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研究成果紹介

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    • バイオエコノミー
    • 医療/ヘルスケア
    2025.12.22
    • バイオエコノミー
    • 医療/ヘルスケア
    遺伝子編集の精度を高める新しい仕組みを開発 ~安全で確実性の高い遺伝子治療や精密さが求められる基礎研究に貢献~

    本研究成果のポイント ヒト細胞内で、遺伝子編集を行う際、オフターゲット作用(不要な場所のDNA切断)が起こらずに、目的の遺伝子修復(HDR)が成功した細胞だけを選別する独自スクリーニングシステムを開発しました。 本システムを用いて、標的 DNA を改変する新規のゲノム編集技術Cas9変異体「HSS Cas9」を獲得しました。HSS Cas9は野生型Cas9よりも特定の標的配列において高いHDR効率を示します。 HSS Cas9とHDRが活発になる細胞周期制御技術(AcrIIA4-Cdt1)を組み合わせることで、不要な変異(インデル)の発生を大幅に抑制し、遺伝子編集の「正確性(HDR/インデル比)」を最大約30倍以上に向上させることに成功しました。 遺伝子編集の精度向上によって、安全で確実性の高い遺伝子治療法の開発や、精密な遺伝子改変が求められる基礎研究分野での活用が期待されます。   概要 広島大学大学院医系科学研究科の松本大亮助教(現東京都医学総合研究所主任研究員)、野村渉教授、山口大学大学研究推進機構中高温微生物研究センターの佐藤悠助教、東京都医学総合研究所宮岡佑一郎再生医療プロジェクトリーダーらのグループはヒト細胞においてHDRが成功するとジフテリア毒素への耐性を獲得する仕組みと緑色蛍光の消光によりオフターゲット作用を検出する仕組みを利用した、独自のスクリーニングシステムを構築しました。このシステムを用いてCas9変異体ライブラリを探索した結果、2つの新規アミノ酸変異(I795V/K918E)を持つ「HSS Cas9」を同定しました。HSS Cas9は、野生型Cas9と比較して、特定の遺伝子標的(EMX1, VEGFAなど)において高いHDR効率を示しました。さらに、HSS Cas9と細胞周期依存的にCas9を活性化させる技術(AcrIIA4-Cdt1)を組み合わせることで、インデルの発生を強く抑制し、遺伝子編集の正確性(HDR/インデル比)を飛躍的に向上させることに成功しました。本成果は、より安全で高精度な遺伝子治療技術の開発に貢献するものです。 本研究成果は、「Journal of Biomedical Science」(IF=12.1)に令和7年12月3日付でオンライン掲載されました。   <発表論文> 論文タイトル Screening Strategy to Identify Cas9 Variants with Higher HDR Activity Based on Diphtheria Toxin   著者 松本大亮1,2,3,*、久保田小茉利1、佐藤悠4、加藤-乾朋子3、濁川清美1,2、宮岡佑一郎3、野村渉1,2,* 1.広島大学薬学部 2.広島大学大学院医系科学研究科 3.東京都医学総合研究所 4.山口大学大学研究推進機構中高温微生物研究センター * 責任著者   掲載雑誌 Journal of Biomedical Science (IF=12.1)   DOI番号 DOI: 10.1186/s12929-025-01197-9   研究助成 この研究成果は、科研費、JSPS 地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)JPJS004 20230011、HIRAKU-Global、武田科学振興財団、内藤記念科学振興財団、上原記念生命科学財団、持田記念医学薬学振興財団、鈴木謙三記念医科学応用研究財団の支援を受けて研究を行い、得られたものです。   背景 ゲノム編集技術は、遺伝性疾患やがんの治療法として期待されています。ゲノム編集技術では、標的とする遺伝子を切断することが必要となります。これまでにジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)やTALEN(例:Platinum TALEN)などが開発されてきており、現在では目的に沿った使い分けが可能な状況となっています。そのなかでもCRISPR-Cas9は標的配列を自在に特異的に標的化できるという点から、主要なゲノム編集ツールとして汎用されています。これらのツールはいずれも標的とする遺伝子配列を切断する機能を持っています。しかし、DNAを切断した後、あらかじめ用意した正しい遺伝子配列(テンプレートDNA)を使って正確に修復する「HDR(相同組換え修復)」の効率が低いことが大きな課題でした。ゲノム編集では、多くの場合に標的配列がエラーを伴いやすい「NHEJ(非相同末端結合)」によって修復されてしまい、意図しない変異(インデル)が生じてしまうためです。精度の高いゲノム編集によってより安全性の高い遺伝子治療が可能となりますが、この実現には、HDR効率を向上させることが不可欠です。しかし、これまでに決定的な解決策は示されていません。   研究成果の内容 研究グループはまず、ヒト細胞内でHDRによる修復に成功した細胞だけが生き残り、緑色蛍光タンパク質の消光によってゲノム編集操作における副作用であるオフターゲット作用を検出する、スクリーニングシステムを開発しました(図1)。このシステムを用いて、Cas9のDNA切断に関わるドメインにランダムな変異を導入したライブラリを探索した結果、これまでに報告のなかった2つのアミノ酸変異(I795V/K918E)を持つ変異体「HSS Cas9(HDR-Screening-Selected Cas9)」を発見しました(図2)。このHSS Cas9は、野生型のCas9と比較して、特定の遺伝子標的において高いHDR効率を示しました。 さらに、研究グループはHSS Cas9と、HDRが活発になる細胞周期(S/G2期)でのみCas9を活性化させる既存の技術(AcrIIA4-Cdt1)を組み合わせました。その結果、望まない変異(インデル)の発生を劇的に抑制しつつ、高いHDR効率を維持することに成功。編集の「正確性(HDR/インデル比)」を、標的遺伝子によっては野生型Cas9と比べて最大約30倍以上に向上させることを実証しました(図3)。   今後の展開 Cas9によるヒト細胞のゲノム編集が報告されてから10年以上が過ぎ、基本特許の有効期間も折り返しの10年間を迎えています。今回開発されたスクリーニングシステムは、ランダムなCas9変異体の中からヒト細胞内での高精度な修復を起こしやすい変異体を選抜することができます。今後、このスクリーニングシステムに改良を加えながら、より大規模なスクリーニングを実施することで、新たなバージョンのHSS Cas9の獲得に展開していきます。これによって、より安全で確実性の高い遺伝子治療法の開発や、精密な遺伝子改変が求められる基礎研究分野での活用が期待されます。   参考資料 図1.スクリーニングシステムの概略図 図2.獲得した変異体の活性確認(#27がHSS Cas9) 図3.HSS Cas9の細胞周期依存的な活性化(WT: 野生型Cas9, HSS: HSS Cas9, A4C: AcrIIA4-Cdt1, PO: ホスフォジエステル結合の一本鎖オリゴの鋳型, PS: ホスフォロチオエート結合(末端3塩基)の一本鎖オリゴの鋳型)   【プレスリリース】遺伝子編集の精度を高める新しい仕組みを開発~安全で確実性の高い遺伝子治療や精密さが求められる基礎研究に貢献~.pdf(398.74 KB) 掲載雑誌:Journal of Biomedical Science 研究者ガイドブック(野村渉教授)   【お問い合わせ先】   <研究に関すること> 東京都医学総合研究所主任研究員松本大亮 Tel:03-5316-3129 E-mail:matsumoto-ds*igakuken.or.jp   広島大学大学院医系科学研究科教授野村渉 Tel:082-257-5308 E-mail:wnomura*hiroshima-u.ac.jp   山口大学大学研究推進機構 中高温微生物研究センター助教 佐藤悠 Tel:083-933-5841 E-mail: yusato*yamaguchi-u.ac.jp   <報道に関すること> 広島大学 広報室 Tel:082-424-4518 FAX 082-424-6040 E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp   公益財団法人 東京都医学総合研究所 事務局研究推進課乙竹・伊藤 Tel:03-5316-3109   山口大学総務企画部総務課広報室 Tel:083-933-5007 E-mail:sh011*yamaguchi-u.ac.jp   (*は半角@に置き換えてください)

    • 医療/ヘルスケア
    2025.12.17
    • 医療/ヘルスケア
    日本の医療機器・技術の海外移転:低所得国での安全な出産に向けたモバイル胎児心拍モニターの効果検証

    本研究成果のポイント 本研究では、モバイル胎児心拍モニター(iCTG)が、妊娠後期の胎児の心拍異常をより確実に捉え、新生児の状態改善や周産期死亡の減少につながる可能性が示されました。日本企業の開発した医療機器が、資源が限られた地域でも導入しやすい、現実的かつ効果的な技術であることが明らかになりました。   概要 広島大学大学院医系科学研究科の新福洋子教授を中心とする研究チームは、低所得国での胎児モニタリングを可能にするため、モバイル胎児心拍モニター(iCTG)の効果を検証しました。その結果、従来の胎児モニタリングよりも異常心拍の検出率が大幅に向上し、出生直後の新生児の健康状態が改善しました。本研究は、低リソース環境における妊婦ケアの質向上に新たな可能性を示しています。 本研究成果は、学術誌「BMC Public Health」に掲載されました。 また、本研究は広島大学から論文掲載料の助成を受けています。   論文情報 タイトル:Effectiveness of a mobile cardiotocography device (iCTG) in improving antenatal care and detecting abnormal fetal heart rate during late pregnancy: an implementation study in Tanzania 掲載誌:BMC Public Health(Q1) 著者:Dorkasi L Mwakawanga, Sanmei Chen, Crystal L Patil, Md Moshiur Rahman, Beatrice Mwilike, Agnes F Massae, Naoki Hirose, Yuryon Kobayashi, Yoko Shimpuku DOI:10.1186/s12889-025-25383-4   背景 胎児モニタリングとは、おなかの中にいる胎児の状態を継続的に観察・記録することです。胎児の心拍などを観察することで、外から直接見ることのできない胎児の状態を把握することができ、出産時の胎児の異常を判断する重要なデータとなります。安全な出産にとても重要なのですが、多くの低所得国では、十分な胎児モニタリングが行えず、心拍異常が見逃されることで死産や新生児合併症の一因となっています。十分な胎児モニタリングが行えない理由は多々ありますが、その一つに機器とインフラの不足があります。胎児モニタリングを行う際、胎児心拍モニター(CTG)という機器を使用しますが、高価であり導入が難しい点などから、低資源国では導入数が限られています。よって、医療スタッフが使いやすく、持続的に運用できる新しいモニタリング技術の導入が求められていました。   研究成果の内容 今回の研究では、タンザニアの医療施設にモバイル胎児心拍モニター(iCTG)を導入し、その効果を検証しました。iCTGとは、従来のCTGを小型化し、持ち運びを可能にしたものです。また、データをクラウドで管理し、遠隔地からも胎児の状態を確認できます。小型であることから従来より容易に導入することができ、低コストであることや操作が簡潔であることなど、様々なメリットがあります。iCTGを導入した施設では、胎児心拍異常の発見数が従来の約10倍に増え、新生児の胎児仮死も半分以下に減少し、周産期死亡が約8割減少しました。助産師らが現場で無理なく使用できる操作性も確認され、実装研究として有用性が示されました。 今後の展開 今後は、より幅広い地域での導入と長期的な母子の健康への影響を検証するとともに、コスト効果や運用体制を含めた持続可能なモデル作りを進めます。最終的には、どこに住んでいても妊婦が安全な胎児モニタリングを受けられる世界的な体制整備を目指します。   参考資料 メロディ・インターナショナル株式会社(iCTG開発) https://melody.international/ AMED「開発途上国・新興国における医療技術等実用化研究事業」 https://www.amed.go.jp/program/list/12/01/003_jigor6.html   報道発表資料(332.21 KB) 掲載雑誌:BMC Public Health 研究者ガイドブック(新福 洋子 教授)   【お問い合わせ先】 広島大学大学院医系科学研究科教授新福洋子 Tel:082-257-5345FAX:082-257-5345 E-mail:yokoshim@hiroshima-u.ac.jp

    • デジタル/AI
    2026.01.19
    • デジタル/AI
    深層学習・ニューラルネットワークによる視覚表現学習

    アピールポイント 数理的なアイデアに基づいた深層学習・ニューラルネットワーク技術の研究をしています. 最近は効率的な学習・推論に向けた画像認識・画像生成の研究に興味があります.   研究者のねらい 深層学習は,大量のデータからパターンを自動で学習する機械学習の一分野であり,ニューラルネットワークを用いて段階的に特徴表現を獲得します.予測と正解の誤差をもとに重みを最適化することで,画像認識・生成や生成AIなど多様なタスクを実現します.   研究の興味 汎化性能に優れたニューラルネットワークを学習するためにはどうすれば良いか?   ニューラルネットワークによる認識 データ数に偏りがあっても安定して性能が出る画像認識技術 製品や工程によってデータ数に大きな差がある場合でも,少数データを活かして学習できる手法を研究しています → 製品Aと製品Bで検査画像数に差がある外観検査,クラス不均衡な品質判定への応用が可能 https://arxiv.org/abs/2508.18723   重要な部分だけに注目することで高速・省資源な認識を実現 画像中の不要な領域を自動的に無視し,本当に見るべき部分に集中して認識する仕組みを開発しています → 計算資源が限られた装置,動画像や高解像度画像を扱う検査・監視システムに応用可能   「知らないものは分からない」と判断できる安全な認識技術 学習時に見たことのない対象を,誤って正常と判断せず「未知」と検出する技術を研究しています → 外観検査や映像監視における異常検知,見逃しリスクの低減に貢献   学習の順序を工夫して未知データに強いモデルを作る技術 簡単なデータから難しいデータへ段階的に学習させることで,実運用での性能低下を抑えます → データの難易度に偏りがある場合や,現場データが徐々に変化する環境で有効 https://arxiv.org/abs/2508.18726   異常を「理由付き」で説明できる大規模画像言語モデル 画像だけでなく言語情報も用いて,異常を説明できる外観検査向け生成AIを開発しています → 画像と言語による異常の説明を実現 + 大規模画像言語モデルの学習ノウハウの提供 https://arxiv.org/abs/2502.09057   ニューラルネットワークによる生成   3次元形状を高精度に表現・復元する技術 形状の密度だけでなく「距離」の概念も学習することで,より正確な3次元表現を実現します → 3次元形状復元,3次元姿勢推定,製品形状のデジタル化に応用可能 https://ueda0319.github.io/neddf/   形状と動きを同時に扱う時空間モデリング技術 物体の形状変化や動作をまとめて学習し,時間的な変化を含む構造を捉えます → 動作解析のためのデータ拡張,時系列3次元データの再構成への応用 https://ieeexplore.ieee.org/document/11228866   [ホンダとの共同研究] 把持動作を学習するロボット制御のための3次元表現学習の技術 ロボットハンドの「つかみ方」をモデル化し,柔軟な把持動作の学習に向けた3次元表現学習を実現しています → ロボティクス応用   深層学習・ニューラルネットワークの基礎から応用までの講義 MLP から Vision Transformer(ViT)まで,学部・修士向けに講義をしています → ニューラルネットワークの仕組みからプログラミングまで学術指導も可能です   その他の取り組み [ヤマハとの共同研究] 生成モデルを用いた官能検査支援 人の感覚に依存しやすい検査を,生成モデルによって支援する技術を研究しています → 正常・異常の判断・定義が困難な検査工程,異常データを生成したい場合に活用可能   国際会議(CVPR など)の最新動向サーベイ 人の感覚に依存しやすい検査を,生成モデルによって支援する技術を研究しています → 正常・異常の判断・定義が困難な検査工程,異常データを生成したい場合に活用可能   研究者 相澤宏旭AIZAWA HIROAKI 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 助教

    • デジタル/AI
    2026.01.19
    • デジタル/AI
    ウェーブレットに基づいた円滑化技術による寿命分析の改善に関する検討

    アピールポイント ウェーブレット変換により,任意の寿命関数を異なる解像度で表現. 既存の寿命分析関数にウェーブレット変換を適⽤することで適合精度が向上. 部品やハードウェアに対して,より精度の⾼い寿命分析が可能.   研究のねらい 部品の故障が製品もしくはシステム全体の故障につながることを防ぐため、寿命分布を統計的に推定し、計画的な保守・点検を⾏う必要がある.本研究ではウェーブレットに基づいた寿命分布関数の円滑化技術を開発し,既存の寿命関数に「ズームレンズ」をかけるイメージで異なる解像度で表⽰できる.この円滑化技術を既存の寿命関数に適⽤することによって,より精度の⾼い寿命分析を⾏い,保守コストの削減や信頼性の向上に繋げる.   研究内容   1,背景 寿命分析とは部品の故障時間データから寿命分布関数を統計的に推定し,⼀定の時間において部品が故障しない確率(信頼度)を予測することである.⾼い精度の寿命分析により予防保全の計画策定か製品品質及び顧客満⾜度の向上に繋げたい.   2,ノンパラメトリックモデル 部品の故障時間が従う分布(例えば,指数分布)が事前にわかっていれば,最尤法などを使ってデータからパラメーター推定を⾏えばよい.しかしながら,多くの場合,部品の寿命分布に関して事前知識がないことが多い.ノンパラメトリックモデルは寿命分布に関する事前知識が必要ない汎⽤的な統計⼿法である.   3,ウェーブレットに基づいた円滑化技術 ここで、 ɤは形状パラメーター、mは解像度パラメーター、kɤ,m(t,s)はドブシーウェーブレットで構成された再生カーネル,λ(・)は任意の既知のノンパラメトリックモデル、λm(・)は解像度レベルmで円滑化されたノンパラメトリックモデル   4,応⽤例 NPMLE ︓ノンパラメトリック最尤推定量 NPMLWE︓円滑化技術を適応したNPMLE LogLogist︓パラメトリックモデル(baseline)   5,ツール開発︓Daubechies-WET ⼩修理回数を表すNHPP(⾮定常ポアソン過程)に対して,いくつかのノンパラメトリックモデルやウェーブレットで円滑化されたモデルを実装したツールを開発. HP: daubewet.wujingchi.com   関連情報 【論⽂】 J. Wu, T. Dohi and H. Okamura (2025), A novel lifetime analysis of repairable systemsvia Daubechies wavelets, Annals of Operations Research, vol. 349, pp. 287–314. 【知財】なし   研究者 呉 敬馳WU JINGCHI 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 特任助教

    • 医療/ヘルスケア
    2025.12.17
    • 医療/ヘルスケア
    肝移植拒絶リスクを遺伝子で予測、個別化治療への新たな一歩 ーSIRPα遺伝子多型が免疫応答を制御する仕組みを解明ー

    本研究成果のポイント 肝臓移植の際に拒絶反応が起こるかどうかは、免疫の働きを決める「SIRPα遺伝子」の違いが関係していることを世界ではじめて明らかにしました。 この成果により、患者ごとに拒絶反応が起きるリスクを予測し、治療法の個別化・最適化を目指します。   概要 広島大学の研究チーム(広島大学 大学院医系科学研究科 消化器・移植外科学 大段秀樹 教授、Akhmet Seidakhmetov医師、呉医療センター谷峰直樹医師、ら)は、日本人154組の生体肝移植ドナー(提供する人)・レシピエント(受ける人)ペアを対象に肝移植の拒絶反応に関する研究を行いました。 その結果、肝臓移植の際に拒絶反応がおこるかどうかは、免疫の働きを決める「SIRPα遺伝子」の違いが関係していることを明らかにしました。具体的には、「SIRPα遺伝子」の「V2型」をもつ人では、急性拒絶反応の発生率が高いことを発見しました。 この研究成果は、国際学術誌 『PNAS Nexus(Q1)』(米国科学アカデミー機関誌系列) に掲載されました。 また、本研究成果は広島大学から論文掲載料の助成を受けています。   論文タイトル Impact of SIRPα Genotype Combinations in Recipients and Donors on Alloimmune Response in Liver Transplantation 著者 Akhmet Seidakhmetov, Naoki Tanimine, Yuka Tanaka, Ryosuke Arata, Ryosuke Nakano, Hiroshi Sakai, Masahiro Ohira, Hiroyuki Tahara, Kentaro Ide, Tsuyoshi Kobayashi, Hideki Ohdan* *:責任著者 DOI:[10.1093/pnasnexus/pgaf351]   背景 肝硬変や肝臓がんなどにより、肝臓の機能が回復できないほど悪くなった患者では、肝臓移植が効果的な治療法となります。しかし臓器移植をする際には、患者自身の免疫が、移植された臓器を異物であると判断し攻撃してしまう「拒絶反応」が最大の課題です。 これまでの研究成果において、拒絶反応は主に「HLA遺伝子(免疫システムが「自己」と「非自己」を見分けるための目印のようなもの)」の不一致によって説明されてきました。移植された臓器と移植を受ける身体のHLA遺伝子が違うため、免疫システムが勘違いし、拒絶反応を起こしてしまうという仕組みです。しかし、HLA遺伝子が一致していても拒絶が起こる症例が存在しており、仕組みの解明が求められていました。   研究成果の内容 「CD47」とは、ほとんどすべての細胞の表面にある「この細胞は自己の細胞である」という目印のようなものです。一方「SIRPα」とは、免疫細胞がCD47を感知するためのたんぱく質で、「SIRPα」と「CD47」が結合すると、免疫の誤作動が防がれます。これは「自己細胞を食べない」ための分子シグナルであり、「“don’t eat me”シグナル」とも呼ばれています。本研究グループはこれまで、動物種の異なる生物間で臓器を移植する「異種移植」の研究で、この「SIRPα–CD47経路」がとても重要であることを報告してきました。 今回の成果は、この仕組みが ヒトとヒトのあいだで行われる通常の臓器移植(同種移植)でも働いていることを、臨床データを用いて初めて明らかにしたものです。   解析の結果、SIRPα遺伝子には複数の多型が存在し、日本人では「V1」と「V2」型が主要であることが判明しました。V2型SIRPαはCD47との結合力が強く、T細胞活性化を促進する性質を持つことを、ヒト血液細胞を用いた実験で確認しました。 さらに、85組の肝移植ドナー・レシピエントの遺伝子組み合わせを解析し、V2型を多く含む組み合わせでは、急性拒絶反応の発生率が約1.5倍高いことを明らかにしました。 これらの知見をもとに、研究チームはSIRPα遺伝子型に基づいた「免疫反応強度スコア」を提案。このスコアにより、移植前に拒絶リスクを予測し、免疫抑制薬の投与計画を個別化できる可能性が示されました。 今後の展開 本研究は、移植免疫学における「新たな遺伝子マッチング指標」としてSIRPαを提案するものです。 今後は、腎移植など他臓器でも同様の検証を進め、SIRPα遺伝子検査を用いた拒絶反応リスク予測モデルの臨床応用を目指します。 さらに、免疫チェックポイント分子CD47との関連から、がん免疫療法や自己免疫疾患の治療戦略にも応用が期待されます。   参考資料 SIRPα(Signal Regulatory Protein Alpha):免疫細胞が「自己」を認識するための受容体。CD47と結合し、攻撃を抑制する信号を送る。 CD47:「自分を食べないで」というシグナルを発する細胞膜分子。がん細胞でも高発現が知られる。 本研究では、SIRPα遺伝子のV2型がCD47との結合を強め、免疫細胞の活性化を促すことを発見。 HLA遺伝子とは、「ヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen)」をつくる遺伝子。免疫システムが“自分”と“他人”を見分けるための最も重要な遺伝子群であり、「免疫の指紋」とも呼ばれる。 (図1)この図は、人の免疫細胞に発現しているSIRPαというたんぱく質が、CD47というたんぱく質とどの程度強く結合するかを調べた実験結果を示しています。 研究では、健康なボランティアから採取した血液中の免疫細胞を使い、SIRPα遺伝子の型が「V1型」か「V2型」かによって結合の強さが違うかを比較しました。 CD47たんぱく質を蛍光で光るようにして細胞に加え、その光の強さ(平均蛍光強度:MFI)を測ることで、どのくらいCD47がSIRPαに結合したかを定量的に評価しました。 結果として、V2型をもつ人の免疫細胞は、V1型をもつ人よりもCD47と強く結合することが明らかになりました(図中の赤い点がV2型、青い点がV1型)。 このことから、SIRPαの遺伝的な違いが免疫の強さや拒絶反応に影響する可能性があることが示唆されます。 (図2)この図は、ドナーとレシピエントそれぞれが持つ SIRPα 遺伝子型が組み合わさった時にどれくらい免疫が強く反応しやすいかモデル化し、拒絶発症率との関連を解析した結果を示しています。ドナーとレシピエントの免疫細胞(抗原提示細胞:APC)とT細胞の活性化の強さを、「+」の数で表しています。「+」が多いほど免疫反応が強く、拒絶反応が起こりやすい可能性があります。この免疫反応の強さを合計して、以下の3つのグループに分類しました: • 4+〜5+:拒絶反応が起こりにくい(低リスク) • 6+:中程度のリスク • 7+〜8+:拒絶反応が起こりやすい(高リスク) つまり、このモデルは「ドナーとレシピエントのSIRPα遺伝子の組み合わせによって、移植後の拒絶反応の起こりやすさを予測できる」ことを示したものです。()内の数値は拒絶反応の発症率です。   報道発表資料(574.97 KB) 掲載雑誌:PNAS Nexus 研究者ガイドブック(大段 秀樹教授)   【お問い合わせ先】 広島大学大学院医系科学研究科消化器・移植外科学 教授大段秀樹 Tel:082-257-5220FAX:082-257-5224 E-mail:hohdan@hiroshima-u.ac.jp

    • 環境エネルギー
    • 気候変動/エネルギー/GX
    2025.12.15
    • 環境エネルギー
    • 気候変動/エネルギー/GX
    トドの赤ちゃんが動作とサインのつながりを学習し、見分けられることが世界で初めて明らかに!

    本研究成果のポイント トドは0歳の仔獣期から、成獣と同じように動作とサインのつながりを学習し、弁別できる能⼒をもつことが、世界で初めて明らかになりました。   概要 城崎マリンワールドで生まれたトドのカナタは⽣後半年までに9種類の動作とそれに対応するサインを学習し、トレーナーの性別や親密度(接した時間)によらず⾼い精度でサインを識別することができました。 ハンドサインとボイスサインを同時に与えた場合、およびハンドサインのみを与えた場合の正解率は、9種類の動作全てで基準となる正解率を上回りました。 ボイスサインだけを与えた場合の正解率は、3種類の動作を除き基準となる正解率を下回りました。 本研究は、城崎マリンワールドの佐々木雅大氏、広島大学大学院人間社会科学研究科の神原利宗准教授らが執筆したもので、10月8日に「International Journal of Comparative Psychology」に掲載されました。城崎マリンワールドのトドの研究に関する国際論文では4本目、城崎マリンワールドで生まれたトドの「カナタ」に関する研究では初めてとなります。   研究成果の内容 トドは0歳の仔獣期から、成獣と同じように動作とサインのつながりを学習し、弁別できる能力をもつことが、世界で初めて明らかになりました。 トドの「カナタ」は生後半年までに9種類の動作とそれに対応するサインを学習し、トレーナーの性別や親密度(接した時間)によらず高い精度でサインを識別することができました。 ハンドサインとボイスサインを同時に与えた場合、およびハンドサインのみを与えた場合の正解率は、9種類の動作全てで基準となる正解率を上回りました。 ボイスサインだけを与えた場合の正解率は、3種類の動作を除き基準となる正解率を下回りました。   研究の背景 トドをはじめとするアシカの仲間は、長い授乳期間をもち、赤ちゃんのころにトレーナーが介入してトレーニングを行うことが難しい特徴があります。そのため、赤ちゃんのトドの学習能力については、野生下での観察を除いて知られていませんでした。 城崎マリンワールドで生まれたトドの「カナタ」は、母親が母乳で育てることが困難であったため、飼育員による人工哺育で育てられました。授乳期からトレーニングを行える特殊な環境から、貴重なデータを得られる可能性がありました。 本研究はこれまで前例がなかった、赤ちゃんのトドの学習能力について調べたものです。   研究方法 ハンドサインとボイスサインを同時に与えて9種類の動作でトレーニングを行いました。その後の実験で以下の3つの条件で「カナタ」にサインを与え、正解率を調べました。 ①ハンドサインとボイスサイン同時 ②ハンドサインだけ ③ボイスサインだけ 目で見た情報と、耳で聞いた情報、どちらが学習において重要なのかを調べました。実験は男女3人ずつ、合計6人で行い、親密度や性別による影響を考慮しました。 資料映像: 最初はホースの水を使うなど遊びの中で動作を引き出し、ミルクを使って教えていきました。その後は、目印となる道具や手を使ったトレーニングも行い、生後半年までに9種類の動作ができるようになりました。 各動作ができるようになった後は、決められた手の動き(ハンドサイン)と声(ボイスサイン)を同時に与えながら動作とむすびつけ、サインに合わせて動作を行うことをトレーニングしました。   資料映像:ホースの水で遊ぶカナタ 資料映像:はじめてトレーニングした”バイバイ” 資料映像:”あーん”のトレーニング 参考資料 図1.カナタ(授乳期) 図2.カナタ(現在)   論文情報 掲載雑誌名:International Journal of Comparative Psychology DOI:https://doi.org/10.46867/ijcp.41525 タイトル:“A Case Study of Associations Between Human Visual-Vocal Commands and Behaviors in a Lactating Steller Sea Lion Pup (Eumetopias jubatus)”   著者:佐々木雅大氏1,堤和樹氏1,木下日奈乃氏1,西島昌宏氏1,松村千織氏1,豊田彩加氏1, 神原利宗2 所属:1城崎マリンワールドシーズー,2広島大学   掲載雑誌:International Journal of Comparative Psychology 研究者ガイドブック(神原利宗 准教授)   【お問い合わせ先】 城崎マリンワールドシーズー 飼育員佐々木雅大 氏 TEL:0796-28-2300 FAX:0796-28-3675 Email:seazoo*hiyoriyama.co.jp (*は半角@に置き換えてください)   広島大学大学院人間社会科学研究科 心理学プログラム 准教授神原利宗 TEL:082-424-6280 FAX:082-424-3481 E-mail:tkambara*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

    • 環境エネルギー
    • 気候変動/エネルギー/GX
    • バイオエコノミー
    2025.12.12
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    外来遺伝子を残さない安全なゲノム編集を藻類で実現! ―藻類バイオ燃料の実用化に向け、新しい遺伝子編集方法を開発―

    本研究成果のポイント バイオディーゼルなどの燃料生産が期待される微細藻類“ナンノクロロプシス*1”において、遺伝子を安全に改変できるよう「塩基編集*2システム」を搭載した脱落可能なDNAベクターを開発しました。 この塩基編集システムは、DNA二本鎖切断(DNA Double-strand Breaks, DSBs)*3を導入しない安全な遺伝子改変システムであるため、外来遺伝子を残さず(外来遺伝子フリー*4)、必要な変異だけを導入できる安全な方法です。この技術を使うことで、遺伝子改変後も外来遺伝子を含まないナンノクロロプシスを構築することが可能になりました。 脱落可能なベクターにより樹立できる外来遺伝子の残らないゲノム編集生物はカルタヘナ法*5の定める遺伝子組換え生物には該当しないため、屋外培養などの幅広い用途への応用が期待できます。     概要 広島大学ゲノム編集イノベーションセンターの諸井桂之研究員、山本卓教授および栗田朋和特任准教授は、非常に多くの油脂を蓄積する微細藻類、ナンノクロロプシスにおいて脱落可能な塩基編集ベクターを開発しました。この技術により変異導入時にDSBsを介さずに外来遺伝子を含まないナンノクロロプシスのゲノム編集株を樹立する手法を確立しました。 本研究成果は令和7年11月27日に英国Nature research社の科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。 論文情報 掲載雑誌:Scientific Reports 論文題目:“Double-strand break-free and transgene-free genome editing in the microalga Nannochloropsis oceanica using removable vectors containing the CRISPR base editing system” 著者: Keishi Moroi, Yamamoto, Tomokazu Kurita* 広島大学ゲノム編集イノベーションセンター *:責任著者 DOI: 10.1038/s41598-025-26657-y 背景 微細藻類は細胞内に多量の油脂や有用物質を蓄積させるため、バイオディーゼルなどの生産が期待されていますが、生産コストなどの面で課題があるため、多くの研究者が微細藻類の分子育種を進めています。現在までに非常に効率の良いゲノム編集ツールが微細藻類で使用されて多くのゲノム編集藻類が構築されましたが、それらはDNA二本鎖切断(DSBs)を導入してから藻類細胞のDSB修復機構依存的に変異を導入していました。一方でこのようなDNAの二本鎖切断が稀に大規模なゲノムDNAの削除や染色体間での組換えなど宿主細胞に有毒で不都合な改変も起こっていました。 研究成果の内容 本研究ではナンノクロロプシスにおいてCEN/ARS*6を含む脱落可能ベクターに塩基編集用の発現カセットを搭載して、図のように塩基置換後に脱落可能なベクターを構築しました。この塩基編集ベクターによりナンノクロロプシスの内在性の5種の遺伝子における6つの標的サイトにおいて塩基置換の導入に成功しました。塩基置換効率は29.2%から47.6%で、塩基置換後のベクターの脱落にも成功しました。 今後の展開 本研究により確立したDSBフリー且つ、外来遺伝子が残らないゲノム編集法を用いて屋外培養可能、かつ油脂蓄積効率の高い“高機能藻類”の樹立が期待されます。DSBフリーのゲノム編集システムは複数箇所同時改変でも標的サイト間での大規模な遺伝子の脱落や染色体間での組換えといった不都合な改変が起こり難く、また脱落可能ベクターはマーカーの再利用が可能になるため、本システムは、細胞内の多数の遺伝子を改変する際に非常に有効であると考えられます。本研究で確立した外来遺伝子フリー塩基編集システムは藻類バイオディーゼル*7の実用化に必須の基盤技術と考えられます。 用語解説 *1ナンノクロロプシス 直径 2〜5μmほどの小さな海の植物プランクトンです。培養環境に応じてバイオディーゼルに変換できる油脂を大量に蓄積すること、オメガ3脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含有することなど多くの特長を持つことから、さまざまな分野で活用されています。 *2塩基編集 Clustered regularly interspaced short palindromic repeats (CRISPR)–CRISPR-associated protein 9 (Cas9)には2つのヌクレアーゼドメインがあり、標的部位にDNA二本鎖切断を導入します。このヌクレアーゼの片方を失活したnCas9はDNAの2本鎖の片方のみを切断する酵素でCas9ニッカーゼと言います。このnCas9に塩基の脱アミノ化を行うデアミナーゼを融合して、標的部位の塩基を別の塩基に置換するのが塩基編集です。本研究では、nCas9にヤツメウナギのデアミナーゼであるPmCDA1とウラシルDNAグリコシレーション阻害タンパク質を結合した融合タンパク質を使用しています。PmCDA1は標的配列のシトシンのアミノ基を脱離させてウラシルに置換します。ウラシルはチミンと同様にアデニンと塩基対を形成するため、最終的にシトシンをチミンに変換できます。このような塩基編集システムをシトシンベースエディター(cytosine base editors, CBE)と言います。ウラシルDNAグリコシレーション阻害タンパク質はPmCDA1により変換されたウラシルが細胞内の塩基除去修復機構により取り除かれ、別の塩基に変換されるのを防ぐ役割があります。 *3DNA二本鎖切断(DNA Double-strand Breaks, DSBs) 生命の設計図であるゲノムDNAは二本のDNA鎖が二重螺旋構造を形成していますが、この二本の鎖の両方を切断するのがDSBsです。DSBsが導入されると細胞内のDSB修復系が機能し基本的には元通り修復されます。しかし一定の割合で修復システムのエラーによりゲノムDNAに変異が導入されます。この現象を利用してDSBsを介したゲノム編集ツールは特定部位に結合してDSBsを導入、標的遺伝子に変異を導入しますが、この時に稀に標的以外の遺伝子を含む大規模な遺伝子の削除や、染色体間での置換など、宿主細胞にとって有害で不都合な反応が起こることがあります。このような反応は特に特にゲノムDNAの複数の場所でDSBsを同時に導入した場合に起こることがあるため、複数の遺伝子を同時に改変する場合には特にDSBフリーのシステムが重要になります。 *4外来遺伝子フリーシステム 異種生物由来や合成された配列など、外来のDNA配列を含む生物を遺伝子組換え生物(Gene Modified Organisms, GMOs)と言います。GMOsはカルタヘナ法に基づく生物学的封じ込めの規定があるため、屋外培養などには非常に強い使用制限があります。CEN/ARSを持つベクターは細胞内でゲノムDNAの外で維持されるエピソーマルベクターとして振舞い、抗生物質による選択圧が無い培養条件では自然に脱落します。このように最終的に外来遺伝子が残らないシステムを外来遺伝子フリーシステムと言います。 *5カルタヘナ法 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律。日本国内において、遺伝子組換え生物の使用等について規制をし、生物多様性条約カルタヘナ議定書を適切に運用するための法律で、遺伝子組換え生物が生物多様性へ影響を及ぼさないかどうか事前に審査することや、適切な使用方法について定められています。 *6CEN/ARS 出芽酵母の染色体の安定性に関わる配列であり、CEN/ARSはCentromere and autonomous replication sequenceの略で、出芽酵母の汎用low copyベクターに使用されています。最近このCEN/ARSを持つベクターが珪藻やナンノクロロプシスにおいても細胞内でゲノムDNAの外でエピソーマルベクターとして安定に維持されることが報告されていました。 *7藻類バイオディーゼル 微細藻類は環境ストレスなどに応じて細胞内に多量の油脂を蓄積します。この油脂に含まれる脂肪酸を脂肪酸メチルエステルに変換して使用する燃料です。藻類による油脂の生産は光合成によりCO2を吸収するため、大気中のCO2を増加させない次世代の再生可能エネルギーとして期待されています。   報道発表資料(733.68 KB) 掲載ジャーナル:Scientific Reports 研究者ガイドブック(栗田 朋和 特任准教授)   【お問い合わせ先】 広島大学ゲノム編集イノベーションセンター 特任准教授 栗田 朋和 Tel:082-424-4008 E-mail:kuri616*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

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    2025.11.14
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    植物の形態にひそむ周期性を変調させる仕組みを発見  魅力的な花き類の創出に期待

      概要 奈良先端科学技術大学院大学(学長:塩﨑一裕) 先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域の池内桃子特任准教授と京都府立大学の爲重才覚講師(研究当時:名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所、 横浜市立大学、 奈良先端大を含む)、奈良先端大の土田岳志(研究当時:博士前期課程)らは、広島大学大学院統合生命科学研究科の藤本仰一教授、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所/テキサス大学の鳥居啓子教授、名古屋大学遺伝子実験施設の打田直行教授、東京農工大学の笠原博幸教授、熊本大学の相田光宏教授らの研究グループと共同で、植物の形態形成の周期性を変調させる仕組みを発見しました。  形態形成を司る植物ホルモンのオーキシン(注1)の空間的なパターンは、オーキシンの輸送によって創出されるという説が長年受け入れられてきましたが、パターンの周期性を決める仕組みはこれまで明らかになっていませんでした。  今回の研究はEPFL2(EPIDERMAL PATTERNING FACTOR-LIKE 2)(注2)というペプチドホルモンとの相互抑制的な関係性が、オーキシンの周期的な空間パターンを変調させることを新たに見出しました。これは、従来モデルを20年ぶりに書き換える重大な発見であるといえます。  本研究の成果は、花卉(かき)類や園芸植物の形を操作する技術の創出につながることが期待できます。  この研究成果は、イギリスの学術誌「Nature Communications」オンライン版に2025年11月13日(木)午後7時(日本時間)に掲載されます(DOI:10.1038/s41467-025-65792-y)。     背景と目的 ヒマワリやマツボックリなどのフィボナッチらせん(注3)に代表される植物の周期的な構造は、葉や花などの器官を一定間隔で繰り返し生み出すことで形作られています。また、ひとつひとつの器官の形状に着目すると、葉の縁には鋸歯(きょし)と呼ばれるギザギザ構造が一定の間隔で形成されていることがわかります(図1)。  こうした器官や鋸歯等の突起構造は、植物ホルモンであるオーキシンが局所的に蓄積することによって形成されます。オーキシンの輸送体がオーキシン濃度の高い細胞の方へ流す働きがあることで自発的に周期的なパターンが生み出されることが、実験およびコンピュータシミュレーションの結果に基づいて20年ほど前から提唱されていました1,2,3,4。  この説によると、オーキシンの輸送と拡散の関係によって周期性が決まると想定されます。しかし、実際の植物において周期性が変わる観察例はなく、周期性が決まる仕組みは未解明でした。     研究手法と成果 周期性を制御する仕組みを理解する手がかりは、EPFL2と呼ばれるペプチドホルモンを作れない変異体の解析から得られました。  鋸歯形成に先立って葉の縁に形成されるオーキシン蓄積部位を観察すると、EPFL2の機能が損なわれたepfl2 変異体ではその形成間隔が短くなっていることを発見しました(図2)。以前の研究によって、EPFL2とオーキシンの間に相互に抑制し合う制御関係があることがわかっていました5。 そこで研究グループは、従来モデルのオーキシンと輸送体の制御関係にオーキシンとEPFL2の相互抑制関係を組み込んだ新しいモデルを構築しました。  葉を模した多細胞列をコンピュータ上で再現しEPFL2がオーキシン蓄積部位の周期性に与える影響を調べた結果、EPFL2の量が少なければ形成間隔が短くなるという観察結果を再現しました。さらに、EPFL2の量を通常条件よりも増やせば間隔がもっと長くなり、一方でEPFL2の量を極端に減らすとひとつひとつの蓄積部位が明瞭に形成されなくなるというシュミュレーションの結果が得られました。  研究グループは実験的にEPFL2の量を改変した植物体を作り出し、これらのシミュレーション結果を裏付けることに成功しました。 また、EPFL2が規則的な器官配置パターンの形成に必要であることも見出し、EPFL2は植物の形作りを一般的に制御する重要な因子であることを証明しました(図3)。  こうして、実験とシミュレーションの両面のアプローチに基づき、EPFL2とオーキシンの相互抑制的関係が繰り返し起こる形態形成イベントの周期性を変調させる仕組みを提案しました(図4)。     今後の展開 輸送体によってオーキシン蓄積部位が周期的に生み出される仕組みは、チューリングパターン(注4)と呼ばれる一般的な規則正しいパターン形成と類似した仕組みと考えられています6。  今回の研究は、相互抑制関係とチューリングパターンを組み合わせることで周期性を変調させるという、新しいパターン形成の仕組みを提案しています。植物の形態形成の制御に留まらず、自然界に見られる様々な周期的パターン形成においても同様の仕組みが働いている可能性が考えられます。  また、サニーレタスのように複雑に入り組んだ葉の構造やカーネーションなど花弁の辺縁構造も鋸歯と共通した仕組みで作られるため、鑑賞用の花卉類や園芸植物の形質を改変して魅力的な形の植物を生み出す技術の開発に利用できる可能性があります。     謝辞 本研究は、科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業(JPMJFR214H)、日本学術振興会(JSPS)新学術領域研究「植物の周期と変調」(20H05431, 22H04713)・新学術領域研究「植物多能性幹細胞」(JP17H06476)・基盤研究B (JP26291057)・若手研究(20K15807)などの支援を受けて行われました。     用語解説 注1 オーキシン:植物の成長を調節する代表的な植物ホルモンの一つ。茎の伸長や根の形成、葉や花の配置など、体の各部の形づくり全般に深く関わっており、農業や研究目的で人為的に投与することも多い。 注2 EPFL2:EPIDERMAL PATTERNING FACTOR-LIKEsを含む一群のペプチド(EPF/EPFLs)のうちの一種。EPF/EPFLsは植物が体の各部の形成を調節するホルモン様のペプチド分子で、多くの植物が持っている。EPFL2は特に葉の形態、胚珠(種子になる器官)の形成、分裂組織のサイズなどに関わることが知られている。 注3 フィボナッチらせん:らせんの列の数がフィボナッチ数列(前の2つの数を足した数が次の数になるという規則性を持つ数列)に従う規則的な配置。 注4 チューリングパターン:物質の反応と拡散の仕組みによって自然に生じる模様、およびその理論。イギリスの数学者で暗号解読の功績やコンピュータ科学の創始者としても知られるアラン・ チューリングが提唱した。動物の斑点や縞模様、植物の模様や形態などを説明する理論として知られる。     引用文献 1. Jönsson H, Heisler MG, Shapiro BE, Meyerowitz EM & Mjolsness E. An auxin-driven polarized transport model for phyllotaxis. Proc Natl Acad Sci U S A. 103, 1633-1638 (2006). 2. de Reuille, P. B. et al. Computer simulations reveal properties of the cell–cell signaling network at the shoot apex in Arabidopsis. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 103, 1627-1632. (2006). 3. Smith, R. S. et al. A plausible model of phyllotaxis. Proc. Natl. Acad. Sci.USA 103, 1301-1306. (2006). 4. Bilsborough GD et al. Model for the regulation of Arabidopsis thaliana leaf margin development. Proc Natl Acad Sci U S A. 108, 3424-9 (2011). 5. Tameshige T et al. A secreted peptide and its receptors shape the auxin response pattern and leaf margin morphogenesis. Curr Biol. 26, 2478-2485 (2016). 6. Sahlin P., Söderberg B. & Jönsson H. Regulated transport as a mechanism for pattern generation: capabilities for phyllotaxis and beyond. J. Theor Biol. 258, 60-70 (2009).     掲載論文 タイトル:Mutual inhibition between EPFL2 and auxin extends the intervals of periodic leaf morphogenesis(EPFL2とオーキシンの相互抑制が葉の周期的な形態形成の間隔を伸ばしている) 著者:Toshiaki Tameshige#, Takeshi Tsuchida#, Yuuki Matsushita, Yuki Doll, Kaisei Maruyama, Takemoto Agui, Mitsuhiro Aida, Hiroyuki Kasahara, Keiko U Torii, Naoyuki Uchida, Koichi Fujimoto, Momoko Ikeuchi* #共筆頭著者 *責任著者 掲載誌:Nature Communications DOI:10.1038/s41467-025-65792-y     報道発表資料.pdf(1.59 MB) 掲載雑誌:Nature Communications 研究者ガイドブック(藤本 仰一 教授)   【お問い合わせ先】 <研究に関すること> 奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科バイオサイエンス領域植物再生学研究室 特任准教授池内桃子 TEL:0743-72-5520E-mail:momoko.ikeuchi@bs.naist.jp 研究室紹介ホームページ:https://bsw3.naist.jp/ikeuchi/   京都府立大学大学院生命環境科学研究科 講師爲重才覚 TEL:075-703-5444E-mail:t-tamesige@kpu.ac.jp 研究室紹介ホームページ:https://sites.google.com/view/tameshigelab/   広島大学大学院統合生命科学研究科 教授藤本仰一 TEL:082-424-7346E-mail:kfjmt@hiroshima-u.ac.jp     <JST事業に関すること> 科学技術振興機構 創発的研究推進部東出学信 TEL:03-5214-7276E-mail:souhatsu-inquiry@jst.go.jp     <報道に関すること> 奈良先端科学技術大学院大学企画総務課渉外企画係 TEL:0743-72-5063/5112FAX:0743-72-5011E-mail:s-kikaku@ad.naist.jp   科学技術振興機構広報課 TEL:03-5214-8404FAX:03-5214-8432E-mail:jstkoho@jst.go.jp   京都府立大学企画・地域連携課企画・地域連携係 TEL:075-703-5147FAX:075-703-4979E-mail:kikaku@kpu.ac.jp   名古屋大学総務部広報課 TEL:052-558-9735FAX:052-788-6272E-mail:nu_research@t.mail.nagoya-u.ac.jp   広島大学広報室 E-mail:koho@office.hiroshima-u.ac.jp

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    2026.04.22
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    カリウムイオンがイオンチャネルのスイッチに!―細胞外カリウムイオンを感知して開閉するチャネル分子の発見―

    概要カリウムはあらゆる細胞・生命にとって不可欠なミネラルです。例えば動物において、カリウムイオン(K⁺)は、神経や心臓の拍動を支え、その濃度異常が、てんかんや不整脈を引き起こします。これらのはたらきは、K⁺がイオンチャネル(注1)を“通って”細胞内外を移動するためであることが広く知られていましたが、イオンチャネルの働きを切り替える“スイッチ”として機能する仕組みは知られていませんでした。今回、生理学研究所の下村拓史助教(研究当時)(現:広島大学大学院医系科学研究科)、久保義弘教授、名古屋市立大学大学院薬学研究科の鈴木力憲講師、東京都医学総合研究所の齋藤実プロジェクトリーダーらのグループは、動物においてはじめて、細胞外のK⁺を“スイッチ”として直接感知するチャネル分子を発見しました。本研究結果は、Nature Communications誌(2026年4月22日18時解禁)に掲載されました。   背景カリウムは細胞からなるすべての生命に必須のミネラルです。ヒトを含む動物では、体液中(細胞外)のカリウムイオン(K⁺)濃度の異常はてんかんや不整脈につながるため、その濃度は厳密に制御されています。K⁺の濃度は、細胞膜に存在するイオンチャネルなどの膜タンパク質(注2)を介した、K⁺の細胞内外への移動(透過)を通じて調整されています(図1左)。   【図1】Alkaは細胞外のK⁺を“スイッチ”として結合する (左)これまで、K⁺の恒常性に関わる膜タンパク質は、K⁺自体を細胞膜を超えて透過させる機能を持つことが知られていました。(右)今回、塩化物イオン(Cl̠⁻)チャネルであるAlkaは、細胞外のK⁺を結合する領域を持ち、その結合に応じて、K⁺とは異なる出力であるCl⁻の細胞膜透過を制御することが明らかになりました。   イオンチャネルが開閉し、イオンを通すかどうかを決める“スイッチ”には様々なものがありますが、重要な“スイッチ”の一つが、特定の分子(リガンド)がチャネルに結合することです。この結合が“スイッチ”となりチャネル開閉の変化を引き起こし、電流の変化などを生み出します。 これまで、K⁺は、単にイオンチャネルを透過する対象であるだけで、チャネルにとって“スイッチ”としての役割は無いと考えられており、実際、動物や植物において、K⁺がスイッチとして働く明確なものは、イオンチャネルのみならず膜タンパク質一般で今まで見つかっていませんでした。   本研究による発見本研究において、ショウジョウバエの脳に存在するAlkaと呼ばれるイオンチャネルが、細胞外K⁺をスイッチとして認識する受容体であることを発見しました(図1右)。   研究内容研究グループは、まずAlkaを発現させた細胞の電気活動を記録し、同時に細胞外のK⁺濃度を変化させたところ、K⁺濃度によってチャネル電流が変化することを明らかにしました(図2)。この結果は、細胞外K⁺がリガンドとしてAlkaに結合し、Alkaの開閉を変化させ、電流の変化を引き起こしたことを示唆しています。   【図2】細胞外K⁺によるAlkaチャネル電流の変化   細胞外K⁺濃度を上昇させると、Alkaを流れる電流量は減少しました(A)。これは、K⁺が結合すると、Cl⁻電流が流れなくなるような状態にAlkaチャネルの状態が変化することを示しています(B)。   そこで次に、Alkaのどの部分に、細胞外K⁺が結合するのかを検討するため、近年急速に発展した生成AI技術を用いたタンパク質立体構造予測プログラム(注3)と電気生理学的解析を組み合わせて調べました。その結果、AlkaのK⁺結合領域は、K⁺が水溶液中で安定的に存在している状態と極めて似た環境を原子レベルで作りだすことで、K⁺を結合できるようにしていることがわかりました(図3)。これは、2003年のノーベル化学賞受賞理由ともなったK⁺チャネルのK⁺選択性・透過性のメカニズムとよく類似しています。このように、細胞外K⁺を結合し、異なる出力(チャネル電流)を生じることが明確に確認された膜タンパク質は、動物も含め真核生物では初めての例です。   【図3】AlkaがK⁺を認識する原子レベルでのメカニズム   (A) Alkaの予測立体構造モデル。Alkaに相当する部分はリボンで、結合したK⁺は紫色の球であらわしています。 (B) Alka予測構造におけるK⁺結合領域と、他の環境でのK⁺との比較。赤い棒は酸素原子。K⁺は水溶液中では水分子に包まれ、エネルギー的に安定な距離・配置で酸素原子と結合します(右下)。AlkaとK⁺チャネルは、この水溶液中の環境を再現するような立体構造を持つことで、K⁺を結合できるようにしていることが明らかになりました。   では、ヒトの体の中でもK⁺が同様の働きをする可能性はあるのでしょうか?この疑問に答えるため、さらに研究グループは、ヒトの脳に存在し、Alkaとよく似たイオンチャネルであるグリシン受容体が、細胞外K⁺により制御されるかどうかを調べました。一般的なタイプのグリシン受容体はK⁺濃度の変化に影響されることはありませんでしたが、興味深いことに、RNA編集(注4)により性質が変化したタイプでは、K⁺の濃度によってチャネル電流が変化することがわかりました(図4)。このことは、K⁺が“スイッチ”として働くしくみが、ハエから進化的に遠く離れたヒトでもある程度残存していることを示します。 下村講師は「本研究によって、細胞外K⁺濃度を感知する分子メカニズムとして、“透過”タイプだけではなく、“スイッチ”タイプが存在することが明らかになりました。これをきっかけに、新たな細胞外K⁺恒常性メカニズムが発見され、てんかんなど病気との関連や、これらK⁺依存性チャネルを標的とした治療薬の開発などにつながるかもしれません。」と話しています。   【図4】RNA編集型のヒトグリシン受容体はK+による制御を受ける   (左)ヒトの脳内に存在するグリシン受容体は、通常のタイプと、RNA編集を受けたタイプが存在します。(右)通常タイプはK⁺によって影響を受けない一方で、RNA編集を受けたタイプは、細胞外K⁺濃度に応じてCl-電流が変化することが明らかになりました。   ※ 図は一部Biorender.comを利用して作成しました。   用語説明注1)イオンチャネル:細胞膜に存在するタンパク質の一種で、特定のイオンを選択的に通すことができる。これにより、神経や筋肉のはたらきの基盤となる、細胞内外の電気的なバランスが作られる。 注2)膜タンパク質:細胞の内外を区切る膜に埋め込まれて存在するタンパク質。細胞の内外をつなぐ“通路”や“センサー”として働き、物質の出入りや情報のやり取りを担う。 注3)タンパク質立体構造予測プログラム:タンパク質の機能を理解するために重要な立体構造を計算機により予測する手法。近年、機械学習や生成AIの発展により予測精度が大きく向上し、実験結果と遜色のない高精度な予測が可能となった。これが評価され、2024年のノーベル化学賞の受賞理由の一つとなった。 注4)RNA編集:遺伝子DNAをもとに作られたRNAの情報を書き換える細胞の仕組み。これにより、同じ遺伝子から異なる性質をもつタンパク質が作られることがある。   【助成金等の情報】本研究は文部科学省科学研究費補助金、住友財団、豊秋奨学会、上原記念生命科学財団の補助を受けて行われました。   <今回の発見> 動物において、細胞外K⁺で開閉するイオンチャネル分子を初めて発見し、そのK⁺結合メカニズムを解明 ヒトのイオンチャネルでも、同様のメカニズムが残存していることを発見 細胞外K⁺が細胞機能を調節する新しいシグナルとして働く可能性を示唆   <この研究の社会的意義> 体液中のK⁺濃度は極めて厳密な濃度(3-5 mM以内)に制御される必要がありますが、てんかんでは、K⁺濃度が異常なレベルに高くなることがあります。本研究で見いだされたK⁺をスイッチとして認識するタイプのグリシン受容体は、側頭葉てんかん患者の脳では多く存在していることから、こうしたグリシン受容体タイプの変化は、病的なK⁺濃度の変化に対処するメカニズムなのかもしれません(図4)。本研究をもとに、こうした細胞外K⁺に応答する新しいメカニズムや病気との関連が明らかになり、これらを標的とした治療薬の開発につながることも期待されます。   発表論文 掲載誌:Nature Communications. (日本時間2026年4月22日18時解禁) DOI: 10.1038/s41467-026-71629-z 論文タイトル:Extracellular K⁺ modulates the pore conformations of Cys-loop receptor anion channels. 著者名:Takushi Shimomura, Yoshihiro Kubo, Minoru Saitoe & Yoshinori Suzuki*. *:責任著者   報道発表資料(716.97 KB) 研究者ガイドブック(下村 拓史 講師)   【お問い合わせ先】 <研究について> 自然科学研究機構 生理学研究所 神経機能素子研究部門(兼任) 国立大学法人 広島大学 大学院医系科学研究科 生理学及び生物物理学教室 講師下村 拓史(シモムラ タクシ)   <広報に関すること> 自然科学研究機構 生理学研究所 研究力強化戦略室 E-mail: pub-adm*nips.ac.jp   広島大学 財務・総務室 総務・広報部 広報グループ E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp 名古屋市立大学 総務部広報課 E-mail: ncu_public*sec.nagoya-cu.ac.jp   (*は半角@に置き換えてください)

    • 宇宙
    2025.11.18
    • 宇宙
    132億年前の銀河に超高温の星間塵 ~天の川の5倍の熱さ 猛烈な星形成で加熱~

    本研究成果のポイント 1,132億年前(宇宙誕生から6億年)の遠方銀河「Y1」は、観測史上最遠方の星間塵の検出例です。アルマ望遠鏡による観測から、塵の温度が絶対温度90ケルビン(摂氏マイナス180度)と測定され、他の遠方銀河より2〜3倍、天の川銀河より5倍も高温であることが判明しました。 2,銀河Y1では、天の川銀河の約180倍もの速さで星が形成されており、このような急速な星形成の結果、塵の温度が異常に加熱されている可能性が示されました。 3,この発見は、銀河の元素進化や星間塵の蓄積過程という長年の謎を解く手がかりとなります。     概要 宇宙誕生からわずか6億年後に存在した銀河「Y1」は、これまでに星間塵※1の光が検出された銀河の中で最遠方のものです。 今回、早稲田大学理工学術院の井上昭雄(いのうえあきお)教授、名古屋大学大学院理学研究科の田村陽一(たむらよういち)教授、筑波大学大学院数理物質科学研究科の橋本拓也(はしもとたくや)助教、広島大学宇宙科学センターの稲見華恵 (いなみはなえ) 准教授を含む国際研究チームは、南米チリのアルマ望遠鏡※2を用いて、Y1の星間塵の温度が絶対温度90ケルビン(摂氏マイナス180度)にも達することを明らかにしました。この温度は、これまでに測定された遠方銀河の星間塵の温度の2倍から3倍も高温であり、天の川銀河の星間塵の温度に比べると5倍も高温です。Y1は天の川銀河の約180倍という猛烈なペースで星を生み出しており、急速な銀河成長の最中にあると考えられます。今回の研究は、初期宇宙の銀河の中で元素や星間塵がどのように蓄積していくのかを理解する重要な手がかりとなります。 本研究成果は、国際学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に2025年11月12日に公開されました。 論文名:A warm ultraluminous infrared galaxy just 600 million years after the big bang 最遠方の星間塵が検出された銀河Y1(丸で囲まれた赤い色の天体)。背景はジェームズウェッブ宇宙望遠鏡で取得された画像(赤外線の波長を擬似的にカラーで表現) Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, J. Diego (Instituto de Física de Cantabria, Spain), J. D’Silva (U. Western Australia), A. Koekemoer (STScI), J. Summers & R. Windhorst (ASU), and H. Yan (U. Missouri)   キーワード 初期宇宙、最遠方銀河、銀河形成、星形成、星間塵、元素進化、アルマ望遠鏡、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡   (1)これまでの研究で分かっていたこと 宇宙が誕生して間もない時代には、星や銀河が現在とは異なる条件のもとで急速に形成されたと考えられています。しかし、その詳しい仕組みはまだ明らかではありません。これまでの観測から、遠方(=初期宇宙)の銀河にも塵(ちり)が存在することがわかっており、若い銀河にも関わらず大量の塵を含む例が報告されていました。元素や塵がある程度の量まで蓄積するには時間がかかるとする説もあり、「多すぎる塵の問題」として長年知られていました。   (2)新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと 広島大学を含む国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、約133億光年彼方にある銀河「Y1」(赤方偏移8.3)を観測しました。Y1は宇宙誕生からわずか6億年後に存在した非常に若い銀河であり、また、これまでに星間塵の光が検出された最遠方の銀河です。※3従来の電波望遠鏡と比べ、アルマ望遠鏡の大きな特色の一つである、短波長の電波観測機能を活用して、波長0.44ミリメートルの電波を観測したところ、Y1はこの波長で明るく輝いていることを発見しました。 その輝きは、銀河内の塵粒子が星の光で異常に加熱されていることを示しています。解析の結果、塵の温度は絶対温度約90ケルビン(摂氏マイナス180度)であることが判明しました。これは他の遠方銀河に比べて、2倍から3倍も高い温度です。また、天の川銀河の星間塵の温度と比べると約5倍もの極めて高い温度でした。 Y1では1年間に太陽180個分もの質量の星が生み出されており、私たちの天の川銀河(約1太陽質量/年)の180倍に相当します。このような激しい星形成は一時的な現象と考えられ、初期宇宙で銀河が急速に成長する仕組みを理解する上で重要な観測例です。まさに、Y1が「超高温の星工場」であることが明らかになりました。 さらに、この極めて高温の塵の存在は、他の若い銀河に見られる「多すぎる塵の問題」を説明する可能性を示唆します。実は、少量で高温の塵と、大量で低温の塵とは、波長1ミリメートルを超えるような電波では同じ程度の明るさで輝くため見分けがつきません。従来の観測はこのような長い波長の観測に限られていたため、それによって推定された塵の量は過大評価されてきた可能性があると分かりました。   (3)研究の波及効果や社会的影響 今回の成果は、初期宇宙における星形成と銀河進化の理解を大きく前進させるものです。「なぜ若い銀河に塵が多いのか」という長年の謎を解明する手がかりを与えるだけでなく、宇宙初期における元素や星間塵の蓄積過程の理解にもつながります。また、今回実施したような波長の短い電波の観測で正確に塵の温度を測定し、塵の総量を見直すことが今後重要になります。   (4)課題、今後の展望 今後さらに多くの遠方銀河を観測し、Y1のような超高温の塵がどれほど一般的に存在するのかを明らかにする予定です。また、アルマ望遠鏡の高解像度観測によって、銀河内部で星や塵がどのように分布しているのかを詳しく調べる計画です。これにより、初期宇宙で銀河がどのように成長し、多様な形へ進化していったのかが解明できると期待しています。   (5)研究者のコメント Y1の星間塵の温度が絶対温度90ケルビンという、これまでに見たことがない高い温度であることに驚きました。初期宇宙の銀河ではかなり特別なことが起こっているようです。これからもアルマ望遠鏡で宇宙の塵の観測を続け、銀河の誕生と成長の物語を解き明かしていきたいです。 (6)用語解説 ※1星間塵 炭素やケイ酸塩の固体微粒子。典型的なサイズは0.1マイクロメートルと推定されています。地球のような惑星の材料となります。   ※2アルマ望遠鏡 日本、米国、欧州の三者協力により、南米チリで建設、運用されている世界最大の電波望遠鏡。   ※3銀河Y1の星間塵の輝きは2019年に報告されました。現時点で正確に距離が測定された銀河のうち、星間塵の光が検出された最遠方の銀河です。発見当時のプレスリリースはこちらです。 https://alma-telescope.jp/news/press/macs0416-201903.html   (7)論文情報 雑誌名:Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 論文名:A warm ultraluminous infrared galaxy just 600 million years after the big bang 執筆者名(所属機関名):T. J. L. C. Bakx 1*、Laura Sommovigo2、Yoichi Tamura3、Renske Smit4、Andrea Ferrara5、Hiddo Algera6、Susanne Aalto1、Duncan Bossion7、Stefano Carniani5、Clarke Esmerian1、Masato Hagimoto3、Takuya Hashimoto8,9、Bunyo Hatsukade10,11,12、Edo Ibar13,14、Hanae Inami15、Akio K. Inoue16,17、Kirsten Knudsen1、Nicolas Laporte18、Ken Mawatari17,19、Juan Molina13,14、Gunnar Nyman20、Takashi Okamoto21、Andrea Pallottini5,22、W. M. C. Sameera1、Hideki Umehata3、Wouter Vlemmings1 and Naoki Yoshida12   *:責任著者 1:Chalmers University of Technology, Sweden 2:Flatiron Institute, USA 3:Nagoya University, Japan 4:Liverpool John Moores University, UK 5:Scuola Normale Superiore, Italy 6:Institute of Astronomy and Astrophysics, Academia Sinica, Taiwan 7:Institute of Physics of Rennes, France 8,9:University of Tsukuba, Japan 10:National Astronomical Observatory of Japan, Japan 11:The Graduate University for Advanced Studies, SOKENDAI ,Japan 12:University of Tokyo, Japan 13:Universidad de Valpara´ıso, Chile 14:Millenium Nucleus for Galaxies (MINGAL),Chile 15:Hiroshima University, Japan 16,17,19:Waseda University, Japan 18:Aix Marseille Universit´e, Japan 20:University of Gothen- burg, Sweden 21:Hokkaido University, Japan 22:Universit´a di Pisa, Italy 掲載日時:2025年11月12日 掲載URL:https://academic.oup.com/mnras/article/544/2/1502/8318242 DOI:https://doi.org/10.1093/mnras/staf1714   掲載誌:Monthly Notices of the Royal Astronomical Society     【お問い合わせ先】 <研究に関すること> 早稲田大学理工学術院教授井上昭雄 Tel:03-5286-3090E-mail:akinoue*aoni.waseda.jp   名古屋大学大学院理学研究科教授田村陽一 Tel:052-789-2846E-mail:ytamura*nagoya-u.jp   筑波大学大学院数理物質科学研究科 助教橋本拓也 Tel:029-853-4319E-mail:hashimoto.takuya.ga*u.tsukuba.ac.jp   広島大学宇宙科学センター 准教授稲見華恵 Tel:082-424-5765E-mail:hanae*hiroshima-u.ac.jp     <広報に関すること> 早稲田大学 広報室 Tel:03-3202-5454E-mail:koho*list.waseda.jp   名古屋大学 総務部広報課 Tel:052-558-9735E-mail:nu_research*t.mail.nagoya-u.ac.jp   筑波大学広報局 Tel:029-853-2040E-mail:kohositu*un.tsukuba.ac.jp   広島大学広報室 Tel:082-424-3749E-mail:koho*hiroshima-u.ac.jp   (*は半角@に置き換えてください)

    • 宇宙
    2025.11.14
    • 宇宙
    ブラックホールに落ち込むプラズマの構造が明らかに! ― NASAの気球に世界最大の日本製の望遠鏡を搭載―

    本研究成果のポイント 1. ブラックホールの極限環境を、X線(硬X線注1)観測では新しい「偏光注2」という手法から解き明かしました。 2. 気球搭載型望遠鏡 XL-Calibur(エックスエル-カリバー)注3 により、地球からおよそ7000光年離れたブラックホール「はくちょう座 X-1 (Cygnus X-1)」注4からの15-60 keV(1.5-6万電子ボルト)の硬X線を観測しました。 (YouTube動画「NASA XL-CALIBUR Launch」で検察 NASA XL-CALIBUR Launch) 3. 日本製の世界最大のX線集光ミラー注5などにより、従来よりも20倍も高い感度で観測データを取得することに成功しました。 4. これまでブラックホール周辺にコロナ(高温のプラズマ領域)が存在することが知られていましたが、その形状を決定できる観測結果がありませんでした。今回のXL-Caliburの観測結果は、直径125 kmのブラックホールの中心から2000 km以内で明るく輝くコロナが、ブラックホールから数十億kmにわたって噴出する巨大なプラズマジェットと垂直方向に整列している(伴星から奪った物質が落ち込む円盤に沿って平べったい構造をしている)ことを示します。 5. 本研究成果により、ブラックホール近傍のコロナプラズマの構造を制限することができ、ブラックホール近傍の物理過程の理解に重要な手がかりを提供しました。   概要 広島大学大学院先進理工系科学研究科の高橋弘充准教授、大阪大学大学院理学研究科の松本浩典教授、JAXA宇宙科学研究所の前田良知助教、愛媛大学大学院理工学研究科の粟木久光教授らを含む気球搭載型望遠鏡 XL-Calibur国際研究チームは、ブラックホールに物質が落ち込む前にどのように渦を巻き、莫大なエネルギーを放出するのか、その環境をより深く理解するために、硬X線放射の「偏光」観測を実施しました。 X線偏光観測ミッションXL-Caliburは、2024年7月にスウェーデンからカナダへ向けた約6日間の長距離気球フライト中に、ブラックホールX線連星である「はくちょう座 X-1」を観測しました。XL-Caliburの観測により、「はくちょう座 X-1」から放射される15-60 keVのX線について、偏光情報(偏光度と偏光角)をこれまでよりも約20倍も高い感度で観測することに成功し、最も精密な制約を得ることができました。XL-Caliburの結果を、直径125 kmのブラックホールの中心から2000 km以内で明るく輝くプラズマ領域(コロナ)が、ブラックホールから数十億kmにわたって噴出する巨大なプラズマジェットと垂直方向に整列していることを示しています。この結果から、コロナは、伴星から奪った物質が渦状に落ち込む円盤に沿って、平べったい構造をしていることが明らかになりました。 今後は、改良した気球実験や人工衛星によるX線の偏光・測光・分光の観測結果、理論研究から、様々な質量のブラックホール(太陽質量の数倍から100億倍もの超巨大サイズ)において、ブラックホールに吸い込まれつつある物質が重力の影響をどのように受けているかが明らかにされ、中心に存在するブラックホールの特性(自転速度)やブラックホールが及ぼす相対論的な効果(時空のゆがみ)などの理解が進むと期待されます。 本ミッションでは、日本の研究者が装置の中核となるX線集光ミラーの製作・較正を担当しました。日本の技術力が国際観測の鍵を担った形となっています。   論文情報 【掲載誌】The Astrophysical Journal 【論文タイトル】XL-Calibur Polarimetry of Cyg X-1 Further Constrains the Origin of its Hard-state X-ray Emission 【著者】Hisamitsu Awaki, Matthew G. Baring, Richard Bose, Jacob Casey, Sohee Chun, Adrika Dasgupta, Pavel Galchenko, Ephraim Gau*, Kazuho Goya, Tomohiro Hakamata, Takayuki Hayashi, Scott Heatwole, Kun Hu*, Daiki Ishi, Manabu Ishida, Fabian Kislat, Mózsi Kiss*, Kassi Klepper, Henric Krawczynski, Haruki Kuramoto, Lindsey Lisalda, Yoshitomo Maeda, Hironori Matsumoto, Shravan Vengalil Menon, Aiko Miyamoto, Asca Miyamoto, Kaito Murakami, Takashi Okajima, Mark Pearce, Brian Rauch, Nicole Rodriguez Cavero, Kentaro Shirahama, Sean Spooner*, Hiromitsu Takahashi, Keisuke Tamura, Yuusuke Uchida, Kasun Wimalasena, Masato Yokota, Marina Yoshimoto *責任著者   【著者所属】 a 広島大学 大学院先進理工系科学研究科(高橋弘充, 呉屋和保, 横田雅人) b 大阪大学 大学院理学研究科(松本浩典, 袴田知宏, 倉本春希, 宮本愛子, 村上海都, 白濱健太郎) c JAXA宇宙科学研究所(石田学, 前田良知, 内田悠介, 伊師大貴, 宮本明日香) d 愛媛大学 大学院理工学研究科(粟木久光, 善本真梨那) 【DOI】https://doi.org/10.3847/1538-4357/ae0f1d 【論文公開日】2025年11月14日   背景 ブラックホールに降着し(降り積もり)吸い込まれる物質は、強い重力によって非常に高温に熱せられ(約1000万度)、X線で明るく輝いています。そのため、X線観測によって、ブラックホール近傍での降着物質の物理状態を明らかにすることができれば、中心に存在するブラックホール自身の物理量や、強い重力場における一般・特殊相対論的な効果も観測することができると期待されています。しかし、これまでの時間変動(測光)やエネルギー(分光)の観測だけでは、降着物質がどのような状態にあるのか長年にわたって議論が平行線をたどっていました(遠方にあるため画像では「点」にしか見えず、構造は調べられていません)。 偏光観測は、画像、時間変動、エネルギーの測定とは異なり、高エネルギー粒子が放射する光子の偏光(電場の振動方向が偏っている)情報から、物質から直接届いたのか、どこかで反射・散乱されてきたのかという幾何構造を推定することができます。電波や可視光では一般的な手法ですが、X線やガンマ線の帯域では技術的な困難から、これまでに硬X線の帯域で偏光情報を取得できたのは、我々が2016年に実施したPoGO+気球実験だけでした(ただし上限値で制限がかけられたのみ)。   研究成果の内容 2024年7月、日本チームを含む国際共同研究チームは、気球望遠鏡 XL-Calibur を用いた新たな観測により、ブラックホール周辺の極限的な環境を明らかにしました。このミッションは、米国ワシントン大学が主導し、日本からは広島大学、大阪大学、JAXA宇宙科学研究所、愛媛大学などの研究者が世界最大のX線集光ミラーを提供して中心的な役割を果たしています。 観測対象は、地球から約7,000光年の距離にあるはくちょう座X-1(Cyg X-1)。1964年に発見され、天の川銀河で最初に「ブラックホール」であると広く受け入れられたX線天体です。ブラックホールの質量は太陽の約21倍。ブラックホールの周囲には、落ち込む物質と噴き出す物質が以下の3つの構成要素を形成していると考えられています: 1. 降着円盤:近傍の恒星から奪った物質が円盤状に渦を巻いて落ち込む。 2. コロナプラズマ:降着円盤からの光にエネルギーを与えて、より高エネルギーにする高温プラズマ。 3. プラズマジェット(アウトフロー):ブラックホールの自転に伴う時空のねじれと強磁場により、一部の物質が極方向に高速で噴き出す流れ。 XL-Caliburの観測は、特にコロナプラズマ(2番目)の形状と位置、起源に強い制約を与えています。以前のPoGO+の観測では、硬X線の偏光が微弱(偏光度が8.6%以下)であることしか分かっていませんでしたが、今回のXL-Caliburでは感度が約20倍も向上したことにより、偏光度がおよそ5.0%であることが測定することができました。この結果、直径125 kmのブラックホールの中心から2000 km以内で明るく輝くコロナが、ブラックホールから数十億kmにわたって噴出する巨大なプラズマジェットと垂直方向に整列していることが分かりました。 従来の我々のPoGO+実験による観測結果では、コロナがブラックホール近傍100kmに局在するようなコンパクトな形状ではなく、広がって存在していることがだけが分かっていました。今回のXL-Calibur実験による観測結果から、広がったコロナの形状は円盤に沿った平べったい構造であることを明らかにすることができました。   今後の展開 この情報は、NASAの偏光衛星IXPE(2–8 keVの低いエネルギー)や、JAXAのXRISMなどの分光衛星、さらに最新のコンピュータシミュレーションと組み合わせることで、今後数年でブラックホールおよびその近傍におけるより精密な物理モデルが構築されると期待されています。XL-Caliburチームでは、次は南極からのフライトにより、他のブラックホールや強磁場の中性子星の偏光観測を目指しています。 国際協力で実現した気球実験XL-Calibur国際共同研究チームには、ワシントン大学、ニューハンプシャー大学、大阪大学、広島大学、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)、スウェーデン王立工科大学(KTH)、NASAゴダード宇宙飛行センターおよびワロップス飛行施設など、計13機関以上が参加しています。ミッション代表はワシントン大学の Henric Krawczynski教授。   用語解説 注1)硬X線: X線とガンマ線の間のエネルギーをもつ電磁波。今回観測した硬X線のエネルギー帯は15–60 keV(可視光の約1.5万~6万倍のエネルギー)。 注2)偏光: 通常の光は色んな方向に電場が振動しています。人工的にはサングラス、自然界では水面での反射などにより、ある特定の方向のみに振動している状況を偏光した光と呼びます。 「偏光度」は偏光している光の割合、「偏光角」はその向きを表します。これらの測定により、ブラックホール近傍で超高温プラズマがどのような形状で暴力的に運動しているのかを知ることができます。また、同様の観測を中性子星や星雲のような他のX線天体に行うことで、宇宙で最も強力な磁場構造の形状を明らかにすることもできるのです。 注3)X線を北極圏の上空40km(地球の大気0.3%しかない上空)から観測 天体からのX線は、地球大気で吸収されてしまうため、宇宙(に近い上空)から観測をする必要があります。 研究チームは2024年7月、NASAの直径100mに膨らむ科学気球によって、XL-Caliburを上空40kmの成層圏まで上昇させ、大気の影響をほぼ受けない高度から天体観測を行いました。フライト時間は、スウェーデンからカナダにかけて5.5日間(7月9日から14日)。 人工衛星として打ち上げることができれば、より長い観測時間を得ることができますが、より高い信頼性・確実性が求められるため、世界初を目指す偏光観測のような野心的な検出器を載せるのは難しく、また開発期間も長くなってしまいます。我々は偏光観測に特化した気球実験として開発したことで、複数回のフライトを重ねることで検出器の性能を向上させ、最先端技術の利用しつつ、総重量2トンもの大型の検出器で観測することができました。これの結果が、低コストでありながら、他の人工衛星のミッションに先駆けて信頼性の高い硬X線の偏光観測へと実を結びました。 注4)「はくちょう座 X-1」(Cygnus X-1) 1964年に発見され、銀河系で初めて「本物のブラックホール」として広く認められた天体です。このブラックホールは伴星(超巨星)と密接に公転する連星系を形成しているため、ブラックホールX線連星と呼ばれます。もし我々が肉眼でCyg X-1を見ようとすれば、その見かけの大きさは月の幅の2千万分の1しかありません。したがって、直接像を撮れないほど小さな天体の形状を推定するには、従来の測光・分光観測に加え、今回新しく実現した偏光観測が非常に有効なのです。 注5)X線集光ミラー(日本製で世界最大) X線を集光するためには、金属表面での全反射や結晶間隔を利用したブラッグ反射が利用されます。(眼鏡のレンズは透過してしまうため使えない) 今回利用したミラーは、213枚のアルミニウムシェルにそれぞれ10〜140層の白金–炭素の二層膜をコーティングしたものです。硬X線は、炭素を透過して、白金と白金の間隔に応じたエネルギーがブラッグ反射して効率良く集光されます。   注1)硬X線 注2)偏光 注3)X線を北極圏の上空40km(地球の大気0.3%しかない上空)から観測(NASA) 左:可視光(Digitized Sky Survey)で観測した「はくちょう座X-1」。伴星の超巨星が青白く見える。右:「はくちょう座X-1」の想像図。https://chandra.harvard.edu/photo/2011/cygx1/左側の中心の暗い部分がブラックホール。右側の青白い星が伴星(超巨星)。赤い円盤が降着円盤。上下に伸びる構造がプラズマジェット。今回の研究対象のコロナプラズマはブラックホールのごく近傍に存在。 注5)X線集光ミラー(日本製で世界最大) 図1:2024年7月9日にスウェーデンから放球されたXL-Calibur(エックスエル-カリバー)気球(YouTube動画「NASA XL-CALIBUR Launch」 NASA XL-CALIBUR Launch) 図2:翌日(7月15日)に着陸場所を上空から確認した写真(NASA)。無事に気球ゴンドラの回収が済んでおり、次回の南極フライトに向けて準備を進めています。 図3:XL-Caliburによる観測結果。ブラックホール近傍の高温コロナによって放射される硬X線の偏光方向が、電波で観測されている巨大ジェット(白色)と向きが揃っている(平行)ことが分かりました。IXPE衛星による軟X線の観測結果がピンク。 図4:今回判明したコロナの想像図(断面図)。コロナは円盤に沿って平べったい形状をしている(ジェットとは垂直方向に広がっている)ことを明らかにすることができました。 図5:X線望遠鏡の仕組み◎名古屋大学U研X線グループ◎研究プロジェクト その他 本研究は、文部科学省科学研究費補助金(課題番号:19H01908, 19H05609, 20H00175, 20H00178, 21K13946, 22H01277, 23H00117, and 23H00128)による支援を受けたほか、JAXA小規模計画、SPring-8の支援も受けています。   【広島大学】ブラックホールに落ち込むプラズマの構造が明らかに!~NASAの気球に世界最大の日本製の望遠鏡を搭載~_2.pdf(2.08 MB) 掲載誌:The Astrophysical Journal 研究者ガイドブック(高橋 弘充 准教授)   【お問い合わせ先】 <研究に関すること> 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 准教授高橋 弘充(たかはし ひろみつ) TEL:082-424-7430FAX:082-424-0717 E-mail:hrtk@hiroshima-u.ac.jp   <広報に関すること> 広島大学広報室 Tel:082-424-3749 E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp   大阪大学理学研究科庶務係 TEL: 06-6850-5280 FAX06-6850-5288 E-mail:ri-syomu*office.osaka-u.ac.jp   愛媛大学総務部広報課 TEL:089-927-9022 E-mail:koho*stu.ehime-u.ac.jp   (*は半角@に置き換えてください)

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    2025.11.20
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    ウニ幼生に光で行動を調節する脳のような神経細胞群が存在することを発見

    脳を持たないとされてきたウニ幼生に、光で行動を調節する「脳のような」の神経細胞群(中枢)を見いだしました。この神経細胞群は、脊椎動物の脳と一部共通する特徴が確認され、後口動物の共通祖先までさかのぼる脳機能の起源に関する新たな示唆を提供する結果となりました。 本研究は、ウニ幼生の前端部神経外胚葉に、非視覚性光感受性ニューロン(「見る」ためではなく、光を感じて応答する神経)の細胞群を同定しました。これにより、脊椎動物の脳に相当する「中枢」が、脳を持たないとされてきた棘皮動物(ウニ)にも存在する可能性が示唆されました。これらの神経細胞群は、光を感知するタンパク質である非視覚オプシン(Opn5L)や、脊椎動物間脳の形成を担うrx、otx、six3、lhx6などの制御遺伝子を発現します。また、この細胞領域を統合的に解析したところ、Opn5Lの機能低下で光依存的な遊泳行動が損なわれることが分かりました。こういった分子特徴は脊椎動物の脳領域のそれと一部重なることから、ウニ幼生に存在する非視覚性の光受容中枢は、後口動物の共通祖先に由来する脳機能の素地を残している可能性を示します。 非視覚オプシンを発現する神経とその周辺領域の発生過程を厳密かつ系統横断的に比較することは、脊椎動物の脳を含む中枢神経の進化や多様化の過程を解く上で、新たな理論や見解を提供すると期待されます。     【研究代表者】 筑波大学生命環境系 谷口 俊介准教授 千葉大学大学院医学研究院 露崎 弘毅特任講師 京都大学大学院理学研究科 山下 高廣講師 広島大学ゲノム編集イノベーションセンター 山本 卓教授     【研究の背景】 進化の過程における中枢神経(脳)の獲得は、ヒトを含む脊索動物の多様化を支えた重要な出来事です。しかし、神経や脳が動物進化のどの段階で生まれ、どの系統でどのように複雑化したのかは、よく分かっていません。脳・中枢神経の主要な役割は外界情報を統合して適応的な運動へ変換することであり、その起源の解明は生物学の根本課題です。 一方、後口動物注1)では、前方神経外胚葉に由来する脳領域(前脳など)が光情報処理の中核を担うと考えられ、表層には、視覚オプシン、深部には非視覚オプシン(いずれも光を感知するタンパク質)が配置されるという脊椎動物との共通性が示唆されています。しかしながら、脊椎動物と最も近縁の棘皮動物門(ウニなど)注2)には集中して存在する「脳領域」が見えにくく、前後軸の明瞭な指標も乏しいため、脊椎動物型の脳がいつ、どのように現れたかをたどることは容易ではありません。 それでも近年、前後軸が明確な成長段階であるウニ幼生で、前脳様の遺伝子発現やそれを結ぶ制御ネットワーク、さらに光などの環境情報を行動へ統合する神経回路が明らかになりつつあります。非視覚オプシン様の受容体も複数同定され、光による遊泳や消化活動の調節に関与する例が報告されています。こうした知見を踏まえ、本研究では、ウニ幼生において非視覚的な光受容を担う「脳様」領域を、遺伝子発現と機能の両面から定義し、脊椎動物の脳に通じる組織化が棘皮動物との共通祖先にさかのぼる可能性を示しました。     【研究内容と成果】 本研究では、バフンウニ(Hemicentrotsu pulcherrimus)幼生の前端部神経外胚葉に存在する「非視覚的な光受容を担う脳様領域(神経細胞群)」を単一細胞RNAシーケンス(scRNA-seq)注3)とin situ ハイブリダイゼーション注4)にて特定し、行動解析によってその機能を統合的に定義しました。幼生期の神経細胞は稀少で検出が難しいため、Delta–Notch による側方抑制注5)を阻害する薬剤を用いて神経細胞数を一時的に増やし、神経集団の解像度を高めました。その結果、これまで一様とみなされがちだったセロトニン注6)作動性ニューロンが、前方群と背側群という二つの集団に分かれており、背側群は非視覚オプシン(Opn5L)を発現していることを見いだしました(図1)。 遺伝子発現の空間解析では、背側群と前方群とでは、形態と配置のいずれもが異なること、さらに特定の転写因子セットが背側群に偏って現れることを明らかにしました。背側群の一部細胞は上皮層から脱落して移動し、前方群の近傍に合流する過程がライブイメージング注7)で観察され、移動性ニューロンとしての性質を持つことが示唆されました。これは、後口動物のうち脊索動物に特有と考えられてきた神経移動が、ウニ幼生にも備わっている可能性を示す重要な知見です。 機能面では、Opn5L の機能低下により、連続照明下で沈降(浮遊喪失)行動が有意に抑えられ、光入力が遊泳・浮沈の制御に直接関与することを実証しました。加えて、セロトニン合成関連の制御因子や領域指定因子の発現解析から、当該領域が脊椎動物の終脳/間脳と似た分子設計原理を持つことが示されました(図2)。以上より、ウニ幼生には非視覚光受容を核とする脳様中枢が存在し、環境光情報を行動へ統合する回路の一部が保存されている可能性が高いことが明らかになりました。これは、後口動物共通祖先にさかのぼる脳機能の起点を、具体的な細胞群と遺伝子プログラムとして提示する成果です。     【今後の展開】 今後は、光→行動の回路に関するより詳細な解析や、比較発生・比較ゲノミクスによる系統横断検証(棘皮・半索・脊索動物での保存/分岐の同定)を進め、非視覚オプシン中枢の普遍性と系統特異性の理解を深めます。最終的には、脳の「はじまり」の設計図を、細胞系譜、遺伝子ネットワーク、行動出力の三層で統合し、脊椎動物脳の起源と多様化に対する新しい指標の提示を目指します。   参考図 図1(左)ウニ幼生を背側から見た模式図。前端部(水色)領域は前端部神経外胚葉、つまり脊索動物でいうところの脳領域に類似する。しかし、発生初期にここに存在するセロトニン神経は単一のタイプとされ、それほど複雑さはないとみなされていた。(右)この脳領域に対してscRNA-seqを行ったところ、セロトニン神経が2集団から構成され、それぞれ異なる遺伝子発現をしていることが明らかになった。特に体の後方背側に位置する集団は非視覚オプシンとともに、脊索動物では間脳形成に関与している遺伝子群が発現していることが明らかになった。 図2前後方向に区画分けされたウニ幼生(左図)の脳様領域と、脊椎動物であるマウスの脳(右図)の比較。発現遺伝子プロファイルの比較で、前後軸に沿った類似性が見られた。   用語解説 注1) 後口動物 系統進化上、左右相称動物を大きく二つに分けた時の分類群の一つ。原腸陥入(消化管の元となる原腸が形成される過程)の際の原口(入口部分)が肛門になり、原腸の前端部が体表と接する部分に新たに口ができるグループ。脊索動物と棘皮動物、半索動物を含む。 注2) 棘皮動物門 分類学上の階級(界・門・綱・目・科・属・種)の中で、門で分類した場合のグループの一つ。ウニ、ナマコ、ヒトデ、クモヒトデ、ウミユリの仲間を含む。 注3) 単一細胞RNAシーケンス(scRNA-seq) 多細胞生物の体を構成する細胞それぞれに発現しているmRNAを細胞ごと網羅的に解析する手法。どの細胞にどのような遺伝子が発現しているのかを知ることができる。 注4) in situハイブリダイゼーション 細胞内において特定のmRNAの分布を検出する手法。特定の配列を持つmRNAにラベルをつけ、細胞内のターゲットとなるmRNAと結合(ハイブリダイゼーション)させてラベルを検出する。 注5) Delta-Notchによる側方抑制 隣接する細胞が相互作用することで互いに異なる運命をもたらすメカニズムで、多くの動物の神経細胞分化の過程で見られる現象。DeltaとNotchはいずれも細胞膜上の膜タンパク質で、隣接する一方の細胞のDeltaがもう一方の細胞のNotchと結合することで、この細胞でのDeltaの発現を抑制し、役割の異なる細胞を分化させる。 注6) セロトニン 神経伝達物質の一つ。ヒトの脳にも存在しており、精神安定など、さまざまな機能を果たしている。ウニでは、脳を構成する神経の中で最も早く形成される。 注7)ライブイメージング 光学顕微鏡を用いて生きたままの生き物の動きや細胞の変化を直接観察する手法。今回はウニ胚の細胞膜と核を蛍光タンパク質によって標識し、それをレーザー光で光らせたものを観察した。   研究資金 本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「多細胞システムにおける細胞間相互作用とそのダイナミクス」研究領域(JPMJPR194C, JPMJPR1945;2019-2022年度)、科学技術振興機構(JST) 研究成果展開事業が助成するA-STEP(JPMJTR204E; 2019-2024年度)、日本学術振興会が助成する科学研究費基盤研究(B)(23K23933; 2022-2025年度)、(C)(23K11312;2023-2027年度)、(若手)(19K20406: 2019-2022 年度)日本医療研究開発機構(AMED) 革新的先端研究開発支援事業 CREST「マルチセンシングネットワークの統合的理解と制御機構の解明による革新的医療技術開発」研究領域(22gm1510007; 2022-2027年度)、東レ科学振興会が助成する東レ科学技術研究助成(2018-2020年度)、武田科学振興財団が助成するライフサイエンス研究奨励(2015年度)による助成によって実施されました。   掲載論文 【題名】 Non-Visual Photoreceptive Brain Specification in Sea Urchin Larvae (ウニ幼生における非視覚光受容に関与する脳領域の形成) 【著者名】 #Junko Yaguchi, *#Koki Tsuyuzaki, Ikutaro Sawada, Atsushi Horiuchi, Naoaki Sakamoto, Takashi Yamamoto, Takahiro Yamashita, *Shunsuke Yaguchi (*責任著者、#equal contribution) 【掲載誌】 Nature Communications 【掲載日】 2025年11月19日 【DOI】 10.1038/s41467-025-65628-9   【プレスリリース】ウニ幼生に光で行動を調節する脳のような神経細胞群が存在することを発見.pdf(1.42 MB)掲載誌:Nature Communications 研究者ガイドブック(山本卓教授)   【問い合わせ先】 【研究に関すること】 谷口俊介(やぐちしゅんすけ) 筑波大学生命環境系/下田臨海実験センター准教授 TEL: 0558-22-1317 E-mail: yag@shimoda.tsukuba.ac.jp URL: https://sites.google.com/site/yaguchisea/home X@urchin_lab   【取材・報道に関すること】 筑波大学 広報室 TEL: 029-853-2040 E-mail: kohositu@un.tsukuba.ac.jp   千葉大学 広報室 TEL: 043-290-2018 E-mail: koho-press@chiba-u.jp   京都大学 広報室 国際広報班 TEL: 075-753-5729 E-mail: comms@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp   広島大学 広報室 TEL: 082-424-4518 E-mail: koho@office.hiroshima-u.ac.jp

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