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    2017.12.18
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    タブレットで暮らしのバリアを乗り越える

    視覚障害のある子供たちが学習したり、生活したりする上でぶつかっている困難を科学的に解明し、タブレットを活用した教育方法の開発をしている 教育学研究科 氏間和仁教授の研究を紹介します。 タブレットで見えにくさをサポートする教育方法の開発 スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器は、私たちの生活になくてはならない身近なものになってきました。 特別支援学校の教育現場で使われる教材にも、タブレットを活用したものが増えてきています。 顕微鏡の接眼レンズにスマートフォンを取り付けて大きく表示 画像はタブレット上の操作でさらに拡大可能 拡大鏡(左側)の画像をタブレットに表示 肢体が不自由な方のための入力用の機器(黄色と緑色の丸い部分を押す)でタブレットを操作している様子 氏間先生によると、視覚障害者がタブレットを活用するメリットは、最初から見ることをサポートするアプリが入っている、キーボードなどの入力用の機器を手軽に接続できる、持ち運びができるなど様々。 例えば、黒板に書いた文字をタブレットのカメラで撮影し、その画像を大きく拡大して読む、GPS(位置情報)を使って道案内を聞きながら目的地に向かうなどの使い方があるそうです。 これまで高額な福祉機器でしか対応できないと思われていたことの一部は、タブレットの様々な機能を組み合わせて手軽に実現できるようになりました。 氏間先生は、子供たちの「苦手」を分析し、タブレットを活用してそれをサポートすることで、効果的な学習ができる教育方法を開発しています。   子供たちが少しでも楽しく学べるように 通学中の乗り物の中で本を読む。誰もがしていることですが、弱視の子供たちは拡大鏡を使って本を読むので乗り物酔いをしやすいそうです。それが、タブレットで文字を拡大しながら読むことができるようになると、乗り物酔いが少ないし、なによりタブレットで本を読む姿はルーペなどを用いるよりも目立たないので、読書をより楽しめるようになったという感想もあったそうです。 慶応義塾大学中野研究室との共同研究で開発中の教科書デジタルデータ閲覧用iOSアプリ (UDブラウザ) 氏間先生は、盲学校で教鞭をとっていた経験なども交えて、特別支援学校に通う子供たちが、環境の整っている学校内だけでなく、通学路や家でも楽しく学べる方法の実践に向けた取り組みをしています。 教育相談 http://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/src/index_j.html#kyousou ゼミの様子(特別支援学校の教諭を目指す学生らが学んでいます) この「見やすくする」を支援する技術は、発達障害のある子供にも応用され、学ぶことの楽しさを思い出したり、試験の成績が上がったりなど、学習成果も現れつつあります。   チャレンジできることをもっと知ってほしい 「少しの工夫で、諦めていたことにチャレンジできることを、多くの方に知っていただきたい」と氏間先生は話します。 高齢化の進む日本では、老化や病気により見え方に困難を有する方が増加すると考えられています。 眼科病院での教育相談活動を通じて、タブレットやスマホなどの身近な道具を活用することで、生活を豊かにしたり、質を高めることが可能であることをより広く伝えることにも力を入れています。 「難病(ALSなど)や重度障害者のための支援ICTのフェスティバル」の来場者に、研究室の学生が説明する様子   広島大学研究者総覧(氏間 和仁 准教授) 氏間研究室のホームページ(視覚障害教育に関する研究室) 「難病(ALSなど)や重度障害者のための支援ICTのフェスティバル」に出展しました   【お問い合わせ先】 広島大学 大学院教育学研究科特別支援教育学講座 教授氏間 和仁 E-mail: ujima*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

    • デジタル/AI
    • 医療/ヘルスケア
    • 教育/人材育成
    2025.03.26
    • デジタル/AI
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    大規模言語モデル(LLM)を活用した医学倫理教育の可能性 ―倫理的な行動の手本や相談役としての機能を検討―

    (Credit: Kanon Tanaka) 本研究成果のポイント 医学教育では、人的・財的資源の制約から、倫理教育が十分とは言えません。本研究では、この問題への対策として、医学倫理教育においてAIモデルの一種であるLLM(Large Language Models、大規模言語モデル)*1が有用な学習ツールとなる可能性を提示しました。 医学倫理を学ぶうえで、医療に必要なルールや原則に関する知識の獲得だけでなく、患者や医療現場ごとに生じる複雑な倫理的ジレンマに対応するための態度や徳を身につけることが重要です。本論文では、知識の獲得と、態度や徳を身につける教育の双方を取り入れたハイブリッドアプローチの必要性を指摘しました。 LLMに対して、医療倫理に特化した追加学習(ファインチューニング*2)を行うことで、医学倫理教育においてLLMを倫理的な手本や相談役として活用する可能性を提示しました。利用者とLLMとの反復的な対話を通じて利用者の意識やLLMの情報の偏り(バイアス)を減らし、より公正でしっかりした医療倫理の枠組みを構築することができると考えられます。   概要 広島大学大学院人間社会科学研究科上廣応用倫理学講座の片岡雅知 寄附講座准教授、ならびに同研究科の澤井努 特定教授(寄附講座教授兼務、京都大学 高等研究院ヒト生物学高等研究拠点 連携研究者、シンガポール国立大学客員教授)は、広島大学大学院人間社会科学研究科の岡本慎平 助教、板野誠 博士課程大学院生とともにLLMを活用した医学倫理教育の可能性を検討しました。 本研究成果は、2025年2月5日に学術誌「BMC Medical Education」でオンライン公開されました。   論文情報 題目:AI-based medical ethics education: examining the potential of large language models as a tool for virtue cultivation 著者:Shimpei Okamoto1, Masanori Kataoka1,2, Makoto Itano1, Tsutomu Sawai1,2,3,4* 1. 広島大学大学院人間社会科学研究科 2. 広島大学大学院人間社会科学研究科上廣応用倫理学講座 3. 京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(WPI-ASHBi) 4. Yong Loo Lin School of Medicine, National University of Singapore, Singapore, Singapore. *: 責任著者 雑誌:BMC Medical Education URL:https://bmcmededuc.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12909-025-06801-y DOI:https://doi.org/10.1186/s12909-025-06801-y   背景 現在の医学教育カリキュラムでは倫理教育が十分とは言い難く、医学生や研修医が臨床現場で倫理的に複雑な状況に直面した際、対応に苦慮することが報告されています。 このような問題への理想的な対処法として、専門的な教育を受けた倫理指導者の雇用や、医学教育カリキュラムの改善が求められます。しかし、人的・財的資源の制約から、こうした対処は困難であり、医学倫理教育の充実が進まない状況が続いています。 こうした背景を踏まえ、次善の策としてLLMを教育ツールとして活用することが考えられます。医療分野に特化した学習を行ったLLMに対し、対応に苦慮するケースの情報を入力することで、手本となりうる対応策や、患者ケアにおいて考慮すべき情報を得ることができます。 LLMを倫理的な手本や相談役として活用することで、人的・財的資源を抑えながら、道徳的知識や患者ケアに必要な姿勢の獲得を促す可能性があります。   研究成果の内容 本研究では、医学倫理教育のアプローチについて検討し(①)、LLMが倫理的な手本(②)や相談役(③)として有用な学習ツールとなる可能性を示しました。 また、医学教育におけるLLMの実用性を検討するために取り組むべき課題を整理しました(④)。   ① ハイブリッドアプローチの重要性 医学倫理教育においては、2つの教育アプローチが存在します。 原則主義的アプローチは、医療倫理の4原則*3のように、医療に必要なルールや原則に関する知識を獲得するという、認知的目標の達成を目的としています。 一方で、非原則主義的アプローチは、個別の患者が抱える状況を認識・判断し、倫理的価値に基づいて行動するための態度と徳を育み、身に着ける態度的目標の達成を目的としています。 医療の現場において、適切な倫理的意思決定を行うためには、2つのアプローチを組み合わせたハイブリッドアプローチを取り入れ、医療に必要なルールや原則に対する十分な知識と、患者ケアに不可欠な徳や態度を獲得する必要があります。   ② 倫理的な手本としてのLLM 私たちは、倫理的な手本となるような人物の行動を真似することによって、徳や態度を身に着けることができます。 同様に、歴史上の人物や架空のキャラクターなど、目の前に実在しない存在を手本として倫理的な原則を理解し、その行動を真似することで、徳や態度を身に着けることもあります。実際に、教育の現場では文学や映画などの作品を通して、複雑な倫理的ジレンマを理解したり、共感や道徳的態度を身に着けたりする試みがなされています。 目の前に存在しない人物や架空のキャラクターを真似することで徳や態度を身に着けることができるのであれば、私たちはLLMの示した回答やシナリオを通して倫理的行動の手本を認識し、それらを真似することで徳や態度を身に着けることが出来るかもしれません。   ③ 相談役としてのLLM LLMの回答は、あくまでも助言として活用されるべきであり、絶対に正しいものであるかのように扱うべきではありません。 LLMの提示した回答の結論だけでなく、その回答が導き出された過程や参照している情報源を検討し、どの部分が手本として参照するに値するか、値しないかを判断する必要があります。 また、ファインチューニングを行っていないLLMは、原則主義的な回答を行う傾向にあることが指摘されています。徳倫理やフェミニスト倫理など、他の考え方が示された場合に、初めてそうした考え方を反映した回答を出力することが確認されています。 原則主義的な考え方のみに基づいて教育を行うと、LLMの利用者が患者一人一人の状況に対応できない、不適切な考え方や行動を身に着けてしまう可能性があります。 そのため、専門家や教育機関によるフィードバックを得ながら、より適切な回答を出力できるようファインチューニングを行って、LLMの情報を更新していく必要があります。   ④ 検証すべき課題 1. 原則主義的な回答を行う傾向があるのなら、どのように態度的目標を達成するのか? LLMによる原則主義的な回答の傾向は、ハイブリッドアプローチに組み込むことで、解消することが出来ます。利用者は、非原則主義的な観点からLLMの回答を批判的に検討することで、相手に対する共感や適切な態度について考えることができます。 特定のシナリオにおいて、人間の気づかない感情の動きをLLMが認識するという研究結果も示されていることから、LLMが活用できる場面を見極めながら教育の現場に組み込むことで、教師の負担を部分的に削減したり、新たな気付きを与えたりする可能性があります。   2. LLMの回答を、患者ケアの参考にする人はいるのか? LLMが共感や配慮といった複雑な感情を理解できないのではないかという理由から、LLMの回答をアドバイスとして取り入れたり、LLMが提供した手本となる行動の例を真似したりするに値しないのではないかという懐疑的な意見もあります。 しかし、「推論」に対する判断を行う課題においては、作成者が人間であっても、LLMであっても、アドバイスとして採用する際に影響は生じないという研究結果が示されています。 認知的要素である推論と、態度的要素である徳や態度では結果が異なる可能性もあるため、今後、実証的な実験によって、相談役としてのLLMの実用性を検討する必要があります。   3. 徳や感情を持っていないLLMが、倫理的な手本になりうるか? 文学作品や映画作品の多くは、作者と直接対話を行うことができない環境で鑑賞されています。物語の作者のことを知らずとも、物語のキャラクターを手本として徳を育み、身に着けることができるのであれば、LLMが感情の機微に欠けており、倫理的な態度や徳を有していないとしても、出力されたシナリオや回答を手本とすることができる可能性はあります。 倫理的手本としてのLLMの実用性は、作成者の情報や手本とする存在の実在など、様々な条件を考慮したうえで、教育的実験を通じて実証的に検証される必要があります。   4. 更新の作業が必要なら、医学教育の役に立たないのではないか? 人間と人間のコミュニケーションにおいても、世代間で価値観に相違が生じるなど、バイアスが表面化することがあります。たとえば、ワークライフバランスの取れた生活を求めるといった価値観は、世代間で異なった受け取られ方をするかもしれません。 このように、徳や価値観が時代や文化によって変化することを教師も認識しなければなりません。 LLMと人間の教師による教育を組み合わせることによって、学生と教師の対話、徳や価値観に対する批判的反省、相互学習の機会の場を促進することができるかもしれません。 LLMと利用者のバイアスを認識し、取り除くという更新の作業は、人的なリソースを必要としますが、最終的にはより公正でしっかりした医療倫理の枠組みを構築することに繋がる可能性があります。   今後の展開 LLMを医学倫理教育で活用するためには、実用性を測定するための実証的な検証が必要です。 人間の教育者が割く時間の増加を抑えつつ、より高品質な教育を実現するため、LLMと教育者の協力関係の構築について、検討を進めることが望まれます。 より実用的な回答を出力するために、専門家や教育機関によるフィードバックを得ながら、LLMのファインチューニングを進めていくことが求められます。   謝辞 本研究は、以下の支援により実施しました。   日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業 若手研究 「経験的生命倫理学における方法論の構築とその応用」21K12908 (研究代表者:澤井努) 上廣倫理財団論文投稿助成[UEHIRO2023-0116]   参考資料 Ethical Exemplar in Medicine https://chatgpt.com/g/g-EjSMhG7W1-ethical-exemplar-in-medicine   用語解説 *1:LLM(Large Language Models、大規模言語モデル) ChatGPTに代表される生成AIモデルの1つで、膨大な文章データを元に学習を行い、人間の会話や文章から単語の出現確率をモデル化する技術。単語の並びから言語のルールや文脈を学習し、人間が自然だと思う文章を生成したり、文章表現を分析したり、文章の翻訳や要約をしたりすることに用いられる。   *2:ファインチューニング LLMに対する追加学習の1つ。事前学習を行ったLLMに対して、特定の課題や分野に特化した新たなデータを学習させるプロセス。 特定の分野のニーズに合わせてLLMをトレーニングできるため、より精度が高く、有用な情報を提供できるよう、カスタマイズすることができる。   *3:医療倫理の4原則 アメリカの倫理学者であるトム・ビーチャムとジェイムズ・チルドレスが提唱した4原則。自律性の尊重、無危害、善行、正義の4つからなる。 自律性の尊重:患者自身の決定や意思を大切にして、患者の行動を制限したり、干渉したりしないこと。 無危害:患者に危害を及ぼさないことや、今ある危害や危険を取り除き、予防すること。 善行:患者のために、患者の考える最善の善行を行うこと。 正義:患者を平等かつ公平に扱うこと。   報道発表資料(560.34 KB) 学術誌: BMC Medical Education 広島大学研究者ガイドブック (片岡 雅知 寄附講座准教授) 広島大学研究者ガイドブック (澤井 努 特定教授)   【お問い合わせ先】 大学院人間社会科学研究科 人間総合科学プログラム 上廣応用倫理学講座 担当:兼内伸之介(特任学術研究員) Tel:082-424-6594FAX:082-424-6990 E-mail:shinnkan*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

    • 医療/ヘルスケア
    • 教育/人材育成
    2022.07.12
    • 医療/ヘルスケア
    • 教育/人材育成
    医療系学生のための「感染症教育VR」教材を制作!~広島大学における実証授業でVR教材の効果を検証~

    本研究成果のポイント 「感染症対策」を共通テーマとして、部門横断型の医療教育VRを制作しました。 本VRによる学習を行った学生は、従来の講義形式の学習を行った学生に比べ、より正しく感染対策を実践できていることを検証しました。 本学では感染症に強い人材を早期段階から育成していきます。   概要 広島大学病院(広島県広島市、感染症科教授:大毛宏喜 他)は株式会社ジョリーグッド(東京都中央区、代表取締役:上路健介、以下 ジョリーグッド)に撮影と編集を委託し、新型コロナウイルスを含む「感染症対策」を共通テーマとして、「医学」「看護」「歯学」「薬学」「リハビリ」の5部門横断型の医療教育VRを制作しました。360°カメラによって撮影された現場の映像を元に、CGによりウイルス・細菌の飛沫や付着を表現しています。医療スタッフの目線のみならず患者視点でも、感染症のリスクをリアルに体験できる教育コンテンツを目指して各部門職員が脚本、出演、演出および監修をしました。   また、広島大学において、医学生を対象に今回開発した医療教育VRを用いた実証授業と医学部共用試験OSCE(オスキー)形式の実技試験を組み合わせた実証実験を行ない、VRによる学習を行った学生は、従来の講義形式の学習を行った学生に比べ、より正しく感染対策を実践できていることを検証しました。   今後、広島大学では、疑似体験によって高い教育効果が得られるVR教材を積極的に活用して医学生の実技レベルを飛躍的に向上させ、臨床実習にて自信を持って患者診療が行える学生医「スチューデント・ドクター」を輩出するなど、感染症に強い人材を早期段階から育成していきます。   本研究成果は、2022年7月12日付けで「American Journal of Infection Control」誌のオンライン版に掲載されました。   論文情報 掲載誌: American Journal of Infection Control 論文タイトル: Virtual reality as a Learning Tool for Improving Infection Control Procedures ​​​著者: Keitaro Omori*, Norifumi Shigemoto, Hiroki Kitagawa, Toshihito Nomura, Yuki Kaiki, Kentaro Miyaji, Tomoyuki Akita, Tomoki Kobayashi, Minoru Hattori, Naoko Hasunuma, Junko Tanaka, Hiroki Ohge*責任著者 DOI: 10.1016/j.ajic.2022.05.023 (7月12日に本学霞キャンパスで記者説明会を開催。左から広島大学の繁本准教授・蓮沼教授・大森診療講師、ジョリーグッドの細木部長)   報道発表資料(661.27 KB) 広島大学研究者ガイドブック ( 大毛 宏喜 教授) 論文掲載ページ (American Journal of Infection Control)に移動します   【お問い合わせ先】 <研究に関すること> 広島大学病院 感染症科 教授 大毛宏喜 Tel:082-257-1613 E-mail:ohge*hiroshima-u.ac.jp   <製品・技術等に関すること> 株式会社ジョリーグッド広報担当 Tel:050-5477-7697 E-mail: press*jollygood.co.jp   <報道に関すること> 広島大学広報室 Tel:082-424-3701 E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp   株式会社ジョリーグッド広報担当 Tel:050-5477-7697 E-mail: press*jollygood.co.jp   (注: *は半角@に置き換えてください)

    • 教育/人材育成
    2026.01.06
    • 教育/人材育成
    詩歌の五七調が「美しさ」の評価を高める ~詩作やキャッチコピーへの応用に期待~

    本研究成果のポイント 日本語の詩歌にみられる5音と7音のリズムは、詩歌の「好ましさ」、「穏やかさ」、「美しさ」の評価を高めることがわかりました。 同じ音が一定の間隔で繰り返し現れる詩歌は、「激しさ」の印象を増す可能性も示唆されました。 詩歌のリズムを活用し、人の心に響く詩作技法や、広告・キャッチコピーなどへの応用の進展が期待されます。   概要 広島大学大学院人間社会科学研究科の博士課程前期1年 吉尾 瑞希、神原 利宗 准教授は、日本語詩歌の音に注目し、どのような音の特徴を持つ詩歌が、好ましさ、穏やかさ、美しさの評価を高めるかを検証しました。実験1では実際に存在する詩歌(新古今和歌集収録の和歌)を、実験2では実験者が作成した擬似的な詩歌を用いました。本研究で検討した音の具体的な特徴は、5音と7音の繰り返しからなるリズム(韻律)と同じ音が句の最初に繰り返し現れること(頭韻)です。実験では、韻律と頭韻の有無を操作した詩歌の音声を提示した後に、日本語を母語とする参加者に主観的な評価を求めました。その結果、韻律のある詩歌では、好ましさ、穏やかさ、美しさの評価が高いことがわかりました。また、韻律と頭韻の両方がある詩歌は、韻律があって頭韻がない詩歌より激しい印象を与える可能性が示唆されました。   本研究成果は以下の査読付き国際誌に掲載されました。 掲載雑誌名:Psychology of Aesthetics Creativity and the Arts 掲載日:2025年11月10日(オンライン先行公開) DOI:https://dx.doi.org/10.1037/aca0000804 タイトル:“Alliteration and Meter in Japanese Real- and Pseudopoems: Emotional and Aesthetic Impacts” 著者:吉尾瑞希、神原利宗 所属:広島大学人間社会科学研究科心理学プログラム   背景 日本語話者は、なぜ日本語の詩歌に心惹かれるのでしょうか。日本語の定型詩は、5音と7音の繰り返しを特徴としています。たとえば、日本最古の詩歌集である万葉集は、5音と7音を決まった周期で繰り返す詩歌を4500首以上集めたものです。万葉集の成立は奈良時代で、それ以降、和歌(短歌)、長歌、川柳、俳句、都々逸など、同じリズムを持つ詩歌は、長い間日本語話者に愛されてきました。現代でも、短歌や俳句を読んだり作ったりする人は少なくありません。最近ではSNSで「#tanka」のハッシュタグで短歌を投稿する若者も増えています。こうした事実から、詩歌の形式には、時代を超えて愛される魅力があると考えられます。 しかし、日本語詩歌の音の特徴に注目した心理学的研究は少ない状況です。英語やドイツ語など、日本語とは異なるリズムや文法を持つ言語での詩歌研究は進みつつありますが、日本語の特徴を踏まえた体系的な研究はほとんど未開拓と言えます。そこで、本研究では、日本語のリズムや音の重なりに注目し、実験的な検討を行ないました。   研究成果の内容 実験1では、同じ音が繰り返される詩歌(頭韻あり)と繰り返しのない詩歌(頭韻なし)を実在の詩歌から選び、日本語を母語とする参加者に、音声で提示しました。参加者は、好ましさ、穏やかさ、美しさ、理解しやすさを評価しました。分析の結果、頭韻ありの詩歌と頭韻なしの詩歌の間に、統計的に有意な差はみられませんでした。実験に使った詩歌は古語でしたが、語彙の意味(たとえば、「桜」や「ふね」など)が評価に影響を与えた可能性があります。   実験2では、リズム(韻律)を検討に加えました。実験1で使った頭韻ありの詩歌と頭韻なしの詩歌を基に、57577のリズムを保った詩歌(韻律あり)と、68359などそのリズムを崩した詩歌(韻律なし)を作成し、材料として使用しました。この材料は、単語が持つ辞書的な意味の影響を除いて音の特徴に注目するために、日本語として意味を持たない擬似詩歌としました。評価の項目は、好ましさ、穏やかさ、美しさと、有意味度(どれくらい意味があるか/ないか)でした。分析によると、韻律のありの詩歌は、頭韻の有無にかかわらず、韻律なしの詩歌よりも好ましさ、穏やかさ、美しさ、有意味度の評価が高くなることがわかりました。韻律ありの詩歌は、日本語母語話者にとってなじみ深いリズムであるため予測しやすく、心の中の処理が容易になると考えられます。逆に、韻律なしの詩歌は、どのような音が次に続くか、予測ができません。筆者らは、韻律ありの詩歌の方が好ましさや穏やかさ、美しさの評価が高まった理由は、以上のような詩歌の心の中の処理を想定することで説明できると考えています。 また、頭韻については、韻律と頭韻の両方がある条件で、頭韻だけがない条件よりも穏やかさの評定が低い、つまり、より激しいと評価されることがわかりました。   本研究は、今まで検証されてこなかった日本語詩歌の音の特徴が人の心にもたらす影響について明らかにしました。本研究の強みは、日本語の特徴を考慮して実験材料を作ったところにあります。韻律や頭韻の効果は外国語の研究で示されてきましたが、本研究によって、日本語でも同様にポジティブな影響があることがわかりました。また、リズムが決まった詩歌は心地よく鑑賞できる、という直観がデータによって支持されたともいえるでしょう。本研究は、「日本語詩歌がなぜ千年以上も詠み継がれてきたのか」という問いに、「リズムが心地よいからである」と答えられるような、ひとつの証拠を示しました。   今後の展開 本研究から、詩歌のリズムや音の繰り返しといった特徴は、詩歌を耳で聴いたときの評価を高めるということが明らかになりました。しかし、詩歌は耳で聴いて楽しむだけでなく、文字で読んで楽しむこともできます。今後は、音声での提示だけでなく、視覚的に提示した場合の評価についても検討していく予定です。 本研究の知見から、詩作において日本語のリズムを取り入れることで、詩歌の美しさの評価を高められる可能性が示唆されます。また、広告やキャッチコピーにも詩歌のリズムを活用することができると思います。受け手に好ましさや美しさを感じさせたいような広告などのメッセージでは、韻律を利用するのがよいかもしれません。具体的には、商品名や広告文に5音と7音のリズムを取り入れると、より印象的になる可能性があります。   参考資料 主観的な評価:反対の意味を持つ形容詞のペア(「好き⇔嫌い」、「激しい⇔穏やか」など)を両端に配置した7段階の尺度(1~7)を用いました。参加者は各詩歌を聴いたあと、自分の感覚に最も当てはまると思う数字を、素早く直感的に選ぶように求められました。このような尺度を用いることで、詩歌への印象を数量的なデータとして収集することができます。この手法は意味、感情、印象を測る際に、心理学で広く用いられています。   報道発表資料.pdf(235.88 KB) 掲載雑誌:Psychology of Aesthetics Creativity and the Arts 研究者ガイドブック(神原 利宗 准教授)   【お問い合わせ先】 広島大学大学院人間社会科学研究科人文社会科学専攻心理学プログラム 博士課程前期1年吉尾 瑞希 准教授神原利宗 Tel:082-424-6280FAX:082-424-3481 E-mail:m252758@hiroshima-u.ac.jp tkambara@hiroshima-u.ac.jp

    • 教育/人材育成
    2021.06.22
    • 教育/人材育成
    学習者の視線追跡による教材の最適デザイン

    目標・狙い これまでの研究から,学習者がわかりやすいと感じる教材デザインと,教える側がわかりやすいと感じる教材デザインは異なることがわかっている。したがって,学習者の学習パフォーマンスを上げるためには,学習者の立場にたった教材のデザインが求められる。 そこで,学習者と専門家が教材を読む際の眼球運動を測定することで,教材をどのようにデザインすれば,適切な読解方略につながるか,教科内容の理解が向上するかを明らかにする。それにより,学習者にとってわかりやすい教材の開発を目指す。     研究概要 学習者と教師などの専門家を比べると,既有知識だけではなく,「どこに注意を向けやすいか」が違っている。したがって,学習者は授業中などに,教師が想定している見方をしていないと考えられる。より「教えたいことが伝わる」「学習者にとって自然に理解しやすい」教材や指導のためには,このギャップを正確に把握し,埋める必要がある。 本研究では,学習者と専門家に教材を見てもらい,その際の眼球運動を測定し,注意の向け方を比較している(Figure 1)。学習者は専門家に比べ,自発的に図表に注意を向けることが少なく,注釈を適切に利用しておらず,教材内のパーツを的確に見比べていない。教師にとっては自然な「読み方」「見比べ方」「注意の向け方」が,学習者にとっては想像以上に難しいことがわかる。   想定される市場・製品・産業分野 教材開発を行っている企業(紙媒体・電子媒体問わず) オンライン学習コンテンツ配信企業   アピールポイント 教材開発において,実証的な研究が行われることは少ない。眼球運動測定による定量的データにもとづき,各教科の教育と学習科学(心理学)の両方の観点をふまえることで,科学的に有効な教材を開発できる。 色彩心理学に関する研究も行っているため,教材に用いる色彩の有効性についても学術的な観点から評価・考察することができる。 論文 森田 愛子 (2012). 読み速度上昇とビジュアル・スパン拡大の関連 基礎心理学研究, 31, 24-34. 福屋 いずみ・森田 愛子 (2014). 非連続型テキストを含む説明文研究の現在広島大学心理学研究, 14, 83-90. 福屋 いずみ・山根 嵩史・田中 光・吉川 基・森田 愛子 (2016). 状況確認が口頭説明の理解に及ぼす影響広島大学心理学研究, 15, 203-213. 福屋 いずみ・森田 愛子・草原 和博・渡邉 巧・大坂 遊 (2018). 地理的な見方・考え方を妨げる要因の検討日本教育工学会論文誌, 42, 65-72. 森田 愛子・髙橋 麻衣子 (2019). 音声化と内声化が文章の理解や眼球運動に及ぼす影響教育心理学研究, 67, 12-25. Morita, A., & Kambara, T. (2021). Color bizarreness effects in object memory: Evidence from a recall test and eye-tracking. Color Research and Application. Morita, A., & Fukuya, I. (2023). Impact of decorative pictures in learning materials: The effect of attention-grabbing features. Applied Cognitive Psychology, 37(6), 1352-1365. Morita, A., & Fukuya, I. (2025). Integrative processing of text and multiple maps in multimedia learning: An eye-tracking study. Frontiers in Psychology – Educational Psychology, 1487439.   研究者からのメッセージ 学習の個別最適化,デジタル教材の普及によって,今後は,学習者の視点や見方をふまえた教材づくりや授業設計が進むと期待しています。心理学者として,眼球運動のようなデータに基づいて,科学的に有効な教材開発をしていきたいと思っていますので,教材開発や視線計測にご興味をお持ちいただけましたら,ぜひご連絡ください。   研究者 森田愛子(MORITA AIKO) 広島大学 大学院人間社会科学研究科 教授

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