亜リン酸を用いる遺伝子組換え体の実用的封じ込め
研究テーマ
- 環境亜リン酸を用いる遺伝子組換え体の実用的封じ込め
- 環境中には有効な濃度で存在しない亜リン酸だけを取り込む輸送体の発見
- 亜リン酸でのみ増殖できる封じ込め株作成に成功
亜リン酸を用いて遺伝子組換え体を封じ込める実用的手法
技術の説明
生物の必須栄養素であるリンの代謝系を遺伝的に改変し、亜リン酸という天然には存在しない化合物がないと生存できなくなる性質を創り出す技術を開発した。
これにより、遺伝子組換え微生物利用の安全性を大きく高め、培養プロセスの経済性向上、開放系利用など新たな可能性を切り拓く有用微生物株の実用化に貢献できる。
優位性
従来の生物学的封じ込め手法は、効果が弱いか、あるいは高い効果を得るためには非常に複雑な手法や高価な化合物が必要であった。
本手法はシンプルであり、大腸菌をはじめとするバクテリアに広く適用可能である。また、培養のコストもかからず、実用向きである。

亜リン酸

- 3価のリンを有する
- 通常の生物は利用できない
- 環境中には有効な濃度で存在しない
封じ込め株は亜リン酸がないと死滅

想定される用途
1、微生物を用いたバイオプロセス全般。
2、遺伝子組換えによる新たな有用菌株に対して、本手法適用によりGILSP(特殊な培養条件下以外では増殖が制限されること、病原性がないこと等のため、最小限の拡散防止措置を執ることにより使用できる遺伝子組換え微生物)の認定取得。
3、さらに封じ込め効果を高めることで、将来的には開放系での利用に展開できる可能性がある。
➢微細藻類のオープンポンド培養
➢プロバイオティクス・医療用途
➢生物を用いた土壌や地下水等の汚染の修復等
本技術に関する知的財産権
発明の名称:
形質転換体、形質転換体の製造方法、および、
当該形質転換体を用いた還元型リン化合物の有無の検出方法
出願番号:特願2016-170317
出願人:広島大学
発明者:廣田隆一、黒田章夫
発明の名称:
亜リン酸デヒドロゲナーゼタンパク質の製造方法及びその利用
出願番号:特許5892621
出願人:広島大学
発明者:黒田章夫、廣田隆一
発明の名称:
亜リン酸デヒドロゲナーゼタンパク質の製造方法及びその利用
出願番号:US特許9273290B2
出願人:広島大学
発明者:黒田章夫、廣田隆一
実用化に向けた課題
株の作製について
- 現在のところ大腸菌のみで実証済。シアノバクテリアにおける実証を進めている。
- 亜リン酸輸送体の機能的発現が重要。Htx輸送体は、グラム陰性のバクテリア以外では、機能しない可能性がある。多くの生物に適合性を高める必要がある。
- 遺伝子破壊系が確立している必要がある。簡便な作製原理を検討中。
株の利用について
- 現時点では「遺伝子組換え生物等の第二種使用等」の拡散防止措置が必要。
- 安全評価試験をクリアし、安全性の高さが認められれば、確認申請や拡散防止措置の緩和などが適用される可能性がある。→装置、廃棄プロセスの簡素化が可能になる。
- 人為起源の亜リン酸(農業資材、工業廃棄物)に留意する必要がある。
企業への期待
- 実用スケールにおける有効性の実証(微細藻類を希望)
- 封じ込め株の安全性評価の共同試験(大腸菌、微細藻類)
研究者
廣田 隆一(RYUICHI HIROTA)
広島大学
大学院統合生命科学研究科
教授