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    2025.05.26
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    〜デーツの健康効果に新たな知見〜 線虫を用いた実験で、寿命延長の可能性を確認

    広島工業大学 環境学部 食健康科学科の角川幸治教授、広島大学大学院 統合生命科学研究科水沼正樹教授および荒川賢治教授、お多福醸造株式会社による共同研究により、ドライフルーツの一種である「デーツ」に、線虫の最大寿命に大きな影響を与えることなく、平均寿命(Mean Lifespan:MLS)のみを延ばす効果があることが明らかになりました。 本研究成果は、公益社団法人日本生物工学会が発行する英文誌『Journal of Bioscience and Bioengineering』において、2025年5月10日にオンライン公開されました。 (DOI:10.1016/j.jbiosc.2025.04.006)   研究の背景と目的 近年、健康寿命の延伸が社会的課題となる中で、食品の持つ抗老化作用に注目が集まっています。本研究では、日常的に摂取されることの多いドライフルーツの寿命延長効果に着目し、線虫(Caenorhabditis elegans)を用いた検証を行いました。   研究概要 市販のドライフルーツ5種類(デーツ、パイナップル、イチジク、マンゴー、プルーン)を線虫に摂取させ、寿命測定を行った結果、すべてのドライフルーツにおいて平均寿命(MLS)が有意に延長されました(図1)。特にデーツにおいては、最大寿命にはほとんど変化がないにもかかわらず、平均寿命が著しく延びる(延長率:37.1%)という特異な結果が得られました。 次に、最大寿命と平均寿命を標準化してZ値を算出し、ΔZ比(平均寿命と最大寿命の差)として各種ドライフルーツと比較したところ、デーツは他の果実と比べて平均寿命の延長効果が際立っていることが明らかになりました(図2)。 この特異な効果が特定の品種によるものかを検証するため、市販されている8種類のデーツを用いて同様の実験を行ったところ、いずれの品種でも平均寿命の延長が認められ、デーツ全般に共通した現象であることが確認されました(図3)。   成分分析と今後の展望 成分分析の結果、これまで寿命延長作用が報告されている既知の成分は、調査対象となったデーツには含まれていない、または影響していないことが判明しました。すなわち、デーツにはこれまで知られていなかった、新たな「平均寿命延長成分」が含まれている可能性が示されました。 今後はこの成分の特定を進め、抗老化に資する健康食品の開発に向けて研究を継続してまいります。   線虫(せんちゅう)とは 線虫:Caenorhabditis elegans(図4、以下 C. elegans)は、体長約1 mmの非寄生性線虫であり、大腸菌を餌として寒天培地または液体培地上で容易に飼育することができます。C. elegansの最大の特徴は、神経や筋肉を含む約1,000個の全細胞について、その細胞の発生の過程(系譜)がこれまでの研究により明らかにされている点です。線虫は、約3日で成虫となり、数日間にわたって産卵を行った後、加齢により徐々に活動が低下し、約3週間で寿命を迎えます。 1998年には、多細胞生物として世界で初めて全ゲノムが解読されました。C. elegansは、哺乳類を用いた動物実験に比べて設備や飼育のコストが低く、取り扱いが簡便であるという利点があるほか、動物愛護の観点から規制対象外とされていることから、研究用途に非常に適しています。 特筆すべきは、哺乳類を含む高等動物と共通する老化関連のシグナル伝達経路を数多く有している点です。これにより、C. elegansは抗老化研究のモデル生物として、現在も世界中の研究機関で広く活用されています。   デーツとは デーツ(図5)はナツメヤシ属の果実で、アラブ文化圏では主食の1つとして親しまれています。日本では嗜好品として市販されており、古くから「神が与えた果実」や「生命の樹」として崇められてきました。旧約聖書にも登場するなど、歴史的にも重要な果実です。 これまでに多くの栄養成分・機能性成分が明らかにされてきましたが、デーツ摂取による生体への具体的な影響についての研究は限られており、本研究はその新たな知見を提供するものとなります。 図1. ドライフルーツを摂食させた線虫の寿命測定結果 図2. ドライフルーツを摂食させた線虫のΔZ比 図3. さまざまなデーツを摂食させた線虫のΔZ比 図4. 線虫 (Caenorhabditis elegans) 図5. デーツ   論文情報 掲載誌: Journal of Bioscience and Bioengineering タイトル: Date, a major dried fruit, extends the lifespan of Caenorhabditis elegans DOI: https://doi.org/10.1016/j.jbiosc.2025.04.006   【研究成果】〜デーツの健康効果に新たな知見〜線虫を用いた実験で、寿命延長の可能性を確認_0.pdf(1.07 MB) 科学雑誌:Journal of Bioscience and Bioengineering 研究者ガイドブック(水沼 正樹 教授) 研究者ガイドブック(荒川 賢治 教授)   【お問い合わせ先】 <研究に関すること> 広島工業大学 環境学部 食健康科学科 教授角川 幸治 Tel:082-921-6472 E-mail:k.kakugawa.db@it-hiroshima.ac.jp   広島大学大学院 統合生命科学研究科 教授水沼 正樹 Tel:082-424-7765 E-mail:mmizu49120@hiroshima-u.ac.jp   広島大学大学院 統合生命科学研究科 教授荒川 賢治 Tel:082-424-7767 E-mail:karakawa@hiroshima-u.ac.jp     <報道(広報)に関すること> 広島工業大学 広報部石田 知世 Tel:082-921-3128 E-mail:kouhou@tsuru-gakuen.ac.jp   広島大学 広報部 Tel:082-424-6762 E-mail:koho@office.hiroshima-u.ac.jp

    • 医療/ヘルスケア
    • 健康/スポーツ
    2023.10.23
    • 医療/ヘルスケア
    • 健康/スポーツ
    夜勤時の覚醒水準の維持と疲労感の低減を可能とする仮眠のとり方 ~90分間と30分間の分割仮眠と120分間の単相性仮眠の効果~

    研究成果のポイント 夜勤中にとる仮眠は眠気を軽減し、パフォーマンスの維持にも有効であることが明らかになっています。眠りには、急速眼球運動を伴うレム睡眠と伴わないノンレム睡眠の2種類があり、ノンレム睡眠の睡眠段階3は徐波睡眠(深睡眠)と呼ばれ、脳の休息と回復、成長に関与し、入眠後90分程度で最初のレム睡眠が出現し、情報制御に関する点検と更新が行われていると考えられています。その為、入眠に要する時間も加味して疲労の回復には120分間の仮眠が推奨されていますが夜勤中にとる仮眠取得時間は限られています。今回、16時間夜勤(16:00-09:00)を想定し、120分間の仮眠を1回にまとめてとる単相性仮眠と120分間を90分間と30分間に分けてとる分割仮眠と比較した結果、仮眠を分割することで早朝の眠気を抑え、特に疲労感の低減効果に優れていることを明らかにしました。 この研究成果は、長時間夜勤に従事する看護師や、夜間に危険を伴う作業に従事する労働者など、長時間集中力の維持を可能とし、労働者の健康にも有効な仮眠のとり方の確立に繋がることが期待されます。   概要 広島大学大学院医系科学研究科基礎看護開発学 折山早苗教授は、これまでに看護師の労働環境、特に夜勤時の仮眠について研究し効果を検証してきました。今回、これまでに収集した実験データを再分析し、16時間夜勤を伴う2交代制勤務の看護師の一般的な夜勤の時間帯を想定し120分間の仮眠(22:00-00:00)をまとめてとる単相性仮眠条件1)、90分間(22:30-00:00)と30分間(02:30-03:00)に分けた分割仮眠条件2)、仮眠をとらない仮眠条件3)の3条件を睡眠状態、心拍変動、眠気や疲労感、クレペリン検査による計算数を比較検討しました。   結果、仮眠時の平均の睡眠時間は、120分間仮眠が93.1分間、90分間仮眠が68.4分間、30分間仮眠が20.1分間で、睡眠効率*1の平均はいずれも90%以上、睡眠潜時*2の平均は10分以下でした。仮眠間で統計的な違いを認めませんでした。仮眠時の睡眠状態と仮眠直後の体温、眠気、疲労感、計算数の相関関係から、総睡眠時間が長いと120分仮眠は疲労感が増加し、30分仮眠は眠気が増加することが明らかになりました。また、90分仮眠は睡眠潜時が短いと、体温が上昇し、眠気や疲労感も増加することが示されました。 仮眠をとらない条件は早朝に眠気や疲労感が増加しましたが、仮眠を2回に分けてとった分割仮眠条件が、仮眠を1回にまとめてとった単相性仮眠条件よりも早朝の眠気を抑え、疲労感の低減効果に優れていることを確認しました。本研究成果は、夜間睡眠が限られる長時間の夜勤状況下においては、1回の仮眠をとるよりも2回に分けて仮眠をとる方が、眠気や疲労感の低減に繋がることが示されました。また、仮眠をとる時刻や時間で覚醒時の体温や眠気や疲労感に影響することが明らかになりました。  本研究成果は、夜勤に従事する労働者の疲労感の改善、覚醒水準維持のための有効な仮眠のとり方を開発する基礎資料として役立てられることが期待されます。 本研究成果は、2023年6月18日に国際科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。   論文情報 掲載誌:Scientific Reports 論文タイトル:Effects of 90- and 30-min naps or a 120-min nap on alertness and performance: reanalysis of an existing pilot study 著者名:Sanae Oriyama 広島大学大学院医系科学研究科基礎看護開発学 DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-023-37061-9   背景 夜勤時にとる仮眠には、記憶力や学習能力の向上、覚醒水準の維持や疲労の改善に効果があります。さらに仮眠は、ヒューマンエラーのリスクを低減することで安全性を高める可能性もあります。 看護師は、患者サービスを24時間提供する職務の性質上、交代制勤務が不可欠です。看護師の交代制勤務で最も長時間の夜勤は16時間とされ、看護師の疲労や眠気の増加による医療安全に対するリスクの増大が危惧されています。こうした状況の中、夜勤時にとる仮眠の効果が注目され、16時間夜勤に従事する看護師の多くは仮眠をとっていますが、眠気や疲労、作業能力を維持するため有効な仮眠のとり方は十分に明らかになっていません。   これまでの仮眠研究は、昼間にとる15分間の仮眠など短時間仮眠の有効性が明らかにされていますが、夜間の仮眠については、120分間以上の仮眠が推奨されています。しかしながら、看護師の勤務は、交代で休憩に入るため、仮眠の取得時刻や時間は一様ではありません。そのため、120分間の仮眠の取得時刻によっては、長時間の夜勤終了時まで効果を持続することは難しい場合もあります。そこで、今回、120分間の仮眠をまとめてとる場合と90分間と30分間に分割して仮眠をとる場合を比較し、仮眠による眠気や疲労感の変化を明らかにしました。   研究成果の内容 本研究は、これまでに実施した実験結果を再分析しました。睡眠に影響する因子として、年齢や女性ホルモンが影響し、夜勤従事者は夜勤慣れが生じると言われています。中高年齢期の睡眠は加齢とともに質が悪くなり、女性では性周期も影響し黄体期に比較的倦怠感が強く、眠気も増加傾向となります。また、看護師の多くが女性であることを考慮し、対象者は、夜勤経験のない大学4年次の女子学生とし、黄体期を避けてデータを収集しました。単相性仮眠条件(仮眠時刻:22:00-00:00)1)を14人、分割仮眠条件(仮眠時刻:22:30-00:00、02:30-03:00)2)12人、仮眠なし条件3)を15人の計41人を対象として仮眠の効果を検証しました。夜勤時間帯を16:00-09:00とし、実験開始から終了まで心拍変動より自律神経活動を確認するためアクティブトレーサー(GMS Inc., Tokyo, Japan)を装着しました。1時間毎に口腔温を測定し、眠気や疲労感の自覚的評価としてVisual analog scaleを使用しました。また、クレペリン検査による1桁の計算を10分間実施しました。毎時間、測定時間を20分間、自由時間20分間、安静時間を20分間としました。なお、前日から実験後までアクチグラフ(Ambulatory Monitoring Inc., Ardsley, NY, USA)を非利き手に装着し、睡眠状況も確認しました。   結果、仮眠時の平均の睡眠時間は、120分仮眠が93.1分間、90分間仮眠が68.4分間、30分間仮眠が20.1分間で、睡眠効率はそれぞれ90.5%、96.2%、99.1%、睡眠潜時は8.6分間、9.3分間、5.8分間で、睡眠効率、睡眠潜時は仮眠間で統計的に違いを認めませんでした。睡眠状態と仮眠直後の体温、眠気、疲労感、計算数の相関関係の結果から、総睡眠時間が長ければ120分仮眠は覚醒時に疲労感が増加し、30分仮眠は眠気が増加することが明らかになりました。また、90分仮眠は睡眠潜時が短いと、覚醒時に体温が上昇し、眠気や疲労感も増加することが示されました(表)。この結果から、22:00に120分間の仮眠をとる場合は120分間よりやや短い時間とする方が覚醒時の疲労感を抑える可能性が示されました。また、22:30に90分間の仮眠をとる場合には、昼間に短時間の仮眠をとり睡眠欲求を低減することが必要かもしれません。さらに、02:30に30分間の仮眠をとる場合も30分間より短時間にすることで、覚醒時の眠気を抑えることができるかもしれません。   仮眠をとらない条件は早朝の04:00-09:00に眠気や疲労感が増加し、計算数も低下しました。計算数については、仮眠をとった条件と仮眠をとらなかった条件で同様に低下しました(図A)が、疲労感は、仮眠を2回に分けてとった分割仮眠条件が、仮眠をまとめてとった単相性仮眠条件よりも04:00-09:00の期間、有意な疲労感の低減効果を認めました(図B)。また、眠気についても、仮眠直後に一時的に増加しましたが、分割仮眠条件は06:00までは眠気が少なく覚醒水準の維持効果を確認しました(図C)。   今後の展開 本研究では、120分間仮眠を90分間と30分間に分割しその効果を確認しましたが、今後は仮眠直後の一時的な眠気や疲労感の増加を防ぐ方法を組み合わせたり、仮眠環境の整備をしたりすることで夜勤時の疲労や眠気を理由に離職する看護師の離職防止にもつなげることが期待されます。 さらに将来的には、看護師だけでなく夜行バスのドライバーや交代制勤務に従事する工場で働く労働者などを対象として、夜勤中に覚醒水準の維持が必要とされる時間帯に合わせた仮眠のとり方を開発することで、労働者の心身の負担軽減と安全安心な職場環境の醸成にも期待されます。   参考資料   用語説明 *1睡眠効率:入眠から起床までの時間帯に占める全睡眠時間の割合(%) *2睡眠潜時:静止期時間帯の始まりから入眠までの時間(分)   報道発表資料(722.01 KB) 掲載誌:Scientific Reports 研究者ガイドブック(折山 早苗 教授)   【お問い合わせ先】 大学院医系科学研究科基礎看護開発学折山早苗 Tel:082-257-5355 E-mail:oriyama*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)

    • 健康/スポーツ
    • 経営/組織運営/デザイン
    2018.08.16
    • 健康/スポーツ
    • 経営/組織運営/デザイン
    “幸福感”は年収の高さに依存するのか? ~心理的傾向「マインドフルネス」の影響を初めて解明~

    本研究成果のポイント 一般に収入の高い人の方が、幸福感が高い傾向にあります。しかし「マインドフルネス」という心理的な傾向の高い人は、収入の多い少ないに関わらず、高い幸福感を感じていることを大規模な調査によって解明しました。 「マインドフルネス」傾向はトレーニングで向上させることもできます。今回の結果は幸福にいたる多様な道筋があることを示唆しており、ワークライフバランスや過労の問題など、働く人の多くが直面する問題へのよりよい解決の糸口につながることが期待されます。   概要 広島大学大学院総合科学研究科の杉浦義典准教授と杉浦知子特別研究員との研究グループは、「マインドフルネス」傾向と呼ばれる、自分の経験を言葉にあらわすのが得意であったり、自分の経験に批判的にならないような人は、年収の多い少ないに関わらず幸福感が高いことを明らかにしました。   収入が多い人の方が、幸福感が高い傾向があることは、すでに多くの大規模な研究データで示されています。本研究では、収入が幸福感に影響する人と影響しない人がいるのではないか、さらにその違いは、マインドフルネスと呼ばれる心理的な傾向の違いによるのではないかと考えました。   20歳から60歳までの、社会人734名のデータから、マインドフルネスの傾向の高い人は収入の多少に関係なく常に幸福感が高く、低い人では収入が多い人の方が幸福感が高いという結果が得られました。本研究ではじめて解明されたことは、収入に関係なく高い幸福感をえられる人がいて、その人たちはマインドフルネスの傾向が高いということです。   今回の研究では、マインドフルネスの高い人と低い人を比べています。しかし、マインドフルネスは自分の呼吸にゆっくりと注意を向ける、といったトレーニングによって高めることも可能です。働き過ぎや経済格差が問題となっている現代社会で、幸福になるための新しい道筋が示唆されたといえます。   本研究成果は、スイス科学誌「Frontiers in Psychology」のオンライン版に掲載されました。 図自分の体験を批判的に見ない人は収入と関係なく幸福感が高い(赤い点線)。横軸が年収、縦軸が幸福感です。年収は右にいくほど多いことを示しています(対数変換しているので横軸の数字は金額そのものではありません)。縦軸は上にいくほど幸福感が高いことを示しています。   論文情報 掲載誌: Frontiers in Psychology 論文タイトル: Mindfulness as a Moderator in The Relation Between Income and Psychological Well-Being 著者: 杉浦義典1、杉浦知子1, 2 1. 広島大学大学院総合科学研究科 2. 日本学術振興会 DOI番号: 10.3389/fpsyg.2018.01477   報道発表資料(259.12 KB) 論文掲載ページ(Frontiers in Psychologyに移動します) 広島大学研究者総覧 (杉浦 義典 准教授)   【お問い合わせ先】 広島大学大学院総合科学研究科 ​准教授 杉浦 義典 TEL: 082-424-6573 FAX: 082-424-0759 E-mail: ysugiura*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

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    • 医療/ヘルスケア
    • 健康/スポーツ
    2026.05.14
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    PAI-1阻害薬「TM5614」の抗老化効果をヒトで確認 -XPRIZE Healthspanセミファイナル臨床試験結果-

    【発表のポイント】 XPRIZE Healthspan (注1)のセミファイナル臨床試験において、PAI-1阻害薬「TM5614」(注2)を高齢者へ4ヶ月投与した結果、生物学的年齢(注3)が平均2〜3歳若返るなど、ヒトの遺伝子、遺伝子修飾(エピゲノム)、タンパク・細胞レベルで抗老化効果を確認しました。 免疫、代謝、骨・筋肉、認知・神経生理、凝固・線溶、抗酸化など、広範な改善が確認され、比較的健常な高齢者にも安全に投与可能であることが示されました。 TM5614は「老化細胞を除去し、種々の加齢に伴う症状を改善できる新たな内服薬(Senolytic drug)候補」として健康寿命の延伸に寄与する可能性が示唆され、XPRIZE Healthspanファイナル試験への申請に向けた重要な臨床データが取得できました。   【概要】これまでTM5614は多くのがん患者には投与されてきましたが、比較的健康な高齢者を対象とした臨床試験は初めてです。 東北大学、広島大学、東海大学、株式会社レナサイエンスらは、国際的な長寿コンペティション「XPRIZE Healthspan」のセミファイナル臨床試験(特定臨床研究)を実施しました。本試験では、加齢に伴い発症する疾患(高血圧症、2型糖尿病、慢性腎臓病、高脂血症)を有する50歳以上75歳以下の被験者20例を対象に、TM5614を4ヶ月間投与しました(臨床試験責任医師は張替秀郎東北大学理事・副学長)。その結果、生物学的年齢が平均して2〜3歳若返り、免疫や再生の機能が回復し、老化を促す物質が減少するなど、全身の抗老化を示唆する知見が確認されました。さらに、老化関連microRNA(注4)の減少、抗炎症や代謝改善に関わるタンパク質の変動、免疫細胞および造血幹細胞の機能回復、酸化ストレスマーカーの改善など、遺伝子、遺伝子修飾(エピゲノム)、タンパク、細胞レベルにわたる広範な改善が認められました。また、重大な副作用は確認されず、比較的健康な高齢者に対しても安全に投与可能であることが示されました。 本成果は、老化そのものに介入する内服薬の臨床応用の可能性を示すものであり、健康寿命の延伸に向けた新たな治療戦略として期待されます。今後は、2026年8月のファイナリスト選定を経て、日本、米国、サウジアラビア、台湾との国際共同による大規模臨床試験の実施を目指します。   【詳細な説明】研究の背景XPRIZE Healthspanの公募要項によれば、セミファイナリスト(TOP40)は、最終的な4年間のファイナル臨床試験の実現可能性を支持するための短期間(4週〜8週)、小規模(5~20人)の臨床試験をセミファイナル臨床試験として実施しなければいけません。そこで、東北大学、広島大学、東海大学、株式会社レナサイエンスらは共同で、加齢に伴い発症する疾患(高血圧症、2型糖尿病、慢性腎臓病、高脂血症)を有し、症状が安定している50歳以上75歳以下の20例を対象に、TM5614を4ヶ月間投与する非盲検試験をセミファイナル臨床試験として実施しました(臨床試験責任医師は張替秀郎東北大学理事・副学長)。 投与期間が短期間のため、各種臓器の抗老化作用を評価することは難しいことから、老化、免疫、代謝、骨・筋肉、認知・神経生理、抗酸化、造血幹細胞など、各種臓器の老化に関わる遺伝子、エピゲノム(遺伝子修飾)、タンパク、細胞などのバイオマーカー(注5)の変動を解析しました。 実施医療機関は東北大学、さらに検査などの協力機関として広島大学、東海大学が参加しました。TM5614を4ヶ月間投与した前後の検査が実施できた19名の患者(平均年齢60.4±5.6歳、男性13名、女性6名)を有効性評価の対象とし、TM5614投与を受けた20名の患者を安全性評価の対象としました。 その結果、安全性に関しては、TM5614との因果関係が否定できない有害事象は1例で認められましたが(軽度肝機能異常)、その他の重篤な副作用は出血イベントを含めて確認されませんでした。 また有効性に関して、投与期間は4ヶ月と比較的短い期間でしたが、全身の抗老化を示唆する下記の知見が確認されました。   (1) エピゲノムあるいは遺伝子レベルでの改善 1) 生物学的年齢 (Epigenetic clock)の若齢化 遺伝子 (DNA)のメチル化修飾(エピゲノム)を解析することにより、生物学的年齢を推定することが可能です。白血球を用いたDNAメチル化解析に基づき、Horvath法及びPC-Horvath法(注6)を用いて生物学的年齢を推定した結果、対象者の実年齢(平均60.4歳)に対し推定した生物学的年齢はそれぞれ61.7歳および58.0歳と、実年齢に近い値を示しました。4ヶ月間の投与後における解析では、Horvath法で58.3歳(p< 0.001, 19人中15人で減少)、PC-Horvath法で56.1歳(p< 0.001, 19人中18人で減少)へと有意な若齢化が認められました(それぞれ3.4歳および1.9歳の生物学的年齢の若齢化を確認しました)(図1)。   2)老化関連microRNA(Senescence-associated (SA)-miRNA)の減少 microRNA(miRNA)は、遺伝子発現を調節する長さ約20塩基のRNAです。血清中の老化関連senescence-associated(SA)-miRNAを解析したところ、SA-miRNA(miR-22-3p、miR-18a-5p、miR-28-5p、miR-17-3p、miR-195-5p、miR-205-5p)はいずれも有意に低下し、老化を誘導する遺伝子発現制御が軽減したことが示唆されました(図2)。   (2)タンパクレベルの改善 アプタマー(核酸抗体)を用いたソマスキャンアッセイ(注7)により7596個の血漿タンパク質を解析しました。有意に増加したタンパクが 356個(4.7%)、有意に低下したタンパクが199個(2.6%)でした。19人中多くの被験者が同様に変化し、有意な変動が認められたタンパク質が複数見出されました。抗加齢作用と関連する複数のタンパク質の変化が認められ(図3)、抗炎症作用やマクロファージ機能の改善、骨および筋肉組織形成の改善、認知機能および神経生理機能の改善、抗血栓作用、脂質代謝改善、小胞体(ER)ストレス改善など、老化防止に関わる可能性が示唆されました。   (3)細胞レベルでの改善 1)免疫系の活性化 末梢血中の免疫細胞を表面マーカーで分画したところ、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)(注8)数の減少(p

    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    • 健康/スポーツ
    2026.05.19
    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    • 健康/スポーツ
    働く世代で見つかる「心房細動」は腎機能低下のサイン ―心臓と腎臓の「悪循環」を防ぐため、早期発見が重要

    【概要】広島大学大学院医系科学研究科 福間真悟 教授(兼:京都大学大学院医学研究科 特定教授)、京都大学大学院医学研究科 森雄一郎 博士課程学生(現:同大 特定研究員)、宮崎大学 池之上辰義 教授、京都大学大学院医学研究科 柳田素子 教授らの研究チームは、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入する就労世代の健康診断および医療データを分析し、不整脈の一つである「心房細動(しんぼうさいどう)」が新たに見つかると、その後の腎機能が年齢に伴う自然な低下と比べて加速することを明らかにしました。 これまで心臓に病気のなかった35〜59歳の約770万人のデータから、新たに心房細動が見つかった約2.3万人を追跡調査しました(追跡期間中央値:4.7年)。その結果、心房細動のない人と比べて、年間の腎機能低下スピードが速いことが分かりました。近年、心臓病・腎臓病・代謝疾患が互いに悪影響を及ぼし合う「心血管・腎・代謝症候群」という概念が注目されています。本研究は、働く世代における心房細動が、心臓のみならず腎臓へのダメージを引き起こし、この悪循環を加速させる引き金になりうることを国内最大規模のデータで初めて示したものです。 研究チームは、「健診で見つかった不整脈を単なる1個の異常所見と考えるのではなく、全身の健康を見直すきっかけにすることが重要」とコメントしています。 本成果は、国際学術誌『JAMA Network Open』に2026年米国時間5月14日付(日本時間5月15日)で掲載されました。     働く世代で見つかる「心房細動」が腎機能低下のサインに―心臓と腎臓の「悪循環」を防ぐ早期発見の重要性― 広島大学、宮崎大学、京都大学の研究チームは、国内最大規模の医療保険データを用いた調査により、働く世代(35~59歳)で新たに見つかる「心房細動」が、その後の腎機能低下スピードの上昇と関連していることを明らかにしました。 この成果は、2026年5月14日付で米国医師会の国際学術誌 JAMA Network Open に掲載されました。   1.背景心房細動は健康診断で偶然見つかることも多い不整脈であり、脳梗塞や心不全の重大な原因となります。研究チームは先行研究において、働く世代で見つかった心房細動が、将来の脳梗塞リスクが5倍、心不全リスクが18倍高まる徴候であることを報告しました(2025年、米国心臓協会誌『Circulation』掲載)。 近年、医療の現場では、心臓病、腎臓病、そして肥満や糖尿病などの代謝疾患が互いに悪影響を及ぼし合い、全身の臓器障害を進行させる「CKM(心血管・腎・代謝)症候群」という考え方が重要視されています。しかし働く世代において、新しく見つかった心房細動が心臓そのものだけでなく「腎臓」にどのような悪影響を及ぼすのかは、これまで大規模なデータで検証されていませんでした。   2.研究手法・成果研究チームは、全国健康保険協会(協会けんぽ)のデータ(2015〜2023年)を用い、過去に心血管疾患や末期腎不全のない35〜59歳の男女約770万人の健診記録を分析しました。そのうち、新たに心房細動が見つかった23,510人と、年齢や性別などの条件を揃えた心房細動のない117,550人を比較し、その後の腎機能(eGFR:推算糸球体濾過量)の変化を比較しました。   腎機能の低下スピードが加速: 心房細動が見つかった人は、見つからなかった人と比べて、年間の腎機能低下量(eGFRの低下)が有意に大きいことが確認されました(-1.23 vs. -0.94 mL/min/1.73m²/年)。心房細動が見つかる前の低下スピードには両群で差がなかったことから、心房細動の発症が腎機能低下の引き金になったと考えられます。 大幅な腎機能低下リスクが3倍: 腎機能が基準時から30%以上低下する重大イベントの発生リスクは、心房細動が見つかった人で約3倍(ハザード比2.91)に達しました 正常な脈(洞調律)に戻った人では低下が緩やかに: 心房細動が初めて確認された後、1年後の健診等で正常な脈(洞調律)に戻っていた人は、心房細動が続いていた人と比べて、腎機能の低下スピードが有意に緩やかでした。   3.波及効果【研究の意義】 本研究により、働く世代における心房細動が「心臓」だけでなく「腎臓」の機能低下を加速させるリスク因子であることが明らかになりました。これは、心房細動がCKM(心血管・腎・代謝)症候群の進行を早めるシグナルであることを示唆しており、若い世代における心房細動への早期介入の効果検証研究を心臓のみならず全身を俯瞰するテーマで推進する重要性を指示する結果であり、また心房細動のみならず心臓に生じる軽微な異常をCKM(心血管・腎・代謝)症候群の初期症状として認識する重要性を示唆しています。 【社会へのメッセージ】 心房細動が見つかったとしても、すぐに薬の服用や手術が必要かどうかは、人によって様々です。それであっても、健康診断で「心房細動」を指摘された場合、医療機関を受診することが重要です。直接不整脈を治すための薬や手術だけでなく、血圧や血糖のコントロールなど生活習慣の見直しが、将来の心臓の健康や慢性腎臓病の予防につながります。   4.研究プロジェクトについて本研究は、協会けんぽの「外部有識者を活用した委託研究事業」で採択された、 福間真悟 教授の研究班「保健事業による健康アウトカムを改善するための行動インサイト:因果探索の応用」の一環として実施しました(助成番号:23JHIA04)。   <用語解説>『心房細動』:心臓の上部にある「心房」という部屋が、けいれんするように不規則に細かく震える不整脈の一種です。自覚症状がない場合も多いですが、心臓の中に血の塊(血栓)ができやすくなるため脳梗塞の主な原因となるほか、心臓のポンプ機能が低下して心不全を引き起こすこともあります。   『心不全』:心臓のポンプ機能が低下する病気です。進行すると、息切れやむくみ、だるさといった症状が現れ、生命に関わることもあります。   『腎機能・慢性腎臓病』: 腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として体外へ排出する重要な働きを担っています。本研究で用いたeGFR(推算糸球体濾過量)は、この腎臓の働き(腎機能)を評価する指標です。この腎機能が慢性的に悪化した状態を「慢性腎臓病」と呼びます。進行して人工透析などの腎代替療法がいよいよ避けられなくなるまで無症状で気づかないことも多く注意が必要で、また心血管疾患(心不全など)のリスクも高めることが知られています。   『全国健康保険協会(協会けんぽ)』: 日本の公的医療保険を運営する「保険者」の一つで、主に中小企業の従業員とその家族が加入しています。加入者数が約4,000万人にのぼる日本最大の保険者です。   <研究者のコメント>働く世代に生じた心房細動は、単に心臓に限った問題ではなく、腎臓といった一見離れた臓器にも今後障害が生じてくる重要なシグナルになりうることが分かりました。 今後は、こういった働く世代で心房細動に早期に介入することが腎臓にも良い影響があるのか、また他のこれまであまり問題ないと言われてきた他の軽い心電図異常についてもCKM(心血管・腎・代謝)症候群の観点で重要なシグナルになり得るのか、明らかにしていきたいと考えています   <論文タイトルと著者> タイトル: New-Onset Atrial Fibrillation and Accelerated Kidney Function Decline in Working-Age Adults 著者:Yuichiro Mori(森雄一郞), Keita Hirano(比良野 圭太), Tatsuyoshi Ikenoue(池之上 辰義), Arisa Kobayashi(小林亜里沙), Motoko Yanagita(柳田素子), Shingo Fukuma(福間真悟*)*責任著者 掲載誌: JAMA Network Open 掲載日:2026年5月14日付(米国時間)(オンライン) DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2026.12823   報道発表資料(409.77 KB) 論文掲載ページ (New-Onset Atrial Fibrillation and Accelerated Kidney Function Decline in Working-Age Adultsに移動します) 広島大学研究者ガイドブック (福間真悟 教授)   【お問い合わせ先】 <研究に関すること> 福間 真悟(ふくま しんご) 広島大学大学院医系科学研究科 教授(兼:京都大学大学院医学研究科 特定教授) TEL:082-257-5162 E-mail:shingo-fukuma*hiroshima-u.ac.jp , fukuma.shingo.3m*kyoto-u.ac.jp   <協会けんぽ『外部有識者を活用した委託研究事業』に関すること> 全国健康保険協会 企画部 調査分析・研究グループ 担当:馬場 武彦 TEL:03-6680-8476(直通) FAX:03-3355-0600 E-mail:99kenkyu.86t*kyoukaikenpo.or.jp   <報道に関すること> 広島大学 広報室 TEL:082-424-4383 FAX:082-424-6040 E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp   京都大学 広報室 国際広報班 TEL:075-753-5729 FAX:075-753-2094 E-mail:comms*mail2.adm.kyoto-u.ac.jp   (*は半角@に置き換えてください)

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    2021.02.04
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    動いて治す~痛みや障害と基本的動作能力の関係を科学的に解明する~

    目標・狙い 身体運動が体の痛みや障害の緩和に及ぼす効果とその限界を探る 医療、介護、健康に関する科学と社会の橋渡しとなる学際的研究を推進する 科学的根拠に基づく健康増進や障害予防の方法論を確立し、社会実装を目指す   概要     ①膝痛に対する効果的なエクササイズプログラムの開発 膝痛は中高齢者の歩行やADLを悩ませる症状の一つであり、体重増加や運動不足により発生することも多い。 この研究では、自分自身で膝痛を治すエクササイズの効果検証に取り組んでいる。 筋力トレーニングや有酸素運動などのエクササイズは、膝痛の緩和が期待できる方法の一つである。そのため、膝痛が悪化する前から実施されることが望ましい。しかしながら、全ての膝痛者にエクササイズが有効であるとは限らない。また、有効だとしてもエクササイズの継続は容易でない。 このような背景を踏まえ、病院及び地域をフィールドに保存療法や運動教室(座学及びエクササイズ)を実施し、そこで計測したデータをもとに、エクササイズの効果や、効果のある人・ない人の違いを科学的な側面から分析してきた。 また、ストレスや不満も膝痛の要因の一つであることから、身体的なアプローチに加え、心理的な側面に対するアプローチについても取り組んでいる。現在は、痛みに対する認識や考え方を修正する「痛み教育」を実施し、膝痛が緩和した人と緩和しなかった人の特徴の違いを調べている。 将来的には、アプリを使った痛み教育コンテンツの開発、最適なエクササイズの選択を可能にするアルゴリズムの作成、人工筋を使ったウォーキングエクササイズ、無痛感覚を錯覚させるVRトレーニングを扱う予定である。   ②マーカーレスモーションキャプチャを使った高齢者の健康的な歩き方 人間にとって歩行は移動するための重要な手段であり、歩行の障害はADL(日常生活活動)の悪化やQOL(生活の質)の低下を招く。しかし、加齢による筋機能や関節機能の低下により、歩行の際に痛みが発生したり、転倒する高齢者は多い。 この研究では、これまでに様々な年齢の人の歩行計測を行い、年齢ごとの歩き方の違い、痛みが発生しやすい歩き方とそうでない歩き方、転びやすい歩き方とそうでない歩き方の違いについて調べている。 従来、歩行評価は肉眼観察やパフォーマンステスト(例:5m歩行)を参考にして行っていたが、本研究では、赤外線カメラ(※)を使った3Dマーカレスモーションキャプチャシステムを用いたデータに基づいた科学的な歩行評価を行う。 また、集めたデータをもとに、歩行の速度、歩幅、左右差、変動性から歩行年齢を算出し、地域の歩行教室などで活用している。 今後さらに歩行計測のデータベースを充実させ、将来的に痛みが出やすい歩き方や、転倒しやすい歩き方について導き出す。併せて、現在の歩き方から将来の膝痛発生リスク、転倒発生リスクを予測するシステムの開発を目指す。 (※)株式会社システムフレンドとの共同研究で精度を検証している。歩行中の関節角度等を手軽に計測できる。   連携したい企業 シューズメーカー トレーニング器具メーカー 美容・健康器具メーカー ➡アイデア出し、商品の効果検証・育成のサポート等   地方自治体 フィットネスクラブ 高齢者を対象とした福祉施設 ➡科学的根拠に基づいた、オフライン・オンラインエクササイズプログラムの提供等   福祉向けのシステム開発企業 ➡人工知能(AI)をつかった歩行解析、身体運動の改善を「見える化」するための動画解析、高齢者の運動継続を支援するアプリの共同開発   本研究の優位性 データに基づき健康によい体の動かし方を科学的に解明できる 病院や地域とのつながりがあるため、実証フィールドを有している エクササイズに関する商品の信頼性、妥当性、有効性が検証できる   論文 膝痛や変形性膝関節症とエクササイズに関する論文 Tanaka R, Hirohama K, Kurashige Y, Mito K, Miyamoto S, Masuda R, Morita T, Yokota S, Sato S. Prediction models considering psychological factors to identify pain relief in conservative treatment of people with knee osteoarthritis: A multicenter, prospective cohort study. Journal of Orthopaedic Science 25:618-626 2020 Tanaka R, Hayashizaki T, Taniguchi R, Kobayashi J, Umehara T. Effect of an intensive functional rehabilitation program on the recovery of activities of daily living after total knee arthroplasty: A multicenter, randomized, controlled trial. Journal of Orthopaedic Science 25:285-290 2020 Tanaka R, Hirohama K, Ozawa J. Can Muscle Weakness and Disability Influence the Relationship between Pain Catastrophizing and Pain Worsening in Patients with Knee Osteoarthritis? A Cross-sectional Study. Brazilian Journal of Physical Therapy 23:266-272 2019 Tanaka R, Umehara T, Kawabata Y, Sakuda T. Effect of Continuous Compression Stimulation on Pressure-Pain Threshold and Muscle Spasms in Older Adults with Knee Osteoarthritis: A Randomized Trial. Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics 41:315-322 2018 Tanaka R, Ozawa J, Kito N, Moriyama H. Effects of exercise therapy on walking ability in individuals with knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. Clinical Rehabilitation 30(1) 36-52 2016 Tanaka R, Ozawa J, Kito N, Moriyama H. Does exercise therapy improve the health-related quality of life of people with knee osteoarthritis? A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Journal of Physical Therapy Science 27(10) 3309-3314 2015 Tanaka R, Ozawa J, Kito N, Moriyama H. Effect of the Frequency and Duration of Land-based Therapeutic Exercise on Pain Relief for People with Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Journal of Physical Therapy Science 26(7) 969-975 2014 Tanaka R, Ozawa J, Kito N, Moriyama H. Efficacy of strengthening or aerobic exercise on pain relief in people with knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Clinical Rehabilitation 27(12) 1059-1071 2013   マーカーレスモーションキャプチャの精度検証に関する論文 Tamura H, Tanaka R, Kawanishi H. Reliability of a markerless motion capture system to measure the trunk, hip and knee angle during walking on a flatland and a treadmill. Journal of Biomechanics 109:109929 2020 Tanaka R, Ishikawa Y, Yamasaki T, Diez, A. Accuracy of classifying the movement strategy in the functional reach test using a markerless motion capture system. Journal of Medical Engineering and Technology 43:133-138 2019 Tanaka R, Ishii Y, Yamasaki T, Kawanishi H. Measurement of the total body center of gravity during sit-to-stand motion using a markerless motion capture system. Medical Engineering & Physics 66:91-95 2019 Tanaka R, Takimoto H, Yamasaki T, Higashi A. Validity of time series kinematical data as measured by a markerless motion capture system on a flatland for gait assessment. Journal of Biomechanics. 11:71:281-285 2018 Tanaka R, Kubota T, Yamasaki T, Higashi A. Validity of the total body center of gravity during gait using a markerless motion capture system. Journal of Medical Engineering and Technology 30:1-7 2018     外部資金の獲得状況 2020年 科学研究費助成事業基盤C(研究代表) 共同研究(研究代表)、2件 受託研究(研究代表)、1件 2019年 共同研究(研究代表)、1件 受託研究(研究代表)、1件 2018年 中冨健康科学振興財団研究助成(研究代表) 三井住友海上福祉財団研究助成(研究代表) 共同研究(研究代表)、1件 2017年 共同研究(研究代表)、1件 2016年 共同研究(研究代表)、1件 2015年 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究助成(研究代表) 共同研究(研究代表)、1件 2014年 科学研究費助成事業若手B(研究代表)   研究者からのメッセージ 理学療法士として20年以上の臨床経験があり、臨床研究、共同研究、受託研究の実績も豊富です。エクササイズの効果を最大限に引き出すツールの共同開発や、既存製品の応用やアレンジに関心があります。また、ウェアラブルデバイスやAIなどを使った身体運動の「見える化」にも興味があります。自治体、セラピスト、トレーナー、運動指導者が抱える現場の問題の解決につながる産官学連携を期待しています。   研究者 田中亮(TANAKA RYO) 広島大学 大学院人間社会科学研究科 教授

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