従来法では困難な(100)面露出 高比表面積α-MoO3の合成

この研究成果は2025年10月23日に、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)主催で開催されました新技術説明会に出展しました。
 
新技術の概要 従来の水熱合成や固相合成などの酸化物合成手法では、前駆体構造を保持することができないため、最終生成物の構造や露出面を制御することは極めて困難であった。本技術は前駆体の構造を保持したまま次元性を逐次的に増加させる新規合成手法であるため、従来法では困難であった準安定なα-MoO3を合成することに成功した。

 
従来技術・競合技術との比較 従来のα-MoO3合成手法では熱力学的に安定な(010)面が主に露出するため、触媒反応活性に乏しく、また比表面積も小さい。本手法で合成したα-MoO3はルイス酸点が豊富な(100)面が主に露出しており、かつ比表面積も大きい(>30 m2/g)ため、優れた酸触媒活性を示す。

 
新技術の特徴

  • グラムスケール合成可能
  • 高比表面積
  • (100)面の露出

 
想定される用途

  • 参照試薬としての販売
  • 触媒
  • 電極材料

 

酸化モリブデン
研究の動機
従来法と本手法の違い
合成戦略
1次元構造を有するα-MoO3の合成
構造の比較
1の結晶形態
1のキャラクタリゼーションとDMFの脱離
1の焼成
1300–600のキャラクタリゼーション
1300–600の吸着特性
1300–600を用いた触媒反応
マイクロファイバー(1300–600)の結晶形態
マイクロファイバー(1300–600)の露出面
マイクロファイバー(1300)の露出面
マイクロファイバー(1300)の断面図
マイクロファイバー(1300)の階層的構造
本技術の特徴・従来技術との比較
実用化に向けた課題

企業への期待

  • 合成プロセスの自動化やスケールアップ
  • 参照試薬としての販売
  • 触媒用途の調査や実用化

 
基礎研究(合成、触媒反応開発、電極材料開発)は自分で掘り下げたいが、高性能化や実用化は企業にゆだねたい
 
企業への貢献・PRポイント

  • 大量合成可能(サンプル提供可能)
  • 高比表面積
  • 従来法では合成できない(100)面露出の酸化モリブデン
  • 研究成果は化学分野で権威ある学術誌に受理かつHot paperに選出され、国際的にも注目されている
    T. Minato et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2025, 64, e202506758


本技術に関する知的財産権

  • 発明の名称 :モリブデン酸化物
  • 出願番号 :特願2025-101705
  • 出願人 :国立大学法人広島大学
  • 発明者 :湊 拓生

 
研究者湊 拓生
広島大学
大学院先進理工系科学研究科
准教授