ゲノム編集によるバイオ産業創出

研究テーマ

  • 日本独自のゲノム編集ツールの開発
  • 医学生物学分野・品種改良分野での研究展開
  • ゲノム編集の支援とデータ収集

研究内容

研究の背景

ゲノム編集は、生物のもつ遺伝情報(ゲノム)を正確に変化させることのできる最新のバイオテクノロジーです。ゲノム編集では、人口のDNA切断酵素(ゲノム編集ツール)を作成して、細胞内で目的の遺伝子(DNA)を狙って切断します。ヒトゲノムは約30億の塩基配列(A、G、C、T)の情報が含まれますが、ゲノム編集を使えば特定の箇所を切断することができます。切断されたDNAは細胞内の修復システムによって速やかに修復されますが、ゲノム編集はこの修復過程を利用して遺伝子を正確に変化させることができるのです。自然突然変異と同じ変化を、微生物から動物や植物に起こすことができるゲノム編集は微生物でのバイオ燃料開発、有用品種の改良や創薬・医薬分野における革新的な技術として期待されています。

研究内容

広島大学では、2008年からゲノム編集の基礎技術開発を開始し、これまでに多くの研究成果を発表してきました。独自に開発したゲノム編集ツール(プラチナTALEN)を使って、微生物、昆虫、ウニ、カエルやイモリなどの両生類、ほ乳類でのゲノム編集に成功しています。さらに、この技術を改良して、細胞の中での遺伝子の働きを調整したり、可視化(イメージング)したりすることも可能となっています。

ゲノム編集は、基礎研究からさまざまな応用分野(藻類でのバイオ燃料の開発、有用品種の改良、創薬や遺伝子治療)に利用可能な技術として期待されている。

 

社会実装のイメージ・企業との連携

ゲノム編集研究のトップランナーである広島大学は、2016年にゲノム編集産学共創コンソーシアムを形成し、多くの企業の参加のもと産業技術開発を進めています。微細藻類を使ったゲノム編集では化石燃料に代わる再生可能なエネルギーの開発を進めています。医療分野では遺伝性疾患研究のためのモデルiPS細胞の作製やモデル動物の作製を国内外の研究者と進めています。ゲノム編集は治療での利用価値が高いことから、再生医療向けやがん治療向けの細胞作製の技術開発にも力を入れています。

http://www.mls.sci.hiroshima-u.ac.jp/smg/opera/index.html

広島大学は、文部科学省の卓越大学院プログラム「ゲノム編集先端人材育成プログラム」に採択され、ゲノム編集の基礎から応用の知識を身につけた新産業を創出する研究者と産業技術開発者の育成を行っています。

https://genome.hiroshima-u.ac.jp/

ゲノム編集を活用した新産業を創出するためには、ゲノム編集そのもののノウハウだけでなく、対象となる生物やそこから生産される物質に関する知見が必要になります。広島大学では、ゲノム編集分野に限らず、新産業を生み出すために必要な研究者をアレンジすることができます。また、社会実装に際しては自然環境から隔離されたフィールドでの実証実験が必要になりますが、全国有数の規模を持つ東広島キャンパスの活用や地元自治体の協力により、企業が活用しやすい環境を整備します。また、今後重要になるバイオインフォマティックスに対応するため、ゲノム編集に関するデータベース化にも積極的に関与する方針です。

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山本 卓

TAKASHI YAMAMOTO

広島大学 大学院統合生命科学研究科 教授
ゲノム編集イノベーションセンター長

広島大学理学部生物学科動物卒業、同大学院博士課程後期を中退後、熊本大学理学部助手となり、博士(理学)を取得。広島大学大学院理学研究科講師と助教授を経て、2004年より現職。専門はゲノム生物学。さまざまな生物で利用可能な「ゲノム編集技術の開発と応用」を研究テーマとしている。広島大学ゲノム編集イノベーションセンター長。日本ゲノム編集学会長。著書に『ゲノム編集の基本原理と応用』(裳華房)など。

佐久間 哲史

TETSUSHI SAKUMA

広島大学 大学院統合生命科学研究科 准教授

2008年、広島大学理学部卒業。2012年、同大学院理学研究科博士課程後期修了。博士(理学)。2012年、日本学術振興会特別研究員PD。2013年、広島大学大学院特任助教。2015年、同大学院特任講師。2018年、同大学院講師。2020年より同大学院准教授。2018年に広島大学のDistinguished Researcherに認定。専門はゲノム生物工学。研究テーマは、ゲノム編集および関連技術の開発とさまざまな細胞・生物での応用。