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難溶性リン可溶化細菌の植物種子・根圏定着能の改良

研究テーマ

  • 土壌に蓄積された難溶性リンを植物栽培に利用
  • 難溶性リン可溶化能力を持つ土壌細菌の植物種子・根圏での定着能の改良
  • 細菌が持つバイオフィルム形成能の遺伝的改良により植物表面での定着能を向上

研究内容

研究の背景

  • ●肥料の三要素の一つであるリン肥料資源は、全量輸入に依存する戦略資源のため、肥料価格の高騰を招く。
  • ●リン肥料は、土壌中でリン酸カルシウムのような難溶性リン等になる。多くの植物はリン酸カルシウムを上手に利用できず、リン利用効率は低くなるため、難溶性リンの利用性を高めることが出来れば、リン減肥栽培やリン肥料資源の節約に繋がる。
  • ●リン酸カルシウムを可溶化する難溶性リン可溶化細菌や、病害を防除する拮抗細菌といった植物の生育に有益な細菌「植物生育促進細菌」が有効だが、植物種子・根圏に定着せず、有効に機能しない。(共生関係を築かない。)
  • ●細菌が定着しなければ、その効果は発揮されない。

概要

  • ●植物生育促進細菌の実用化のため、植物の種子・根圏での細菌の定着能の向上かつ一定の細菌数を維持すべく、細菌のバイオフィルム形成に着目した。

 

※バイオフィルム
 細菌が生産・放出する粘性多糖類に細菌自身が取り込まれた膜状構造物。
 例)台所のヌメリ、川底の石など

 

  • ●難溶性リン可溶化細菌の遺伝的改良

1.難溶性リン(リン酸カルシウム)可溶化細菌を単離して検定し、リン酸カルシウム可溶化能が高い細菌X株を特定。

2.細菌X株を遺伝的に改良して、バイオフィルム形成能が高くなった細菌株を選抜。

3.選抜された株によるバイオフィルム形成能を評価した結果、MT-5株のバイオフィルム形成量が最も多かった。

 

  • ●バイオフィルム形成能が高くなった改良型細菌株(MT-5)とイネ種子を24時間共培養して、その後激しく洗浄し、付着細菌数の変化を2度に渡り調査した。

その結果、MT-5株ではイネ種子での定着能が向上した。

 

本研究の優位性

  • ●植物生育促進細菌など有効な細菌を、その細菌の植物との共生能に関わらず、様々な植物種に定着させることができるようになり、持続的な生育促進効果が期待できる。
  • ●種子コーティング技術との組み合わせにより、さらなる効果アップが期待される。

 

 

想定される用途

  • ●土壌に蓄積された難溶性リンの可溶化を促進することが期待されるため、減肥栽培に利用。(肥料コスト削減)
  • ●低リン土壌における作物栽培。
  • ●植物種子・根圏での定着能の改良技術は、他の非共生型の植物生育促進細菌(拮抗細菌、植物ホルモン産生細菌など)にも応用可能。

 

 

実用化に向けての課題

  • ●難溶性リン可溶化細菌の植物の種子・根圏での定着能の向上については開発済みだが、定着能のさらなる改良は継続して実施する。
  • ●どのような植物種や土壌で最も効果的なのか、使用条件の最適化が必要となる。
  • ●種子表面に難溶性リン可溶化細菌をコーティングして普及させたいので、最適なコーティング方法の検討をする。

 

 

企業への期待

以下の技術を保有あるいは開発・改良を行う企業との共同研究を希望。

  • ●優れた種子コーティング技術
  • ●減肥に有効な資材の開発
  • ●非共生型の植物生育促進細菌(拮抗細菌など)の植物種子・根圏定着能の改良

 

 

本技術に関する知的財産権

発明の名称   :新規微生物及びその作成方法

出願番号    :特願2018-505856(特許第6952349号)

出願人   :広島大学

発明者   :上田晃弘

 

 

論文

植物生育促進細菌の実用化に向けた試み

上田晃弘、大戸貴裕、近藤もも、大村尚

土と微生物 73: 5-9. (2019)

 

Identification of the genes controlling biofilm formation in the plant commensal Pseudomonas protegens Pf-5

Ueda A, Ogasawara S, Horiuchi K

Archives of Microbiology 202: 2453-2459 (2020)

 

 

研究者からのメッセージ

持続的な農作物生産には肥料資源をかしこく使う必要があります。

微生物の力を使って、土壌中に蓄積された未利用の肥料資源を有効に活用するための研究を行っています。

 

 

 

 

 

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上田 晃弘

AKIHIRO UEDA

広島大学
大学院統合生命科学研究科
教授

2002年に名古屋大学で学位取得後、国際稲研究所、テキサスA&M大学 園芸学部、化学工学部で客員研究員を経て、2015年から広島大学 大学院生物圏科学研究科 准教授に就任。2019年に同大学 大学院統合生命科学研究科 准教授、2022年 同大学大学院統合生命科学研究科 教授に就任。研究対象は植物の塩害耐性機構の解明や塩害現地調査、植物の生育促進に効果的な善玉菌の探索とその利用技術の開発。