新規高機能スプライシング制御オリゴヌクレオチドをもちいた糖原病Ia型本邦好発変異に対する新規治療法開発
A novel therapeutic strategy for Japanese-prevalent mutations in glycogen storage disease type Ia using advanced splicing-regulatory oligonucleotides
アピールポイント
- 本邦に多いG6PC c.648G>T変異をもつ糖原病Ia型の根本治療候補
- GalNAc修飾による肝特異的送達とENA修飾による高い安定性をもつスプライシング制御オリゴヌクレオチド
- モデルマウスで単回投与により症状改善・効果3か月持続、GLP安全性試験で毒性の懸念なし
研究者のねらい 糖原病Ia型(GSDIa)は、G6PC遺伝子のスプライシング異常によるグルコース-6-ホスファターゼ (G6Pase)欠損を原因とする希少疾患であり、低血糖や肝腫大などの重篤な症状を呈する。現在の食事療法 では十分な改善が得られず、患者と家族の負担も大きいことから、根治的な治療法の開発が強く求められて いる。我々は、異常スプライシングを是正する革新的な肝指向型スプライシング制御オリゴヌクレオチド (SSO-X)を開発し、臨床応用によって、GSDIaで苦しむ患者やその家族の生活の質を抜本的に改善すること を目指す。
研究内容<背景>
- 糖原病Ia

G6Pase失活の原因
G6PCc.648G>T変異による異常スプライシング
□発症頻度:10万人に1人(指定難病)→オーファンドラッグ指定による規制上の優遇と高薬価設定が期待できる - 既存治療の課題

(Edited from Fukuda T. et al. J Inherit Metab Dis. 2023)
治療ミルクや緩徐放出型炭水化物であるコーンスターチの頻回摂取(多くは3時間毎で夜間も必要)が行われるが、患児やその家族の負担は極めて大きい。また、食事療法にも関わらず、低血糖、肝腫大、脂肪肝、良性肝腫瘍などを防ぐことは難しく、根本原因を見据えた革新的な治療法の開発が望まれている。 - スプライシング制御オリゴヌクレオチド(SSO)による治療薬の開発戦略

cG6PCにc648G>T変異があると、スプライシングの際にエクソン5の先頭91塩基が欠失し、失活したG6Paseが作られる(左)。
648G>T変異はアミノ酸置換を伴わない (p.Leu216=)ため、SSOで異常スプライシングが是正されれば正常なG6Paseが翻訳され、糖原病Ia型の様々な症状を改善することが期待できる(右)。
<SSO-Xの特徴>
【GalNAc修飾】- 肝実質細胞へのSSOを送達
【化学修飾核酸技術】
- 相補RNAとの結合性向上
- ヌクレアーゼ耐性の向上
<競合品>
<有効性>
(Ito K., et al 2023)
単回投与でモデルマウスの糖原病Ia型様の症状を長期間改善
<安全性>
非臨床3か月間間歇投与試験で有害事象なし
共同研究体制- 松尾 雅文(神戸大学)
- 中村 秀文(国立成育医療研究センター)
- 但馬 剛(国立成育医療研究センター)
<今後の展望>
<関連情報>
代表的な特許:- 特許第7048574号
【発明の名称】アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび糖原病Ia型予防または治療用組成物
【現 権利者】国立研究開発法人国立成育医療研究センター 、国立大学法人広島大学 - 特許第6884268号
【発明の名称】糖原病Ia型治療薬
【現 権利者】国立大学法人神戸大学
代表的な論文:
Ito K, et al., A splice-switching oligonucleotide treatment ameliorates glycogen storage disease type Ia in mice with G6PC c.648G>T. J Clin Invest. 2023;133(23):e163464.
研究者岡田 賢(Okada Satoshi)
広島大学
大学院医系科学研究科(医)
教授
2025年BioJapan出展