- ●広島大学および広島大学病院の学生・職員に対して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンBNT162b2(ファイザー・ビオンテック社)とmRNA-1273(モデルナ社)接種後の副反応を評価しました。
- ●1回目と2回目の副反応を比較したところ、両ワクチンとも発熱や倦怠感などの全身性副反応の頻度は、女性、50歳以下、2回目で有意に高い結果でした。一方、接種部位疼痛は、1回目と2回目で有意差はありませんでした。
- ●mRNA-1273 1回目接種後の遅発性局所反応(いわゆる“モデルナアーム”)は、女性3.9%、男性0.8%と女性に有意に多く認め、特に40-69歳女性では10.6%に認めました。
- ●傾向スコアマッチング法を用いてBNT162b2とmRNA-1273の2回接種後の副反応を比較したところ、局所反応と全身性副反応いずれもmRNA-1273の方が有意に多い結果でした。
概要
広島大学病院感染症科 大毛 宏喜教授、広島大学大学院医系科学研究科 田中 純子教授らの研究グループは、広島大学および広島大学病院において職員および学生を対象に新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン接種後の副反応について調査しました。BNT162b2 1回目接種後890人、2回目接種後853人、mRNA-1273 1回目接種後6401人、2回目接種後3965人から有効な回答を得ました(10-30代が73%)。それぞれのワクチンに対して1回目と2回目の副反応を比較したところ、両ワクチンとも発熱や倦怠感などの全身性副反応は、女性、50歳以下、2回目で有意に頻度が高い結果でした。
一方で、接種部位の疼痛は、1回目と2回目で有意差はありませんでした。mRNA-1273 1回接種後の遅発性局所反応(いわゆる“モデルナアーム”)は、女性3.9%、男性0.8%と女性に有意に多く認め、特に40-69歳女性では10.6%に認めました。傾向スコアマッチング法を用いてBNT162b2とmRNA-1273の2回接種後の副反応を比較したところ、局所反応と全身性副反応いずれもmRNA-1273の方が有意に多い結果でした。副反応は、接種当日から翌日に生じ、1-2日間継続し、症状は軽度であることが多いことが分かりました。
本研究は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 広島県官学連携COVID-19研究体制を基盤とした疫学・臨床医学・ウイルス学・医療システム学の視点から新たなエビデンス創出を目指す発展的研究」の一環として行われました。本研究成果は、1月11日に国際科学誌「Journal of Infection and Chemotherapy」に掲載されました。
BNT162b2とmRNA-1273接種後の副反応の頻度(1回目と2回目接種後)