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色調制御可能なスマートウィンドウ開発

研究テーマ

  • 分子構造を精密に制御したπ共役系高分子を設計・合成し、分子構造により色調を自在に制御できるエレクトロクロミック材料を活用したスマートウィンドウの開発

研究内容

目標・狙い

  • ●π共役系高分子は電気化学的な酸化・還元反応によって、可逆的に色彩変化できる特徴(エレクトロクロミズム)を有している。さらに、π共役系高分子は分子構造により様々な色調(RGB(赤・緑・青)色)に制御できる。分子構造によっては可視光領域での光吸収を抑制し(透明になる)、近赤外光領域の光を吸収できる(熱線を遮断できる)。
  • ●以上の特徴を応用し、π共役系高分子の色調を自在にチューニングできる分子設計指針を確立し、様々なニーズに適合した色彩を呈することができるスマートウィンドウ開発を目指す。

 

想定される市場・製品・産業分野

  • ●車載用防眩ミラー
  • ●遮熱窓(自動車、建物)
  • ●ディスプレイデバイス

 

概要

  • ●π共役系高分子の共役構造を有機合成化学的な手法で制御する

  • ●得られた高分子の光学的性質を分子構造と関連付けて解析する

  • ●サイクリックボルタンメトリーにより高分子の電気化学的性質およびエレクトロクロミック特性を調査する

本研究の優位性

  • ●π共役系高分子のエレクトロクロミズムの特性を生かすことにより、液晶や有機ELと比べ省電力。また、液晶の場合は電源を切ると暗くなるが、エレクトロクロミック材料の場合は電源を切ってもその時の状態を保持させることが可能。その際必要な電圧は乾電池一個分。
  • ●共役鎖長や導入する置換基によって色調を自在に制御できる

  • 耐久性の向上:シロキサン系ネットワークポリマーによるクロミック分子の電極への固定化によりポリマー膜の剥離を抑制し                                 長寿命化を実現

 

 

  • ●防眩ミラーの特許は、アメリカのGENTEX社およびMAGNA DONNELLY社にほとんどをおさえられているため、本研究シーズで開発する新規材料を用いれば新たな防眩ミラー材料の開発が可能になる。
  • ●今回のシーズ内容と異なるが、本材料はエネルギー変換材料への応用も可能である。

 

特許

  • ●播磨 裕; 大下 浄治; 今榮 一郎; 杉岡 尚; 金平 浩一, “導電性積層体およびその製造方法”, 公開特許公報 2010-266727号, 出願年月日: 2009/5/15.

 

(以下は「エネルギー変換材料」に関する特許)

  • ●播磨 裕; 今榮 一郎; 渡辺 淳; 櫻井 康成; 星野 幸久, “熱電変換材料及びその製造方法”, 特許公報 第6329828号, 出願年月日: 2014/7/4.
  • ●播磨 裕; 今榮 一郎; 櫻井 康成; 渡辺 淳; 後藤 慶次, “熱電変換材料の製造方法、熱電変換素子の製造方法及び熱電変換材料の改質方法”, 公開特許公報 2019-36599号, 出願年月日: 2017/8/10.
  • ●今榮 一郎; 播磨 裕; 片岡 裕貴, “熱電変換材料の製造方法及び熱電変換材料”, 公開特許公報 2019-195006号, 出願年月日: 2018/5/1.

 

論文

  • ●Nawa, Kazunari; Miyawaki, Kenji; Imae, Ichiro; Noma, Naoki; Shirota, Yasuhiko, “Polymers containing pendant oligothiophenes as a novel class of electrochromic materials”, Journal of Materials Chemistry (1993) 3(1), 113-114.
  • ●Imae, Ichiro; Nawa, Kazunari; Ohsedo, Yutaka; Noma, Naoki; Shirota, Yasuhiko, “Synthesis of a novel family of electrochemically-doped vinyl polymers containing pendant oligothiophenes and their electrical and electrochromic properties”, Macromolecules (1997) 30(3), 380-386.
  • ●IOhsedo, Yutaka; Imae, Ichiro; Shirota, Yasuhiko, “Electrochromic properties of new methacrylate copolymers containing pendant oligothiophene and oligo(ethyleneoxide) moieties in the presence of a polymer-gel electrolyte”, Electrochimica Acta (2000) 45(8-9), 1543-1547.
  • ●Imae, Ichiro; Takenaka, Youichi; Tokita, Daisuke; Ooyama, Yousuke; Komaguchi, Kenji; Harima, Yutaka, “Drastic enhancement of cycle lifetime of electrochromic devices using polysilsesquioxane as an anchoring agent”, Chemistry Letters (2008) 37(9), 964-965.
  • ●Imae, Ichiro; Tokita, Daisuke; Ooyama, Yousuke; Komaguchi, Kenji; Ohshita, Joji; Harima, Yutaka, “Oligothiophenes incorporated in a polysilsesquioxane network: application to tunable transparent conductive films”, Journal of Materials Chemistry (2012) 22(32), 16407-16415.
  • ●Imae, Ichiro; Imabayashi, Saki; Komaguchi, Kenji; Tan, Zhifang; Ooyama, Yousuke; Harima, Yutaka, “Synthesis and electrical properties of novel oligothiophenes partially containing 3,4-ethylenedioxythiophenes”, RSC Advances (2014) 4(5), 2501-2508.
  • ●Imae, Ichiro; Ogino, Ryo; Tsuboi, Yoshiaki; Goto, Tatsunari; Komaguchi, Kenji; Harima, Yutaka, “Synthesis of EDOT-containing polythiophenes and their properties in relation to the composition ratio of EDOT”, RSC Advances (2015) 5(103), 84694-84702.
  • ●Imae, Ichiro; Sagawa, Hitoshi; Harima, Yutaka, “Fine-tuning of electronic properties in donor-acceptor conjugated polymers based on oligothiophenes”, Japanese Journal of Applied Physics (2018) 57(3S2), 03EJ01 (5pp).
  • ●Imae, Ichiro; Kumano, Masataka; Harima, Yutaka, “Molecular properties of thiophene-based donor-acceptor-donor small molecules with well-defined structures”, Science of Advanced Materials (2019) 11(6), 792-799.
  • ●Imae, Ichiro; Akiyama, Yuki; Harima, Yutaka, “Synthesis and properties of alkoxy-substituted oligothiophene derivatives”, Journal of Photopolymer Science and Technology (2020) 33(4), 373-380.

 

研究者からのメッセージ

  • ●分子構造制御した導電性高分子の合成を得意としています。スマートウィンドウだけでなく、リチウムイオン二次電池の電極材料や、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する熱電変換材料にも応用できます。
  • ●上に示した用途以外への応用にも興味があります。新たな研究テーマを一緒にご研究できることを楽しみにしています。

 

 

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今榮 一郎

ICHIRO IMAE

広島大学
大学院先進理工系科学研究科
准教授

1992年、大阪大学 工学部 応用化学科 卒業。1994年、同大学 大学院工学研究科 プロセス工学専攻 博士前期課程 修了。1997年、同大学 大学院工学研究科 プロセス工学専攻 博士後期課程 修了。博士(工学)。
1994年、日本学術振興会 特別研究員(DC1)(1997年3月まで)。
1997年、北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科 助手(2006年3月まで)。
2006年、広島大学 大学院工学研究科 助教授(2007年3月まで)。
2007年、同大学 大学院工学研究科 准教授(2020年3月まで)。
2020年、同大学 大学院先進理工系科学研究科 准教授(現在に至る)。
2018年、室蘭工業大学 大学院工学研究科 非常勤講師。
2018年、華中科技大学 武漢光電士国家中心 客員教授。
2019年、広島県立西条農業高等学校 スーパーサイエンスハイスクール(SSH)協力員(現在に至る)。
専門は有機材料化学、高分子化学、エネルギー関連化学。