決の計測装置の簡素化については、末梢血管剛性の推定アルゴリズム、連続血圧波形の計測システムの修正により克服できると考えている。 ネブライザー、チルトベッド(起立台)、嚥下障害検査・訓練の技術を持つ、企業との共同研究を希望。 また、嚥下障害関連製品を開発中の企業、自律神経・ストレス分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。   企業への貢献、PRポイント 本技術は摂食・嚥下障害が、末梢血管剛性と蒸留水吸入を組み合わせることで、施設・一般家庭でも簡単にできる、従来にない製品開発の可能性があります。 30度ヘッドアップチルトでの自律神経評価は、多くの病院・クリニックでも行えて汎用性があります。 本技術は自律神経活動の異常が関連する多くの疾患やストレ ス関連分野など、応用範囲が広いです。 人の「脳活動」「こころ」の変化を見える化できることから、 スマホ社会の新たなアプローチになる可能性があります。   本技術に関する知的財産権 発明の名称 :嚥下能力評価装置、嚥下能力評価装置の作動方法及びプログラム 出願番号 :特願2025-077839 出願人 :国立大学法人広島大学 発明者 :濱聖司、辻敏夫、山脇成人   産学連携の経歴 2社と各々1年ずつ共同研究実施 平成24年度 新産業創出研究会 公益財団法人 ちゅうごく産業創造センター 研究会参加企業4社 平成25年度 新産業創出研究会 公益財団法人 ちゅうごく産業創造センター 研究会参加企業5社 2021年度 JST研究成果展開事業A-STEPトライアウトタイプに採択 2022年-2025年 JST研究成果最適展開支援プログラムA-STEP産学共同<育成型> 10年以上にわたり、2社と共同研究実施   研究者濱聖司 脳・こころ・感性科学研究センター 特任准教授

    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    • 融合領域
    2026.01.19
    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    • 融合領域
    情報科学 × 医学 の融合研究

    アピールポイント 「情報科学」の画像処理等の技術と「医学」の画像診断の技術を組み合わせた研究 「情報科学 × 医学」の強い連携を活かした、臨床課題起点・臨床データ駆動型の研究 「医情連携 × 産学連携」による、研究成果の社会実装と臨床現場への還元   研究者のねらい 本研究は、放射線科医の臨床ニーズを起点とし、情報科学の専門性を有する研究者による画像処理・解析手法の研究開発を経て、医療機器メーカーとの連携による社会実装までを一貫して目指す医工産連携研究である。臨床現場における日常的なニーズに基づく研究テーマに始まり、実臨床に基づく検証を通じて実用性を重視した技術開発を進めている。研究成果を研究室内に留めることなく、医療機器としての実装・普及を視野に入れることで、放射線画像診断の質向上と臨床現場の負担軽減に貢献することを目的とする。   研究内容 深層学習を用いた医療用CT画像の画質改善 [1] 左:従来法右:深層学習   ✔ CT検査はX線を利用し、CT画像の画質は 撮影に使用した放射線強度に依存する ・被ばくを抑えて画質を保つ工夫が必要   ✔ 画像処理によりノイズ低減法はノイズを抑制すると同時に画像にボケが生じる ・画像診断においてはノイズ低減と共に空間分解能の高さも重要   ✔ 深層学習を利用したノイズ低減法 ・深層畳み込みニューラルネットワーク ・従来型のノイズ低減フィルタと比較して、空間分解能の劣化を抑えつつノイズを低減することができる ・検査による放射線被ばくのリスクを抑えつつ、高い診断能を保つことができ、患者に優しい検査が実施可能     全身循環モデルを用いた造影CT検査の造影シミュレーション [2][3] ✔ 造影剤を利用した造影CT検査 ・臓器コントラスト向上 → 診断能向上   ✔ 造影剤投与法や撮影タイミングが重要 ・体格等に依存し個人差が大きい   ✔ コンピュータシミュレーションで検証   関連情報 【論文】[1] Deep Learning Reconstruction at CT: Phantom Study of the Image Characteristics. Academic Radiology, 2020. [2] Minimizing individual variations in arterial enhancement on coronary CT angiographs using “contrast enhancement optimizer”: A prospective randomized single-center study. European Radiology, 2019.   【知財】[3] 特許:6740136シミュレータ、該シミュレータを備える注入装置又は撮像システム、及びシミュレーションプログラム   研究者 檜垣 徹HIGAKI TORU 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 ビジュアル情報学研究室 准教授

    • 食料/農林水産業
    • デジタル/AI
    • バイオエコノミー
    2025.10.23
    • 食料/農林水産業
    • デジタル/AI
    • バイオエコノミー
    未培養微生物を資源化する革新的培養技術

    この研究成果は2025年10月23日に、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)主催で開催されました新技術説明会に出展しました。   新技術の概要本技術は、ゲルマイクロドロップレットを活用し、難培養微生物の資源化する革新的スクリーニング手法である。具体的には、難培養微生物を可培養化する新規培養技術と、10⁸個という膨大なサンプル数から目的活性を有する微生物を評価・選別する、ハイスループットスクリーニング手法を組み合わせることで実現する。   従来技術・競合技術との比較従来の分離培養技術では環境微生物のうち1%程度しか培養できないが、本手法では50%という微生物学の常識を覆す割合の微生物が可培養化される。また、従来のドロップレット培養技術では、培養菌体の活性や機能評価は極めて困難であったが、本技術では、多様な機能を対象に評価することを可能にする。   新技術の特徴 10⁸個という極めて多数の独立した培養系の機能評価が可能 新規酵素、化合物変換活性、特定物質生産活性、抗菌活性、特定遺伝子阻害活性など多様な評価に対応可能 従来法では培養できない未培養・難培養微生物も評価・利用可能   想定される用途 未培養・難培養微生物の資源化(創薬資源) 未培養・難培養微生物の資源化(農業・食品・化学分野) 変異株ライブラリーを用いた超高速スクリーニング   ほとんどの微生物は未培養・培養困難 未培養微生物の資源化におけるボトルネック 目的:GMD培養技術により、2つのボトルネックを同時に解消する 難培養微生物の可培養化 ドロップレット技術を活用した新規分離培養手法の開発 ー GMD凝集培養(微生物間相互作用を促進)   難培養微生物の資源化 ドロップレット技術を活用した新規スクリーニング手法の開発 ー 難培養微生物の可培養化と機能・活性ベースのスクリーニングを同時に実現   ゲル微粒子(GMD)の凝集培養を用いた未培養・難培養微生物の可培養化 GMD凝縮培養の手順 A Micro-colony in GMDs GMD培養中における増殖の追跡:可培養化率(Cultivability) GMD培養の期間中どのようなタイプが増殖しているのか? まとめ:GMD凝集培養(微生物間相互作用を促進)の培養性能 GMD培養技術により、2つのボトルネックを同時に解消する 革新的なハイスループットスクリーニング手法の開発 目的:108個のGMD全てを供試可能な超ハイスループットスクリーニング手法の開発 2種類のmMD(bGMDとGMD in WODL) PoC: 抗菌物質生産菌をターゲットにしたスクリーニング系の構築 Proof of Concept :モデル系を用いた実証試験 結果 環境微生物からの抗菌活性スクリーニング 2種類のmMD(bGMDとGMD in WODL) PoC: 酵素活性(セルラーゼ活性)を指標としたスクリーニング系の構築 環境微生物の可培養化と酵素活性(セルラーゼ活性)の検出 結論と展望 実用化に向けた今後の課題 目的の機能を有する新規微生物を獲得する 多様な機能を検出可能なスクリーニング系の構築 実用的なターゲットで方法論の有効性を実証する   難培養微生物を可培養化(従来アクセスできなかった微生物を利用可能) 超ハイスループット(108株を短時間で機能評価することが可能) 多様な機能(抗菌、酵素活性など)を指標とした探索に適用可能 環境微生物、変異株ライブラリーなど、様々な生物種に適用可能   本技術の創出に寄与した外部資金科研費 基盤研究(B)25K01934 新学術領域研究 (研究領域提案型)22H04887 新学術領域研究 (研究領域提案型) 20H05587 基盤研究(B)19H02873 若手研究(A)26709063   NEDO NEDO カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発   財団 内藤記念科学振興財団 研究助成 シオノギ感染症研究振興財団 研究助成   本技術に関する知的財産権 発明の名称:微生物の分離培養方法及び擬集体含有溶液 出願番号:特願願2015-196882(特許第6785465) 出願人:広島大学 発明者:青井議輝、高木雄貴、大橋晶良   発明の名称:スクリーニング方法および溶液 出願番号:特願2023-139257(PCT/JP2024/010423) 出願人:広島大学 発明者:青井議輝、下村有美、新山海   研究者青井議輝 広島大学 大学院統合生命科学研究科 准教授

    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    • 融合領域
    2026.01.19
    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    • 融合領域
    生体信号情報のAI解析と医療・インタフェース応用

    アピールポイント 筋電図・脳波・心電図など多様な生体信号をAIで解析し、作業者の状態推定や医療診断支援、直感的な機器操作を実現 個人差や信号のばらつきに強い適応型AI技術により実環境での安定性を実現 医療・福祉から製造現場まで、状態推定・異常早期検出・HMI開発など幅広い課題に対応可能   研究者のねらい 脳波・筋電図・心電図などの生体信号には、人の意図や健康状態に関する豊富な情報が含まれています。本研究室では、これらの信号を確率モデルとAI技術で解析し、「作業者の状態を可視化したい」「病気の兆候を早期に捉えたい」「機械を直感的に操作したい」といった課題に応える技術を開発しています。特に、実環境で問題となる個人差や信号のばらつきに対応できる適応的AI技術に強みがあり、医療機器、福祉機器、製造現場での作業支援など、幅広い分野での社会実装に向けた共同研究を積極的に進めています。   研究内容 神経信号処理グループ NeuroSignal Processing 神経筋システムの電気信号を処理・モデル化・認識する技術 筋電位のモデル化と動作識別[1] ✓ベイズ逐次学習による適応的動作識別[2]   ✓人の動作特性を模倣したロボット義手の制御[3]   脳波を用いたてんかん発作検出[4] ✓敵対的学習による患者に依存しない特徴の獲得[5]   視覚/動態解析グループ Vision/Dynamics Analysis 視覚的情報や動きの情報を活用して疾患や異常など隠れた性質を探る   超音波動画像による頸動脈プラークの異常評価[6] 心電図を用いたがん治療関連心機能障害の評価[7] ✓心電図の局所的な異常性に注目する機構の導入   姿勢推定と深層学習を用いた 運動機能評価[8] ✓動作の時空間特徴を効率的に捉えるモデル   関連情報 【論文】 [1] A. Furui et al., Expert Syst. Appl. (2021); [2] S. Yoneda & A. Furui, IEEE TNSRE (2025); [3] A. Furui et al., Sci. Robot. (2019); [4] A. Furui et al., IEEE Access (2024); [5] R. Tazaki et al., in Proc. EMBC 2025; [6] T. Yoshidomi et al., in Proc. EMBC 2024; [7] N. Suyama et al., in Proc. EMBC 2025; [8] J. Masaki et al., in Proc. SII 2026.   【知財】特許「心機能障害診断装置、心機能障害診断装置の作動方法及びプログラム」(特願2025-117013); 特許「生体信号解析装置及び生体信号解析方法」(特開2020-092753) など   研究者 古居 彬FURUI AKIRA 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 知能生体情報学研究室 准教授

    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    • 健康/スポーツ
    2026.05.19
    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    • 健康/スポーツ
    働く世代で見つかる「心房細動」は腎機能低下のサイン ―心臓と腎臓の「悪循環」を防ぐため、早期発見が重要

    【概要】広島大学大学院医系科学研究科 福間真悟 教授(兼:京都大学大学院医学研究科 特定教授)、京都大学大学院医学研究科 森雄一郎 博士課程学生(現:同大 特定研究員)、宮崎大学 池之上辰義 教授、京都大学大学院医学研究科 柳田素子 教授らの研究チームは、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入する就労世代の健康診断および医療データを分析し、不整脈の一つである「心房細動(しんぼうさいどう)」が新たに見つかると、その後の腎機能が年齢に伴う自然な低下と比べて加速することを明らかにしました。 これまで心臓に病気のなかった35〜59歳の約770万人のデータから、新たに心房細動が見つかった約2.3万人を追跡調査しました(追跡期間中央値:4.7年)。その結果、心房細動のない人と比べて、年間の腎機能低下スピードが速いことが分かりました。近年、心臓病・腎臓病・代謝疾患が互いに悪影響を及ぼし合う「心血管・腎・代謝症候群」という概念が注目されています。本研究は、働く世代における心房細動が、心臓のみならず腎臓へのダメージを引き起こし、この悪循環を加速させる引き金になりうることを国内最大規模のデータで初めて示したものです。 研究チームは、「健診で見つかった不整脈を単なる1個の異常所見と考えるのではなく、全身の健康を見直すきっかけにすることが重要」とコメントしています。 本成果は、国際学術誌『JAMA Network Open』に2026年米国時間5月14日付(日本時間5月15日)で掲載されました。     働く世代で見つかる「心房細動」が腎機能低下のサインに―心臓と腎臓の「悪循環」を防ぐ早期発見の重要性― 広島大学、宮崎大学、京都大学の研究チームは、国内最大規模の医療保険データを用いた調査により、働く世代(35~59歳)で新たに見つかる「心房細動」が、その後の腎機能低下スピードの上昇と関連していることを明らかにしました。 この成果は、2026年5月14日付で米国医師会の国際学術誌 JAMA Network Open に掲載されました。   1.背景心房細動は健康診断で偶然見つかることも多い不整脈であり、脳梗塞や心不全の重大な原因となります。研究チームは先行研究において、働く世代で見つかった心房細動が、将来の脳梗塞リスクが5倍、心不全リスクが18倍高まる徴候であることを報告しました(2025年、米国心臓協会誌『Circulation』掲載)。 近年、医療の現場では、心臓病、腎臓病、そして肥満や糖尿病などの代謝疾患が互いに悪影響を及ぼし合い、全身の臓器障害を進行させる「CKM(心血管・腎・代謝)症候群」という考え方が重要視されています。しかし働く世代において、新しく見つかった心房細動が心臓そのものだけでなく「腎臓」にどのような悪影響を及ぼすのかは、これまで大規模なデータで検証されていませんでした。   2.研究手法・成果研究チームは、全国健康保険協会(協会けんぽ)のデータ(2015〜2023年)を用い、過去に心血管疾患や末期腎不全のない35〜59歳の男女約770万人の健診記録を分析しました。そのうち、新たに心房細動が見つかった23,510人と、年齢や性別などの条件を揃えた心房細動のない117,550人を比較し、その後の腎機能(eGFR:推算糸球体濾過量)の変化を比較しました。   腎機能の低下スピードが加速: 心房細動が見つかった人は、見つからなかった人と比べて、年間の腎機能低下量(eGFRの低下)が有意に大きいことが確認されました(-1.23 vs. -0.94 mL/min/1.73m²/年)。心房細動が見つかる前の低下スピードには両群で差がなかったことから、心房細動の発症が腎機能低下の引き金になったと考えられます。 大幅な腎機能低下リスクが3倍: 腎機能が基準時から30%以上低下する重大イベントの発生リスクは、心房細動が見つかった人で約3倍(ハザード比2.91)に達しました 正常な脈(洞調律)に戻った人では低下が緩やかに: 心房細動が初めて確認された後、1年後の健診等で正常な脈(洞調律)に戻っていた人は、心房細動が続いていた人と比べて、腎機能の低下スピードが有意に緩やかでした。   3.波及効果【研究の意義】 本研究により、働く世代における心房細動が「心臓」だけでなく「腎臓」の機能低下を加速させるリスク因子であることが明らかになりました。これは、心房細動がCKM(心血管・腎・代謝)症候群の進行を早めるシグナルであることを示唆しており、若い世代における心房細動への早期介入の効果検証研究を心臓のみならず全身を俯瞰するテーマで推進する重要性を指示する結果であり、また心房細動のみならず心臓に生じる軽微な異常をCKM(心血管・腎・代謝)症候群の初期症状として認識する重要性を示唆しています。 【社会へのメッセージ】 心房細動が見つかったとしても、すぐに薬の服用や手術が必要かどうかは、人によって様々です。それであっても、健康診断で「心房細動」を指摘された場合、医療機関を受診することが重要です。直接不整脈を治すための薬や手術だけでなく、血圧や血糖のコントロールなど生活習慣の見直しが、将来の心臓の健康や慢性腎臓病の予防につながります。   4.研究プロジェクトについて本研究は、協会けんぽの「外部有識者を活用した委託研究事業」で採択された、 福間真悟 教授の研究班「保健事業による健康アウトカムを改善するための行動インサイト:因果探索の応用」の一環として実施しました(助成番号:23JHIA04)。   <用語解説>『心房細動』:心臓の上部にある「心房」という部屋が、けいれんするように不規則に細かく震える不整脈の一種です。自覚症状がない場合も多いですが、心臓の中に血の塊(血栓)ができやすくなるため脳梗塞の主な原因となるほか、心臓のポンプ機能が低下して心不全を引き起こすこともあります。   『心不全』:心臓のポンプ機能が低下する病気です。進行すると、息切れやむくみ、だるさといった症状が現れ、生命に関わることもあります。   『腎機能・慢性腎臓病』: 腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として体外へ排出する重要な働きを担っています。本研究で用いたeGFR(推算糸球体濾過量)は、この腎臓の働き(腎機能)を評価する指標です。この腎機能が慢性的に悪化した状態を「慢性腎臓病」と呼びます。進行して人工透析などの腎代替療法がいよいよ避けられなくなるまで無症状で気づかないことも多く注意が必要で、また心血管疾患(心不全など)のリスクも高めることが知られています。   『全国健康保険協会(協会けんぽ)』: 日本の公的医療保険を運営する「保険者」の一つで、主に中小企業の従業員とその家族が加入しています。加入者数が約4,000万人にのぼる日本最大の保険者です。   <研究者のコメント>働く世代に生じた心房細動は、単に心臓に限った問題ではなく、腎臓といった一見離れた臓器にも今後障害が生じてくる重要なシグナルになりうることが分かりました。 今後は、こういった働く世代で心房細動に早期に介入することが腎臓にも良い影響があるのか、また他のこれまであまり問題ないと言われてきた他の軽い心電図異常についてもCKM(心血管・腎・代謝)症候群の観点で重要なシグナルになり得るのか、明らかにしていきたいと考えています   <論文タイトルと著者> タイトル: New-Onset Atrial Fibrillation and Accelerated Kidney Function Decline in Working-Age Adults 著者:Yuichiro Mori(森雄一郞), Keita Hirano(比良野 圭太), Tatsuyoshi Ikenoue(池之上 辰義), Arisa Kobayashi(小林亜里沙), Motoko Yanagita(柳田素子), Shingo Fukuma(福間真悟*)*責任著者 掲載誌: JAMA Network Open 掲載日:2026年5月14日付(米国時間)(オンライン) DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2026.12823   報道発表資料(409.77 KB) 論文掲載ページ (New-Onset Atrial Fibrillation and Accelerated Kidney Function Decline in Working-Age Adultsに移動します) 広島大学研究者ガイドブック (福間真悟 教授)   【お問い合わせ先】 <研究に関すること> 福間 真悟(ふくま しんご) 広島大学大学院医系科学研究科 教授(兼:京都大学大学院医学研究科 特定教授) TEL:082-257-5162 E-mail:shingo-fukuma*hiroshima-u.ac.jp , fukuma.shingo.3m*kyoto-u.ac.jp   <協会けんぽ『外部有識者を活用した委託研究事業』に関すること> 全国健康保険協会 企画部 調査分析・研究グループ 担当:馬場 武彦 TEL:03-6680-8476(直通) FAX:03-3355-0600 E-mail:99kenkyu.86t*kyoukaikenpo.or.jp   <報道に関すること> 広島大学 広報室 TEL:082-424-4383 FAX:082-424-6040 E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp   京都大学 広報室 国際広報班 TEL:075-753-5729 FAX:075-753-2094 E-mail:comms*mail2.adm.kyoto-u.ac.jp   (*は半角@に置き換えてください)

    • デジタル/AI
    2026.01.19
    • デジタル/AI
    深層学習・ニューラルネットワークによる視覚表現学習

    アピールポイント 数理的なアイデアに基づいた深層学習・ニューラルネットワーク技術の研究をしています. 最近は効率的な学習・推論に向けた画像認識・画像生成の研究に興味があります.   研究者のねらい 深層学習は,大量のデータからパターンを自動で学習する機械学習の一分野であり,ニューラルネットワークを用いて段階的に特徴表現を獲得します.予測と正解の誤差をもとに重みを最適化することで,画像認識・生成や生成AIなど多様なタスクを実現します.   研究の興味 汎化性能に優れたニューラルネットワークを学習するためにはどうすれば良いか?   ニューラルネットワークによる認識 データ数に偏りがあっても安定して性能が出る画像認識技術 製品や工程によってデータ数に大きな差がある場合でも,少数データを活かして学習できる手法を研究しています → 製品Aと製品Bで検査画像数に差がある外観検査,クラス不均衡な品質判定への応用が可能 https://arxiv.org/abs/2508.18723   重要な部分だけに注目することで高速・省資源な認識を実現 画像中の不要な領域を自動的に無視し,本当に見るべき部分に集中して認識する仕組みを開発しています → 計算資源が限られた装置,動画像や高解像度画像を扱う検査・監視システムに応用可能   「知らないものは分からない」と判断できる安全な認識技術 学習時に見たことのない対象を,誤って正常と判断せず「未知」と検出する技術を研究しています → 外観検査や映像監視における異常検知,見逃しリスクの低減に貢献   学習の順序を工夫して未知データに強いモデルを作る技術 簡単なデータから難しいデータへ段階的に学習させることで,実運用での性能低下を抑えます → データの難易度に偏りがある場合や,現場データが徐々に変化する環境で有効 https://arxiv.org/abs/2508.18726   異常を「理由付き」で説明できる大規模画像言語モデル 画像だけでなく言語情報も用いて,異常を説明できる外観検査向け生成AIを開発しています → 画像と言語による異常の説明を実現 + 大規模画像言語モデルの学習ノウハウの提供 https://arxiv.org/abs/2502.09057   ニューラルネットワークによる生成   3次元形状を高精度に表現・復元する技術 形状の密度だけでなく「距離」の概念も学習することで,より正確な3次元表現を実現します → 3次元形状復元,3次元姿勢推定,製品形状のデジタル化に応用可能 https://ueda0319.github.io/neddf/   形状と動きを同時に扱う時空間モデリング技術 物体の形状変化や動作をまとめて学習し,時間的な変化を含む構造を捉えます → 動作解析のためのデータ拡張,時系列3次元データの再構成への応用 https://ieeexplore.ieee.org/document/11228866   [ホンダとの共同研究] 把持動作を学習するロボット制御のための3次元表現学習の技術 ロボットハンドの「つかみ方」をモデル化し,柔軟な把持動作の学習に向けた3次元表現学習を実現しています → ロボティクス応用   深層学習・ニューラルネットワークの基礎から応用までの講義 MLP から Vision Transformer(ViT)まで,学部・修士向けに講義をしています → ニューラルネットワークの仕組みからプログラミングまで学術指導も可能です   その他の取り組み [ヤマハとの共同研究] 生成モデルを用いた官能検査支援 人の感覚に依存しやすい検査を,生成モデルによって支援する技術を研究しています → 正常・異常の判断・定義が困難な検査工程,異常データを生成したい場合に活用可能   国際会議(CVPR など)の最新動向サーベイ 人の感覚に依存しやすい検査を,生成モデルによって支援する技術を研究しています → 正常・異常の判断・定義が困難な検査工程,異常データを生成したい場合に活用可能   研究者 相澤宏旭AIZAWA HIROAKI 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 助教

    • デジタル/AI
    • バイオエコノミー
    • 医療/ヘルスケア
    2026.05.19
    • デジタル/AI
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    • 医療/ヘルスケア
    データから疾患進行の個人差を読み解く 〜進行の「速さ」と「進み方」の違いを捉える新手法を開発〜

    【本研究のポイント】 疾患進行の個人差を、「どのように進むか」という進行経路と、「どのくらいの速さで進むか」という進行速度に分けて捉える新しい機械学習手法DiSPAHを開発 四肢発症型ALS患者の縦断データを解析した結果、進行経路が異なる複数のサブグループが存在し、さらに各サブグループの中でも進行速度にばらつきがあることを発見 進行速度に関連する遺伝的特徴や疾患の背景にある分子レベルの仕組みの一端を解明 DiSPAHから得られる情報はALS関連機能低下リスクの評価に役立ち、初期の臨床情報や遺伝情報から将来の進行を見通す手がかりとなる可能性を示唆   【研究概要】名古屋大学大学院医学系研究科データ駆動生物学の矢田 祐一郎 准教授、本田 直樹 教授(兼任:広島大学大学院統合生命科学研究科特任教授)の研究グループは、疾患進行の個人差を「どのように進むか」という進行経路と、「どのくらいの速さで進むか」という進行速度に分けて捉える新しい機械学習手法DiSPAHを開発しました。神経変性疾患をはじめとする慢性疾患の多くは、患者ごとに症状の現れ方や進行の速さが大きく異なるため、予後予測や治療計画、臨床試験の設計が難しいことが課題となってきました。しかし、既存の解析手法では、「どのような症状から優先的に現れるのか」という「進行経路」と、「症状の変化がどのくらいの速さで進むのか」という「進行速度」を明確に区別して捉えることが難しく、それぞれの個人差の要因を十分に明らかにできませんでした。   本研究では、進行に個人差が大きいことが知られている筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象とし、四肢発症型ALS患者264人におけるALS機能評価尺度の縦断データをDiSPAHで解析しました。その結果、ALSの進行は一様ではなく、複数の特徴的な進行経路を示すサブグループが存在すること、加えて同じサブグループの中でも進行速度にばらつきがあることが明らかになりました。さらに、より大規模なALS患者を対象とした研究から得られた2,565人のデータを用いた解析でも、同様の進行パターンが再現されました。 また、進行速度に関連する遺伝的特徴や分子基盤の一端が示されるとともに、DiSPAHから得られる情報がALS関連機能の低下リスクの評価に役立つ可能性も示されました。今後、検証を重ねることで、DiSPAHが疾患進行の理解を深め、将来的には患者ごとの予後予測や個別化医療への応用につながることが期待されます。 本研究成果は、2026年5月12日付で、国際学術雑誌『npj Digital Medicine』にオンライン掲載されました。   1. 背景神経変性疾患をはじめとする慢性疾患では、同じ病気であっても、ある患者では急速に進行する一方、別の患者では比較的ゆっくり進行するなど、経過に大きな個人差があります。加えて、どのような症状から現れ、どのような順序で進行していくのかも患者によって異なります。こうした個人差の大きさは、予後予測や治療計画の立案、さらには臨床試験の設計を難しくする要因となってきました。 近年では、同じ患者を長期間追跡して得られた臨床縦断データを機械学習モデルで解析し、観測される症状や検査結果の変化の背後にある、直接は観測できない疾患進行状態を仮定し、その状態の推移を推定する技術の開発が進められています。しかし、既存の手法では、「どのような症状から優先的に現れるのか」という「進行経路」と、「症状の変化がどのくらいの速さで進むのか」という「進行速度」とを明確に区別して捉えることが難しく、それぞれの個人差の要因を十分に明らかにできませんでした。 図1:疾患進行の「進行速度」と「進行経路」の個人差を切り分ける機械学習モデル 2. 研究成果本研究グループは、患者ごとの「進行経路」と「進行速度」を切り分けて同時に推定するため、連続時間隠れマルコフモデル*1)に基づく機械学習手法DiSPAHを開発しました。DiSPAHは、臨床縦断データを解析することで、症状変化の背後にある目に見えない疾患進行状態を同定し、あわせて患者ごとに、状態遷移のパターンとして表される進行経路と、遷移の進みやすさを表す進行速度を明らかにします(図1)。 研究グループは、「進行経路」だけでなく「進行速度」にも大きな個人差があることが知られている筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象に、ALS機能評価尺度であるALSFRS-R*2)の臨床縦断データに本手法を適用しました。まず、米国のAnswer ALSコホートのうち条件を満たした264人の四肢発症型ALS患者の縦断データを解析し、DiSPAHによって患者ごとの進行速度と進行経路を推定しました。その結果、ALSの進行は一様ではなく、6つの特徴的な進行経路を示すサブグループが存在し、加えて各サブグループの中でも進行速度に一定のばらつきがあることが明らかになりました(図2)。さらに、Answer ALSコホートで同定された疾患進行状態をもとに、より大規模なPRO-ACTコホートの2,565人のデータを同じ手法で解析したところ、Answer ALSコホートで認められた進行パターンと似た傾向が再現されました。 図2:DiSPAHにより同定された進行経路のサブグループと進行速度 推定された進行速度と遺伝的な特徴の関連を調べると、C9orf72の遺伝子変異をもつ患者では進行速度が速い傾向が示されました。加えて、患者のiPS細胞に由来する運動ニューロン*3)の網羅的な遺伝子発現データ・タンパク質発現データとの関連を解析すると、タンパク質翻訳恒常性の破綻や酸化ストレスが進行速度に関わっている可能性が示唆されました。 臨床的な意義としては、臨床縦断データの追跡期間全体からDiSPAHが推定した進行速度や進行経路は、生存やALS関連機能の低下リスクと関連していました。さらに、進行速度や進行経路は追跡開始時点の臨床情報と遺伝情報からある程度予測可能であり、ALS関連機能低下リスク定量の性能を評価した結果、従来の指標だけでは捉えにくい情報をDiSPAHが補える可能性が示されました。   3. 今後の展開本研究で開発したDiSPAHは、疾患進行の個人差を「進行経路」と「進行速度」に分けて捉えることで、従来の手法では捉えにくかった疾患進行の違いをより細やかに理解することを可能にする新しい枠組みです。今後、より多様なALSの病型や、他の神経変性疾患を含むさまざまな慢性疾患への応用、より多くの医療機関や患者集団を用いた検証を進めることで、手法としての信頼性や汎用性の向上が期待されます。将来的には、初診時に近い段階で得られる情報からその後の疾患進行を見通せるようになれば、患者一人ひとりに応じた説明や治療計画の立案、さらには治験参加者の選定などへの応用も期待されます。また、進行の仕方に関連する遺伝的背景や分子基盤の理解が深まることで、新たな病態理解や治療標的の探索につながる可能性もあります。 ムーンショット目標2「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」では、疾患の発症や進行を早期に捉え、予測・予防につなげるための研究開発が進められています。DiSPAHは、臨床データから疾患進行の個人差を捉え、将来的な疾患進行リスクの評価にもつなげることができる手法です。データに基づく疾患予測技術の発展に貢献し、将来的な超早期予測・予防の実現に向けた基盤として、ムーンショット目標2の達成に寄与することが期待されます。   4. 支援・謝辞本研究は、以下の研究プロジェクトの支援のもとで行われたものです。 JST ムーンショット型研究開発事業 目標2「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」 JPMJMS2024 JSPS 科学研究費助成事業 JP23K16994 AMED 脳神経科学統合プログラム(個別重点研究課題)JP24wm0625416 and JP25wm0625322 JST 戦略的創造研究推進事業 CREST「複雑生体現象の予測と制御に向けた離散・連続の統合幾何解析の構築と応用」 JPMJCR25Q2 また、本研究では米国AnswerALSコホートおよびPRO-ACTコホートのデータを使用しました。   【用語説明】 *1)連続時間隠れマルコフモデル:時間の経過に伴う確率的な状態の変化を表す数理モデルの1つ。「隠れ」とは、状態が直接は観察できないことを意味し、本研究では疾患の進行状態に相当する。「連続時間」は、観察の間隔が一定でないデータも扱えることを意味し、受診時期が不規則な臨床データの解析に適している。 *2)ALSFRS-R:ALS Functional Rating Scale-Revised の略で、ALSの機能障害の程度を評価するために広く用いられている指標。会話・嚥下、手の動き、歩行、呼吸などに関する12項目から構成され、患者の日常生活機能を総合的に評価する。 *3)運動ニューロン:脳や脊髄から筋肉へ信号を送り、体を動かす働きを担う神経細胞。ALSでは、この細胞が障害されることで筋力低下が生じる。   【論文情報】雑誌名:npj Digital Medicine 論文タイトル:Decomposing heterogeneity in disease progression speeds and pathways 著者:Yuichiro Yada1,2 and Honda Naoki1,3,4 1. Nagoya University Graduate School of Medicine 2. Institute for Advanced Research, Nagoya University 3. Graduate School of Integrated Sciences for Life, Hiroshima University 4. Center for One Medicine Innovative Translational Research (COMIT), Nagoya University   DOI: 10.1038/s41746-026-02665-8   報道発表資料(2.73 MB) 論文掲載ページ (Decomposing heterogeneity in disease progression speeds and pathwaysに移動します) 広島大学研究者ガイドブック (本田直樹 特任教授)   【お問い合わせ先】 【研究者連絡先】 名古屋大学大学院医学系研究科データ駆動生物学 准教授矢田祐一郎(やだゆういちろう) TEL:052-744-1980 E-mail:yada.yuichiro.k4*f.mail.nagoya-u.ac.jp   【報道連絡先】 名古屋大学医学部・医学系研究科 総務課総務係 TEL:052-744-2228 FAX:052-744-2785 E-mail:iga-sous*t.mail.nagoya-u.ac.jp   広島大学広報グループ TEL:082-424-4383 FAX:082-424-6040 E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp   科学技術振興機構 広報課 TEL:03-5214-8404 FAX:03-5214-8432 E-mail:jstkoho*jst.go.jp   【JST事業連絡先】 科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業部 松尾 浩司(まつおこうじ) TEL:03-5214-8419 FAX:03-5214-8427 E-mail:moonshot-info*jst.go.jp   東海国立大学機構は、岐阜大学と名古屋大学を運営する国立大学法人です。 国際的な競争力向上と地域創生への貢献を両輪とした発展を目指します。 東海国立大学機構HPhttps://www.thers.ac.jp/   (*は半角@に置き換えてください)

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    2026.01.19
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    ウェーブレットに基づいた円滑化技術による寿命分析の改善に関する検討

    アピールポイント ウェーブレット変換により,任意の寿命関数を異なる解像度で表現. 既存の寿命分析関数にウェーブレット変換を適⽤することで適合精度が向上. 部品やハードウェアに対して,より精度の⾼い寿命分析が可能.   研究のねらい 部品の故障が製品もしくはシステム全体の故障につながることを防ぐため、寿命分布を統計的に推定し、計画的な保守・点検を⾏う必要がある.本研究ではウェーブレットに基づいた寿命分布関数の円滑化技術を開発し,既存の寿命関数に「ズームレンズ」をかけるイメージで異なる解像度で表⽰できる.この円滑化技術を既存の寿命関数に適⽤することによって,より精度の⾼い寿命分析を⾏い,保守コストの削減や信頼性の向上に繋げる.   研究内容   1,背景 寿命分析とは部品の故障時間データから寿命分布関数を統計的に推定し,⼀定の時間において部品が故障しない確率(信頼度)を予測することである.⾼い精度の寿命分析により予防保全の計画策定か製品品質及び顧客満⾜度の向上に繋げたい.   2,ノンパラメトリックモデル 部品の故障時間が従う分布(例えば,指数分布)が事前にわかっていれば,最尤法などを使ってデータからパラメーター推定を⾏えばよい.しかしながら,多くの場合,部品の寿命分布に関して事前知識がないことが多い.ノンパラメトリックモデルは寿命分布に関する事前知識が必要ない汎⽤的な統計⼿法である.   3,ウェーブレットに基づいた円滑化技術 ここで、 ɤは形状パラメーター、mは解像度パラメーター、kɤ,m(t,s)はドブシーウェーブレットで構成された再生カーネル,λ(・)は任意の既知のノンパラメトリックモデル、λm(・)は解像度レベルmで円滑化されたノンパラメトリックモデル   4,応⽤例 NPMLE ︓ノンパラメトリック最尤推定量 NPMLWE︓円滑化技術を適応したNPMLE LogLogist︓パラメトリックモデル(baseline)   5,ツール開発︓Daubechies-WET ⼩修理回数を表すNHPP(⾮定常ポアソン過程)に対して,いくつかのノンパラメトリックモデルやウェーブレットで円滑化されたモデルを実装したツールを開発. HP: daubewet.wujingchi.com   関連情報 【論⽂】 J. Wu, T. Dohi and H. Okamura (2025), A novel lifetime analysis of repairable systemsvia Daubechies wavelets, Annals of Operations Research, vol. 349, pp. 287–314. 【知財】なし   研究者 呉 敬馳WU JINGCHI 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 特任助教

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    • 医療/ヘルスケア
    2026.05.20
    • デジタル/AI
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    原子力・放射線事故発生時にスマホを使って現場で放射線測定が可能に 安価で持ち運べる線量測定システムを開発

    【本研究成果のポイント】 市販の線量計用ラジオフォトルミネセンス(RPL)ガラスと携帯可能な紫外線(UV)照射装置(価格5万円前後)、およびスマートフォンを組み合わせた、低コストで携帯可能な緊急時線量測定技術を開発 緊急事態発生時に個人で高線量被ばくの検出・評価が可能に 放射線影響が懸念される線量レベルでの測定精度は5%未満 現場における患者の迅速なトリアージに貢献   【概要】広島大学原爆放射線医科学研究所線量測定評価研究分野の大学院生・リサーチアシスタントであるソヘイル・アガバクルイと保田浩志教授は、株式会社千代田テクノル大洗研究所(茨城県)の柳田由香研究員、小口靖弘所長の両氏とともに、スマートフォンを使った緊急時用の線量測定技術を新たに開発しました。本研究成果は2026年3月17日、The European Physical Journal Plus誌(Springer Nature社)に掲載されました。   【背景】放射線被ばくの影響から人々を守るには、迅速な個人単位の線量評価が不可欠です。銀を添加したアルカリリン酸塩ガラスからなるRPL線量計は、個人被ばくおよび環境モニタリングに広く用いられています。 しかし、RPL線量計の読取りには通常、大型で高価な装置が必要であり、原子力事故等の放射線緊急事態に求められる、被ばくした人の線量を現場で直ちに評価して適切な医療処置を施せるようにすることは困難です。安価で個人で携行できる装置を用いて、誰もが正確で再現性の高い線量測定ができるようになれば、より安全・安心な放射線業務の遂行と、万が一の事故発生時にも迅速で確かな治療の実施につながるものと期待されます。   【研究成果の内容】放射線業務従事者の被ばく管理に使われている市販のRPLガラス(8mm×8mm×1.5mm)に、X線(160kVp、6.3mA)を0.5~10Gyの範囲で照射し、携帯型UV照射器(波長λ=254mm)でUV光を当てると、RPLガラスは青色から線量に応じた強度のオレンジ色へ変化することが確認されました。このRBG(赤・緑・青)カラー画像を、ISO感度(ISO)、ホワイトバランス(WB)、シャッタースピード(SS)を変えながら、異なるタイプのスマートフォン(サムソン社製GalaxyS23およびNote8)で撮影し(図1)、色強度と線量の関係を明らかにしました。 RGB色成分のうち、赤色は両スマートフォンにおいて最も強く、かつ一貫した線量応答を示しました。高感度測定(ISO800~1600、ホワイトバランス9000~10000K、シャッタースピード0.1秒)の撮影条件では相対的な背景ノイズが最小になり、RPLの強度を正確に(3回の測定で5%未満の変動で)測定できることが確認できました(図2)。本研究で得られた知見から、RGB色強度と線量との関係を予め定量化しておき、スマートフォンのカメラ設定を最適化すれば、本研究で提案した安価なシステムを用いて、放射線誘起RPLを正確に測定し、放射線の健康への影響の観点から重要な0~10Gyの線量範囲を正確に評価できることが確認されました。   【今後の展開】本研究で得られた知見を基盤として、今後はさらに小型で安価なUV照射装置および最新モデルのスマートフォンの多様な組み合わせに適用できる、標準となる緊急時線量測定用のプロトコル確立を目指して検討を進めていく予定です。   【論文情報】 掲載誌:The European Physical Journal Plus 論文タイトル:A low-cost emergency dosimetry technique using radiophotoluminescence glass DOI:https://doi.org/10.1140/epjp/s13360-026-07529-4 著者名:Soheil Aghabaklooei, Hiroshi Yasuda*, Yuka Yanagida & Yasuhiro Koguchi   本研究は、日本学術振興会(JSPS)「Japan’s Peak Research Universities形成プログラム(JSPS J-PEAKS)」および「放射線災害医療科学ネットワーク型共同利用・共同研究拠点プログラム」の一部支援を受けて実施されました。   報道発表資料(465.48 KB) 論文掲載ジャーナル (The European Physical Journal Plus) 広島大学研究者ガイドブック (保田浩志 教授)   【お問い合わせ先】 広島大学原爆放射線医科学研究所保田浩志 Tel:082-257-5872FAX:082-257-5873 E-mail:hyasuda*hiroshima-u.ac.jp   (*は半角@に置き換えてください)

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    2021.01.25
    • デジタル/AI
    ロボットの周期運動と⾮周期運動の精密/安全な制御と診断

    周期運動と⾮周期運動を診断・制御するアルゴリズム   周期/⾮周期運動を、より⾼精度、より安全に、制御・診断する 産業⽤ロボットや⾃動機械の多くは⼤量⽣産のため繰り返し作業(周期運動)を実施します。さらにそこには、故障・摩耗・⼈間との接触などに起因する異常(⾮周期運動)も潜んでいます。これら、周期運動と⾮周期運動を対象とした機械システムの⾼精度化・安全化・異常検知を実現する制御・診断アルゴリズムの研究開発を⾏っています。   機械システムの制御・診断   USE CASE 01 ⾃動機械 APPLICATION周期外乱の推定・補償よる精密位置決め 繰り返し作業する⾃動機械の位置決め精度を悪化させる周期外乱(振動)の問題へ、周期外乱を推定・補償する制御アルゴリズムによりこれを解決します。   USE CASE 02 協働ロボット 周期運動の精密制御と⾮周期運動の安全制御 繰り返し作業(周期運動)へ精密な位置制御を、⼈間との突発的な接触(⾮周期運動)へ安全な⼒制御を実現することで、協働ロボットへ精密かつ安全な運動を実現します。   USE CASE 03 診断・検査 ⼤量⽣産された製品の押し込み検査や繰り返し運転する機械から計測される⼒より、正常な周期⼒と異常な⾮周期⼒を分離することで、異常品や 異常運転をリアルタイム検出します。     周期/⾮周期問題を解決する実時間アルゴリズム STRENGTHS 01 周期/⾮周期の⽬線 運動に潜む周期現象と⾮周期現象を捉える問題発⾒と、周期/⾮周期の性質を活⽤したアルゴリズム開発による、ユニークな周期/⾮周期の問題解決を提供します。   STRENGTHS 02 アルゴリズム開発 可能な限り既存の機構や運転環境(ハードウェア)を保存しつつ、機械システムの運動を取り巻く問題はアルゴリズム(ソフトウェア)によって解決します。   STRENGTHS 03 リアルタイム性 リアルタイムな制御・診断が、機械システムを取り巻くその瞬間の問題へ、その瞬間に対応します。   周期/⾮周期分離技術 TECHNOLOGY 01 周期/⾮周期分離フィルタ 運動に潜在する周期運動と⾮周期運動を制御・診断するには、まず、位置・速度・加速度・⼒といった運動に関する信号を周期信号と⾮周期信号へ分離しなければなりません。この分離の要となるのは、村松がこれまでの研究で独⾃に発明した「周期/⾮周期分離フィルタ」です。この分離フィルタを⽤いることにより、あらゆる周期運動と⾮周期運動の制御・診断が実現されます。   機械システムの周期/⾮周期問題を解決します 共同研究仮説01 既存の機械システムを対象とした共同研究 今、利⽤している機械を⾼度化しましょう   共同研究仮説02 新たな機械システムを開発する共同研究 これから、活⽤したい機械システムを開発しましょう 産業⽤機械やロボットのハードウェアから共に開発していきましょう。そして、開発したハードウェアへ制御・診断のアルゴリズムを実装します。   備考(関連論文) H. Muramatsu and S. Katsura, IEEE Transactions on Industrial Informatics, 2018. H. Muramatsu and S. Katsura, IEEJ Journal of Industry Applications, 2019. H. Muramatsu and S. Katsura, Automatica, 2019. H. Muramatsu and S. Katsura, IEEE Transactions on Industrial Electronics, 2020.   研究者 村松久圭(MURAMATSU HISAYOSHI) 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 准教授

    • デジタル/AI
    2017.10.01
    • デジタル/AI
    極端な変形下でも計算を続行できる 変形シミュレーション技術

    研究者のねらい 人間と協働するロボットへの応用を意図していました。 モーターの発生力や速度に制限をかけた上で正確な動作を実現します。 そして、 動作中に人間が接触したり、 誤った目標位置指令を与えてしまったりした場合にも、安全に穏やかに作業を続行できます。 ロボットの位置制御だけでなく、他の様々な制御 (接触力、空気圧、 液圧、電圧、電流など) にも使える可能性があります。 人間や環境と接触して作業するロボット, 人間と協調作業するロボット, 遠隔操作ロボットなどへの応用が可能です。   研究内容 物理現象のリアルタイム/インタラクティブ (実時間/相互作用的) シミュレーションに使える様々な計算技術の開発を行っています。 たとえば、既存ソフトウェアでのシミュレーションで、「計算が遅い」 「計算が発散してしまう」 「計算が止まってしまう」などへの対応が可能です。   備考 ホームページ(https://home.hiroshima-u.ac.jp/kikuuwe/ ) Youtubeのチャンネル( https://www.youtube.com/kikuuwe) 動画1( https://youtu.be/SFFCbUdioEQ) 動画2 ( https://youtu.be/S4bJS8SGZXU) 動画3 (https://youtu.be/R5iJgJ7VApc)   研究者 菊植亮(KIKUUWE RYO) 大学院先進理工系科学研究科 広島大学 教授

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