Meiji Seikaファルマ株式会社様・株式会社マクニカ様
産学連携のポイント
● 2021年5月、広島大学、Meiji Seika ファルマ株式会社、株式会社マクニカは「うつ病予防のデジタルトランスフォーメーション(DX)と社会実装」を目指し、産学連携での共同研究契約を締結。
● 両社で事業化を目指すとともに、三者にてこれからの時代に求められる新たなうつ病予防法の開発とその社会実装を目的として共同研究を行う。
プロジェクト概要
● 共同研究内容
(1)脳波およびスマートウオッチ、スマートフォンなどのウエアラブル計測デバイスにより取得する生体情報を用いた脳科
学に基づくストレス可視化技術の開発
(2)IoTやクラウド情報通信技術を用いた脳・生体情報データのプラットフォーム構築と、AIを用いた個人の特性に応じた
ストレス状況のリアルタイム可視化技術の開発
(3)ストレス可視化技術を用いた、自分のストレス状況を自らコントロールする新たなうつ病予防法の開発
● それぞれの役割
・ 広島大学
山脇特任教授を中心とし、長年にわたり蓄積してきたうつ病や感性の脳科学的知見を活かしたストレス可視化技術および
うつ病予防法の開発
・Meiji Seika ファルマ
不安・うつ領域において長年積み重ねてきた製薬企業としての実績・ノウハウを活かした次世代のうつ病予防をはじめと
する精神科デジタル治療技術の開発
・ マクニカ
半導体商社としてのITやデバイス開発およびAI技術の実績・ノウハウを活かした感性可視化技術の社会実装に必要なウエア
ラブルデバイス開発、デジタルプラットフォーム構築やデータのAI技術開発
共同研究開始までのOI本部産学連携部門の動き
(1) 学内有望シーズの把握
近年のストレス社会において急増しているうつ病は、長期休職、失業、自殺などの最大要因として大きな社会課題となっており、科学的根拠に基づく対策がグローバルの観点においても喫緊の課題となっている。
このような状況のなか、BMKセンターの山脇成人特任教授らの研究グループでは、「機能的MRI(fMRI)を用いた、うつ病の客観的診断法や抗うつ薬の効果予測法の開発」「患者が自身の脳活動を制御してうつ症状を改善するニューロフィードバック治療法の開発」等、うつ病患者を対象とした感性脳科学研究成果を多数発表してきた。
このような研究成果を踏まえ、BMKセンターにおけるビジョン、センターの今後の方針などについて、密にコミュニケーションをとりながら理解を進めてきた。
(2)企業のニーズ把握とマッチング
OI本部産学連携部門では、研究シーズの把握と並行して企業とのコミュニケーションも随時行っている。その取り組みの中で、MeijiSeikaファルマ、マクニカそれぞれのニーズと、BMKセンターのシーズが連携することで、うつ病予防という社会課題への貢献はもとより、三者それぞれにとってプラスになる連携が実現できるのではないかと考え、意見交換の場を提案。それぞれの思いが一致し、連携に向けて前向きに話を進めることとなった。
(3)連携内容の具体化~契約締結
契約締結に向けて、研究内容、三者の役割、費用分担の考え方、知財の取り扱い方等、三者で議論を重ね連携内容を具体化しなければならない。ビジネスに精通したOI本部産学連携部門メンバーが企業や研究者の間に入り、それぞれの思いを汲み取りながら、先を見越した提案を策定。複雑な三者契約であったが、OI本部産学連携部門が旗振り役となりスピード感を持って契約締結を完了させた。
(4)共同研究開始
企業・研究者間で共同研究が進む中、OI本部産学連携部門は適宜研究者及び企業それぞれに状況を確認。必要に応じてフォローを行う。
企業担当者様からのコメント
Meiji Seikaファルマ株式会社
DX推進室
青木 研作 様
近年深刻な社会問題となっているストレスおよびうつ病に対し、デジタル技術の活用による予防法の開発と社会実装に取り組めることに、大きな意義を感じております。広島大学、マクニカの皆さまとの三者連携をより一層強化し、社会課題の解決に努めていきたいと考えております。
本共同研究においては、豊富なご経験と多様なバックグランドを有する広島大学OI事業本部の方々のお力により、速やかに共同研究体制を立ち上げることができました。ご支援に改めて感謝申し上げます。引き続き、研究の円滑な推進と社会実装に向け、皆さんと力を合わせて取り組んでまいります。
株式会社マクニカ
新事業本部 メディカル事業推進室 室長
林 靖彦 様
山脇先生を始めとする広島大学、Meiji Seikaファルマの皆様と世界初のうつ予防DXの共同研究および開発を目指す本取り組みは、サービスソリューションプロバイダーを目指す弊社にとって非常に社会的意義のある取り組みとなります。座組みの形成においてはOI事業本部の皆様から各種ご協力をいただきました。真の共創活動が可能となる状況作りにご尽力いただけた事を改めて感謝しております。