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人間の視覚特性に基づく環境デザイン

研究テーマ

  • 画像や映像がもたらす快・不快感情と視覚特性の関係
  • 環境光への順応が視知覚に与える影響

研究内容

目標・狙い

  • ● 人間の視覚特性に基づいて画像や映像がもたらす快・不快感の程度を予測し、安全で好ましいデザインを提案できる手法の開発
  • ●  環境光の変動に伴う視機能や見え方の変化を理解し、最適な視環境を確保する照明環境の実現

 

概要

  • ● 画像や映像など視覚情報に起因する快・不快感情や、環境光への順応が人の視知覚に与える影響について、心理実験や生体反応(特に瞳孔反応や眼球運動)を利用した研究を行っている。

 

研究事例

①不快感をもたらす点滅光の特徴と視覚特性の関連についての研究

水面を反射する日の光や切れかかった蛍光灯のちらつきなど、点滅光は時に不快感を喚起し、人によっては光過敏性発作といった深刻な症状を引き起こす。本研究では、健常者を対象とし、不快に感じられやすい点滅光の特徴(時間周波数・振幅・位相)とそれに関与する視覚特性を明らかにした。

 

②環境光の明るさ・視機能・見え方の関係性についての研究

日常で遭遇する環境光の明るさは10^11(千億)という広い範囲で変化しており、錐体と桿体という2つのシステムがその変化に対応している。本研究では、環境光の明るさに応じた視機能とその時の運動の見え方(運動知覚)の関係を定量的に評価し、錐体と桿体が同時に機能する薄明視(明け方や夕暮れ時などの薄暗い状況)において運動知覚が特異的に変容することを明らかにした。

 

想定される市場・製品・産業分野

  • ●  デザイン・広告
  • ●  住宅・住宅設備・インテリア
  • ●  屋内・屋外照明
  • → 実環境をシミュレートした実験室実験を行い、 画像や映像がもたらしうる不快感やリスク(頭痛・めまい・光過敏性発作)を予測することで、最適な視環境の確保に向けた照明の照度・配置、デザイン等の提案や評価を行うことができる

 

  • ●  化粧品
  • → 化粧を施すことで実際に見た目がどれほど変化するかを定量的に評価することができる。例)目が大きく見える製品の開発や施術の提案において、どれくらい効果があるのかを心理物理学的な手法で数値化することができる

 

特許

  • ● 特許5875621 好感度操作装置、方法及びプログラム

 

論文

  • ● 吉本 早苗(印刷中)フリッカによる不快感と視覚特性 心理学評論
  • ● 和崎 夏子, 竹内 龍人, 吉本 早苗(2020)地下鉄路線図の探索における視線パターンに対する色情報の影響 VISION, 32, 93–106.
  • ● Yoshimoto, S., Jiang, F., Takeuchi, T., Wilkins, A. J., & Webster, M. A. (2020) Visual discomfort from flicker: Effects of mean light level and contrast. Vision Research, 173, 50–60.
  • ● Yoshimoto, S., Jiang, F., Takeuchi, T., Wilkins, A. J., & Webster, M. A. (2019) Adaptation and visual discomfort from flicker. Vision Research, 160, 99–107.
  • ● Yoshimoto, S., Garcia, J., Jiang, F., Wilkins, A. J., Takeuchi, T., & Webster, M. A. (2017) Visual discomfort and flicker. Vision Research, 138, 18–28.
  • ● 吉本 早苗(2017)不快感に関する視覚の時間特性 基礎心理学研究, 36, 75–84.
  • ● Yoshimoto, S., Okajima, K., & Takeuchi, T. (2016) Motion perception under mesopic vision. Journal of Vision, 16(1):16, 1–15.
  • ● Yoshimoto, S., Uchida-Ota, M., & Takeuchi, T. (2014) Effect of light level on the reference frames of visual motion processing. Journal of Vision, 14(13):6, 1–28.
  • ● Yoshimoto, S., Imai, H., Kashino, M., & Takeuchi, T. (2014) Pupil response and the subliminal mere exposure effect. PLoS ONE, 9(2):e90670, 1–8.
  • ● Yoshimoto, S., & Takeuchi, T. (2013) Visual motion priming reveals why motion perception deteriorates during mesopic vision. Journal of Vision, 13(8):8, 1–21.

 

外部資金の獲得状況

  • ● 2020年4月〜現在 日本学術振興会 科学研究費補助金 若手研究「視覚情報に基づく快・不快感の生成機序:心理物理実験と脳活動計測による検討」
  • ● 2017年4月〜2020年3月 日本学術振興会 科学研究費補助金 若手研究(B)「心理実験とMRSによる視覚的不快感に関する研究」
  • ● 2013年4月〜2016年3月 日本学術振興会 科学研究費補助金 特別研究員奨励費「心理物理実験とシミュレーションによる薄明視下の視知覚変容に関する研究」

 

研究者からのメッセージ

人間の視覚情報処理に関する実験心理学的研究を行っており、ものの見え方や印象を定量的に測定・評価する技術を有しております。上記の研究や関連分野にご興味をお持ちいただきましたら、ぜひご連絡ください。

 

 

CONTACT

お問い合わせ

企業の産学連携とオープンイノベーションの課題を解消します。
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吉本 早苗

SANAE YOSHIMOTO

広島大学
大学院人間社会科学研究科
助教

2011年3月 東京女子大学 文理学部 心理学科 卒業
2013年3月 日本女子大学 大学院人間社会科学研究科 心理学専攻 博士課程前期 修了
2013年4月〜2015年3月 日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2015年3月 日本女子大学 大学院人間社会科学研究科 心理学専攻 博士課程後期 修了
2015年4月〜2016年3月 日本学術振興会 特別研究員(PD)
2015年4月〜2016年3月 日本電信電話株式会社 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 客員研究員
2015年8月〜2016年3月 米国ネバダ大学 心理学部 博士研究員
2016年4月〜2017年9月 中京大学 心理学部 応用心理学領域 助教
2017年10月〜2020年3月 広島大学 大学院総合科学研究科 助教
2020年4月〜現在 広島大学 大学院人間社会科学研究科 助教