研究の背景
製造業にAI、IoT、ビッグデータといった、いわゆる第4次産業革命の波が押し寄せています。日本企業が、グローバルな競争力を維持するためには、この革命への対応、つまり「ものづくりのデジタル化」が不可欠です。
広島地域では、マツダ㈱がシミュレーション技術を駆使して効率的な開発を行う「モデルベース開発(Model Base Development: MBD)」を導入し、高効率なエンジンを開発するなど成果を上げています。MBD手法は多くの産業における共通技術となり得るものです。さらに、広島大学は数多くのものづくり優良企業と共同研究を行っており、この地域にはデジタルものづくりに取り組む素地(先行優位性)があります。
研究内容
このような状況を背景に、広島大学は「デジタル技術を活用したものづくり」を本学の重要な研究テーマと考え、推進してきました。ものづくりのバリューチェーン全体のデジタル化に向けて先端的な研究開発や産業人材の育成を推進するため、内閣府の「地方大学・地域産業創生交付金」を活用して2019年2月に「デジタルものづくり教育研究センター」を設立しました。
http://hudmerc.hiroshima-u.ac.jp/
「デジタルものづくり教育研究センター」におけるプロジェクト
●Project 01
材料モデルベースリサーチ
部門長
大下 浄治教授プロジェクトリーダー
石元 孝佳教授環境にも人にも優しい新材料の研究開発をモデルベースで推進し、自動車等への社会実装を、産学官が共創して取り組みます。革新的多機能複合材料の研究開発を、マルチフィジックス・シミュレーションを活用し、素材/構造/材料モデル一体で行います。
●Project 02
データ駆動型スマートシステム
プロジェクトリーダー
山本 透 教授モデルベース開発(MBD)アプローチとデータ駆動型アプローチのインタープレイによる新しい開発プラットフォーム、ならびにデータ駆動型制御にデータ解析や機械学習を有機的に結合することによって構成されるデータ駆動型スマートシステムの双方の構築に必要となる基本的知識と技術の習得を図ります。加えて、これらの知識を技術による実問題解決の可能性を探ります。
● Project 03
スマート検査・モニタリング
プロジェクトリーダー
石井 抱 教授目に見えない振動情報の可視化等を可能とする高速画像処理技術をベースとした、生産プロセス等での異常検知・診断を可能とするスマート検査・モニタリングの基盤整備及びシステム実装について、産学官が共創して取り組みます。
社会実装のイメージ・企業との連携
すでに多くの企業に参加いただいております。
上述のプロジェクトに関心のある企業は、以下の窓口にお問い合わせください。
1981年:東京工業大学工学部高分子工学科 卒業
1984年:米国スタンフォード大学化学工学科招聘研究員(文部科学省交換留学制度)
1987年:東京工業大学総合理工学研究科電子化学専攻修了 博士(工学)
1987年:デュポンジャパンリミテッド 入社
2014年:デュポン株式会社常務執行役員 技術開発本部長
2016年:芝浦工業大学専門職大学院工学マネジメント研究科特任教授(2019年4月デザイン工学部へ移籍)
2017年:公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団エグゼクティブエコシステム事業プロデューサー
現在:
広島大学デジタルものづくり教育研究センター センター長
株式会社巴川製紙所 取締役常務執行役員パウダーテクノロジー カンパニー長
ユニバーサルマテリアルズインキュベーター株式会社 技術諮問委員(兼務)
京都大学大学院 工学研究科博士課程前期 修了後、広島大学工学部 助手、1991年 広島大学にて工学博士の学位を取得。1991-1992年 ドイツ ミュンヘン工科大学 博士研究員。広島大学大学院工学研究科 助教授、同教授を経て、現在、広島大学大学院 先進理工系科学研究科 教授。2019年より同大学デジタルものづくり教育研究センター 材料モデルベースリサーチ部門 部門長およびプロジェクトリーダーを併任。
専門は有機材料化学。
有機合成化学協会 有機合成奨励賞、高分子学会賞を受賞。
2021年より部門長に専念。
2015年度: 九州大学, 学内共同利用施設等, 研究員
2016年度: 広島大学大学院工学研究院, 共同研究講座准教授
2016年度: 広島大学大学院工学(系)研究科(研究院), 共同研究講座准教授
2017年度: 広島大学大学院工学研究科, 共同研究講座准教授
2018年度: 横浜市立大学, 国際総合科学部(八景キャンパス), 准教授
2019年度 – 2020年度: 横浜市立大学, 理学部, 准教授
2020年度: 広島大学大学院先進理工系科学研究科(工), 教授
2021年度:広島大学デジタルものづくり教育研究センター 材料モデルベースリサーチプロジェクト プロジェクトリーダー併任
徳島大学大学院 工学研究科修士課程 修了後、1994年大阪大学にて博士号(工学)を取得。高松工業高等専門学校 講師、東京大学 工学部計数工学科 文部省内地研究員、大阪大学 助手、岡山県立大学 助教授などを経て、現在、広島大学大学院 先進理工系科学研究科 教授。2019年より同大学デジタルものづくり教育研究センター データ駆動型スマートシステム部門 部門長およびプロジェクトリーダーを併任。
専門は制御工学。
電気学会 進歩賞、計測自動制御学会 技術賞、文部科学大臣表彰・科学技術賞、電気学会 電子・情報・システム部門 優秀論文賞、日本工学教育協会 工学教育賞などを受賞。
東京大学大学院 工学系研究科にて博士号(工学)を取得。東京大学大学院工学研究科 助手、東京農工大学工学部 助教授などを経て、現在、広島大学大学院 先進理工系科学研究科 教授。2019年より同大学デジタルものづくり教育研究センター スマート検査・モニタリングプロジェクト プロジェクトリーダーを併任。
専門は計測工学。
日本機械学会賞、日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門ROBOMEC表彰、IEEE International Symposium on Micro-NanoMechatronics and Human Science、Best Paper Awardなどを受賞。