ウェーブレットに基づいた円滑化技術による寿命分析の改善に関する検討
アピールポイント
- ウェーブレット変換により,任意の寿命関数を異なる解像度で表現.
- 既存の寿命分析関数にウェーブレット変換を適⽤することで適合精度が向上.
- 部品やハードウェアに対して,より精度の⾼い寿命分析が可能.
研究のねらい
部品の故障が製品もしくはシステム全体の故障につながることを防ぐため、寿命分布を統計的に推定し、計画的な保守・点検を⾏う必要がある.本研究ではウェーブレットに基づいた寿命分布関数の円滑化技術を開発し,既存の寿命関数に「ズームレンズ」をかけるイメージで異なる解像度で表⽰できる.この円滑化技術を既存の寿命関数に適⽤することによって,より精度の⾼い寿命分析を⾏い,保守コストの削減や信頼性の向上に繋げる.
研究内容
1,背景
寿命分析とは部品の故障時間データから寿命分布関数を統計的に推定し,⼀定の時間において部品が故障しない確率(信頼度)を予測することである.⾼い精度の寿命分析により予防保全の計画策定か製品品質及び顧客満⾜度の向上に繋げたい.
2,ノンパラメトリックモデル
部品の故障時間が従う分布(例えば,指数分布)が事前にわかっていれば,最尤法などを使ってデータからパラメーター推定を⾏えばよい.しかしながら,多くの場合,部品の寿命分布に関して事前知識がないことが多い.ノンパラメトリックモデルは寿命分布に関する事前知識が必要ない汎⽤的な統計⼿法である.
3,ウェーブレットに基づいた円滑化技術

ここで、
ɤは形状パラメーター、mは解像度パラメーター、kɤ,m(t,s)はドブシーウェーブレットで構成された再生カーネル,λ(・)は任意の既知のノンパラメトリックモデル、λm(・)は解像度レベルmで円滑化されたノンパラメトリックモデル
4,応⽤例
NPMLE ︓ノンパラメトリック最尤推定量
NPMLWE︓円滑化技術を適応したNPMLE
LogLogist︓パラメトリックモデル(baseline)

5,ツール開発︓Daubechies-WET
⼩修理回数を表すNHPP(⾮定常ポアソン過程)に対して,いくつかのノンパラメトリックモデルやウェーブレットで円滑化されたモデルを実装したツールを開発.
関連情報
【論⽂】 J. Wu, T. Dohi and H. Okamura (2025), A novel lifetime analysis of repairable systems via Daubechies wavelets, Annals of Operations Research, vol. 349, pp. 287–314.
【知財】なし
研究者
呉 敬馳 WU JINGCHI
広島大学
大学院先進理工系科学研究科
特任助教